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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.9
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/430p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-15-208366-2
紙の本
ミスティック・リバー
若い女性の非業の死。被害者の父、担当刑事、疑われた男。3人は、かつて少年時代の友人だった。3人の運命が再び交差した時、新たな悲劇の幕はすでに上がっていた…。【「TRC M...
ミスティック・リバー
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商品説明
若い女性の非業の死。被害者の父、担当刑事、疑われた男。3人は、かつて少年時代の友人だった。3人の運命が再び交差した時、新たな悲劇の幕はすでに上がっていた…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
デニス・ルヘイン
- 略歴
- 〈ルへイン〉94年、「スコッチに涙を託して」で作家デビューし、シェイマス賞の最優秀新人賞を受賞。
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紙の本
文学的
2001/09/12 11:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
犯罪によって、運命を結び付けられた少年たちの、その後の悲劇を追う、文芸色豊かなミステリー大作。クリント・イーストウッド監督、ブライアン・ヘルゲランド脚色により映画化決定。
紙の本
分岐点も通過点に過ぎず
2004/07/16 15:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年の頃の遊び友達3人は25年後に刑事、被害者の父親、容疑者として再会します。事件はミステリアスですが25年前の少年の時に遭遇したある事件とつながって(有る意味匂わせながら)いるかのように見えてきま。だけど、そんな簡単じゃないのですね。やはり良い作品の共通事項、登場人物が肉薄するように書き込まれその背景もいろいろなエピソードに織り込みつつ違和感なく受けいることが出来ます。外国の本って全体的にこんな書き方が多いですね。端役にでさえ存在感を与えていますから全体に重みが増すわけです。
内容を書くわけには行かないのですが、ミステリアスは事件そのものとその背景、両方にありそれぞれが進行して行き、ラストに初めて何故背景描写にあれほど書いたのかわかります。事件そのものの進行も面白いのですが裏に潜む本当の事件が理解できないと半減してしまう可能性があります。取り方によっては別な見方が出来てしまう恐れがあるのでこの作品の評価はいろいろ出てくるのじゃないかと思います。
人生、いくつもの分岐点を通過してきます。それが意識できる場合も無意識の内にでも。でも、分岐点の選択は必ずしも以後の人生に影響を与え続けるわけではなく、以後もまた分岐点があり、それが延々と続いているのではないでしょうか。一つの分岐点が以後の人生に影響するなら、我々はこの世に生を受けた時こそ最初の分岐点で人生宿命論になってしまいます。選択が失敗でも以後、いくらでも修正の分岐点が来ているはずです。それに見落とすか、また気が付いても選択しなければ元の木阿弥ですね。人生やり直せる・・・・と思わなきゃ生きて行くのは辛いです。安全な国、日本もアメリカナイズされ犯罪も想像も付かない事件が次々起こってきています。ミステリーを追い越してしまう現実なんて誰が望むのでしょうか。
紙の本
みんな誉めすぎじゃないの
2002/03/21 22:03
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投稿者:ダグ - この投稿者のレビュー一覧を見る
クリント・イーストウッドが監督して映画化するそうだが、なぜ世間がそれほど絶賛するのか正直分からず戸惑っている。これが、ミステリーとして必読の1冊なんだろうか。いや待て、分かった。これはミステリーではなく、映画化を意識した長編小説なのだ。そう考えれば、少年時代の事件が本編全体に与える影響や、必要以上に個性的な登場人物たちが織り成す人間ドラマは、意外と映画的には面白いのかもしれない。
結論、正統派ミステリーを期待する方には、お薦めできない。
紙の本
よく読めましたね?
2004/02/12 10:40
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投稿者:masarun3 - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画はまだ敢えて見ておりません、まずは読んでからと思いましたが、苦痛でした。
私にとって原書のほうが(紀伊国屋で立ち読み)、スーと読め、作者の意図や描写がすんなり入ってきました。是によって結末までドキドキ、わくわくしながら読めました。
加賀山氏の訳には閉口します、句読点が少なく、抽象的日本語化で、作品の面白さを打ち消しています。もったいない限りです。
紙の本
三人の人間の25年間に渡るドラマをものの見事に書ききった傑作!
2001/12/13 22:18
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投稿者:里見孫壱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
その昔、ショーン、デイヴ、ジミーの三人の少年が、アメリカの片田舎、イースト・バッキンガムに住んでいました。ある日、三人が遊んでいるとき、ショーンとジミーが喧嘩を始めました。そこへ二人のお巡りさんが通りかかりました。お巡りさんは言いました。
「おまえら、道の真ん中で喧嘩してもいいと思ってるのか?」
車に乗れ、とお巡りさんは言います。喧嘩の当事者だったジミーとショーンは乗らず、警官の気迫に押されたか、デイヴは車に乗りこみました。デイヴを乗せた車はやがて走り去りました。
そのあと、事の顛末を聞いたショーンの父親は不審に思い、警察に問い合わせました。そうすると、そんな警官などいないというではありませんか。デイヴを連れ去ったお巡りさんは偽者だったのです!!
誘拐されてから4日後、デイヴは自力で誘拐犯の下から脱出してきます。しかし、戻ってきたデイヴは既に以前と同じデイヴではありませんでした。
そして25年後—。
暗黒外の大立者になり、出所後は堅気で通しているジミー。刑事になったものの、妻に去られたショーン。いまだ心の中に狼を抱えるデイヴ。そんな中、ジミーの娘が死体となって発見された。捜査線上にはデイヴが浮かぶのだが……。
本書は、角川文庫より出ている『スコッチに涙を託して』に始まるパット&アンジ—・シリーズで知られるデニス・ルヘインの単発作品である。(角川ではレヘイン名義)オーソドックスともいえる、私立探偵を主人公にした作品を世に送り出してきたルへイン。この作品では、三人の人間の25年前と現在に渡るドラマをものの見事に書ききり、シリーズを離れても、その実力を発揮できることを充分に証明して見せた。海外ドラマによく見られる群像ドラマの形を取りながら、三人の思いを書き込みつつ、ラストに向かって集結させていく手並みは素晴らしい。三人の運命が再び交錯した後に訪れるラスト、読者はなんともいえぬ感情を漏らすに違いない。登場人物たちの、必死の問いかけ、呼びかけが心を揺さぶる。それは私たちが実際の人生の中で、そういった問いかけや呼びかけに、答えることができないのを知っているからだ。
いずれにしろ、今年一番の注目作であることは間違いない。傑作がまたここに一つ、誕生した。 (bk1ブックナビゲーター:里見孫壱/ライター)
紙の本
自己の行動原理に固執する群像
2001/11/18 19:49
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投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
デニス・ルヘイン「ミスティック・リバー」は、三人の登場人物の三代に渡る悲惨な物語である。残酷な物語である。現代アメリカ社会の底辺に近い(と思われる)生活環境に生まれた11歳の遊び仲間三人。その一人が遊びの最中、男たちに誘拐され、性的幼児虐待をうける。この事件は、誘拐の現場で、なすすべなく逃げ帰った二人も含め、彼らの心に消えることのない深い傷を与えた。そして25年後それぞれの人生を送る彼らであったが、一人が最愛の娘を惨殺される。一人は加害者と思われる。もう一人はこの殺人事件の捜査官となる。
追うもの追われるもの復讐を誓うもの、その家族たちのあまりにも深い心の闇、そこにある煮えたぎる暗い情念には鬼気迫るものがあった。
登場人物の感情の起伏には、それは時には家族への愛であり、自分自身への憤怒であり、敵対するものへの憎悪であるのだが、彼らの成長過程の詳述と緻密な心理描写によって、読むものの心を強烈に揺さぶるものがある。各所で生理的な共感を覚えた。
ただし、この物語の人々には、あるいはアメリカの根底には社会規範、倫理、あるいは神、つまり人間が生活していくのに共通するモノサシは存在していないと断定するノワールな現実があるのかと思うとぞっとする。どうやら「存在」という認識がそもそもないのだから、これを「否定」する面倒な論理もそこにはない、そんな状況のようである。「人々が、ただやりたかったといった程度の理由で強姦し、盗み、殺しあうのを見て夜を過ごすうちに、人が罪を犯す動機について(奥さんと友達が)夜通し語り合うのにある日突然耐えられなくなった」。社会とはかかわりのない自分だけの行動原理があってそれを声高に主張し、忠実に従う。「ある人たちが神やナスダックや『世界をつなぐインターネット』を信じているように、彼も自分のことを信じているように思えた」。神は信じなくてもナスダックは信仰しているのがアメリカと思っていたが、神もインターネットも一括りにして信じるものを放棄し、自分だけで構築した行動原理に執着する。いやだな、日本でもそんな人種が増えるのだろうか。