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商品説明
自らも「ウツ病」発症の経験がある著者が見た、「精神科医の腕前の大きな差」。泣きながら医師に従う患者とともに、驚き、怒り、そして泣いた、衝撃の記録。ダメな精神科医たちのベールをはがす!【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
下田 治美
- 略歴
- 〈下田治美〉1947年東京生まれ。エッセイスト・小説家。著書に「愛を乞うひと」「やっと名医をつかまえた」「離婚聖書」など。
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紙の本
こんな本を書かれないようにしたい
2002/02/26 13:59
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっけー - この投稿者のレビュー一覧を見る
はっきり言って、非常に不愉快な本です。確かに精神医学とか精神医療という分野は、医学の中でもあいまいな部分が多く、また病気そのものも尚不明な点が多いということもあり、その医者個人の技量などに患者さんが左右されるということはあるとは思います。それでも、たぶん多くの精神科医は、そのあいまいで不明な点を少しでも補い、克服しようと努力しているはずです。そうであるにも拘らず、このような本が書かれてしまい、しかも大きな書店でも平積みにされてしまうというところに問題があるように思います。
この本の中には素人判断というにはあまりにお粗末な理解しかされていない記述が多く見られることと、特定の精神科医の非難しかかかれていないという点で、あまり読んでほしくない本です。せめて「こんな精神科医はいらない」というタイトルにしてもらえれば、救いがあったのですが。少なくとも今後このような本が書かれないように努力していきたいと、「いらない」と言われた仕事を生業としている者の一人として強く思います。
紙の本
よい精神科医とはなにか?
2002/03/29 22:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:大高智子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の主題は大きく二つ。一つは、精神医療、精神科医への根源的な批判。もう一つは、精神病への偏見をなくす、つまり精神を病むというのは誰でもなりうる、ということである。
この本は、下田さん自身のうつ病体験が基礎になっている。分裂病は100人に一人、そううつも同じ程度。神経症やうつ、強迫性障害は5〜10人。100人につき20人程度は精神が失調している、と下田さんはいう。花粉症が100人のうち10人、高血圧が30人というのと同じ程度なわけだが、なぜか精神病には暗い影がつきまとう。
「怖い」「気味が悪い」というイメージの先行。それは、疲れると時々うつっぽくなったり不安が高まったりして、「人ごとじゃない」と思う私自身にしても、やっぱりぬぐうことがとても難しいものである。
しかし、原稿が1年半も書けず(私なら3ヵ月でダウンである)妄想を起こした下田さんの、精神疾患の人たちへの眼差しは暖かい。
もう一つの主題、ズバリ「精神科医はいらない」とは、正確にいえば「マスコミ受けする精神科医はいらない」ということだ。とくに、佐賀バスジャック事件で有名になった町沢静夫医師には1章をさいて、下田さんらしく皮肉たっぷりに批判している。
ろくに診断もできず、「精神病は治らない」という偏見にあぐらをかいて患者を薬漬けにする精神科医をベールをはがし、精神医療は科学ではない、「ブンガク科にすぎない」と喝破する。
逆に良い精神科医とは何か。それはもちろん、「本人をよく診ずに、報道された内容だけでは診断できない」とする医師。何回か薬を投与すれば、患者にピッタリと合った薬を処方できる医師。でも、これが当たり前の専門家の姿というべきだろう。
この本の中で、何度も繰り返し読みたくなるほど感動したところがある。85歳の女性センさんの物語だ。若いときに発病したセンさんは、まだ薬も開発されていない時代、周囲の人たちの暖かな配慮の中で、ただ「変わっている人」として幸せな人生を送った。ここに、心を病むとは何か、治癒とは何かの本質がほの見えてくるように思った。 (bk1ブックナビゲーター:大高智子/福祉ライター)