「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
たとえ障害をもった子供であったとしても
2004/05/08 21:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:吉田照彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
約1000人に1人。——これはダウン症の子供が生まれる確率である(本書の文中では500〜600人に1人と記されているが)。これを高いと感じるか低いと感じるかは個人差があるだろうが、僕は意外に高いと感じる。
ダウン症とは、23組の人の染色体のうち21番目の染色体が1本多いために起こる先天的な障害で、一般に、知的能力の発達や成長の遅れと共に、先天性心疾患、消化管の奇形などの合併症を生じるものである(「京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)」のサイト等を参照)
本書は、そのダウン症という障害を持って生まれた子供の成長過程における折々のエピソードを交え、その時々の両親の感情を事細かに書き綴った「成長記録」を通じて、その子を育てていく上での悩み、苦しみ、そして喜びを余すところなく伝えた手記である。
僕は本書を読みながら、なんとはなしに、先日読んだ「かまちの海」という本のことを思い出した。この本は、絵画や詩の分野で天才的な才能に恵まれながら、わずか17歳にしてエレキギターによる感電死という不慮の事故により夭折した山田かまちという一人の少年の生涯を、その実の母親が綴った手記である。山田かまち氏については、ご存知の方も多いだろうと思う。
ダウン症の子供と夭折した天才少年。——この両者には一見、何の関係もないように思われるかもしれない。だが、両書を読み比べれば、おそらくその共通点に気づかれることと思う。その共通点とは、すなわち子に対する親の愛情の深さである。
「かまちの海」の文庫版の帯には、たしか、「これを読めば、本当のかまちが分かる」というような一文が書かれていたように思う。この本を手にしたとき、僕が知ることを期待したのはまさにそれだったのだが、実際に読んでみての実感は、「これは一人の天才少年について書かれた特異な記録というよりは、むしろもっと単純に、一人の母親の眼を通して描かれた愛する我が子の成長記録である」ということであった。そういう意味では、僕はこの本にはいささか失望というか、肩透かしを食ったわけであるが、親が子を愛する心の深さというものはひしひしと感じることができた。
そして奇しくも、本書「ダウン症の子をもって」を読んで僕が感じたこともまた、それと同じだった。他の子供とは違った特性を持って生まれた子供を育てる過程において、様々な困難に直面し、時には重苦しい悲嘆に苛まれながらも、「あの子が初めてこんなことをした、初めてあんな言葉をしゃべった」というほんの小さな成長をとてつもなく大きな喜びをもって眺め、記録する両親の視線の優しさ、愛情の深さには、心からの感動を抱かずにいられなかった。
親ならば誰しも、我が子が障害をもって生まれてくることを望みはすまい。だが、ある一定の確率でそうした特性をもった子供が生まれてくることもまた、否定しようのない現実である。子供は自分の親を選んで生まれてくる、とよく言われるけれども、その“選ばれた期待”に応えることは並大抵のことではないだろうと思う。まだ子供を持ったことのない人間がこんなことを言っても少しも説得力はないけれど、僕自身、自分を親として選んでくれた子供の期待——たとえ彼らがどんな特性をもった子供であったとしても——に応えられる親でありたい。そのための心の準備が本書を読むことによって少しでも出来たら……そんな思いで、僕は本書のページを閉じた。
紙の本
ダウン症ってなに?
2001/10/31 12:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りさこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
町でダウン症の人を見かけたことはありませんか。
私はいつも疑問を持っていました。
ダウン症はどういう病気なのだろう、遺伝するのだろうか、日常生活はできるのだろうか、家族たちはどのような愛を彼らに注いでいるのだろうか、長く生きられるのだろうか、やっぱり家族は大変なんだろうなあ…などなど。
この本はそういったたくさんの私の疑問に答えてくれるとともに、いろいろなことを教えてくれます。
障害のある子供を持ったからこそ深まる愛、大きな喜びが生まれてくること、それは自分の子供だけではなく、他の人にも向けられる愛であること。
そして、成熟した社会というものに日本はまだ程遠いこと。
思わず笑ってしまうところもあり、涙が止まらないところもあります。両親や家族たちのこんなに多くの苦労がこんな薄い一冊に収まっていいのかと思わせる一冊です。