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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.7
- 出版社: 角川書店
- レーベル: 角川oneテーマ21
- サイズ:18cm/204p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-04-704042-8
紙の本
子供が「個立」できる学校 日米チャータースクールの挑戦・最新事情 (角川oneテーマ21)
著者 天野 一哉 (著)
アメリカのチャータースクール制度と湘南に新しい公立学校を創り出す会の活動を中心に、次世代の公立学校である「公立市民営学校」の可能性を探り、子どもたちの「個立」を育む21世...
子供が「個立」できる学校 日米チャータースクールの挑戦・最新事情 (角川oneテーマ21)
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商品説明
アメリカのチャータースクール制度と湘南に新しい公立学校を創り出す会の活動を中心に、次世代の公立学校である「公立市民営学校」の可能性を探り、子どもたちの「個立」を育む21世紀の学びと学校のモデルを展望する。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
「ここがロドスだ、ここで跳べ」
2001/09/28 11:00
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投稿者:みゆの父 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ようやく二歳になった娘が保育所に通ってもうすぐ半年。喧嘩して傷だらけになりながら、のびのび過ごしてるようだ。子供二〇人に保育士六人の「小世帯」なので父兄の声も通りやすいし、まずは一安心。そうすると今度は、親馬鹿な僕としては、次の小学校が気になる。一般に小学校は風通しが悪くて父兄の声が届きにくく、僕みたいな小さい保育所から来た父兄はカルチャーショックを受けるらしいのだ。本当かどうかはわからないけど、ちょっと不安な話ではある。そんなとき、全く新しい考えにもとづいた新しい公立小学校と、それを作る運動について書いたこの本をみつけたので読んでみた。
著者の天野さんによると、学校とは子供が自分で考えて決めることを教師や父兄が手伝う場で、子供が主人公なんだけど、実際はそうなってない。それは、カリキュラムや授業や学級や担任や通学区について、制度が画一的だからだ。こんな現状をかえるためのモデルとして、天野さんはアメリカにある二つの学校を提示する。子供が全てを決めるサドベリーバレー・スクールと、一定の基準のもとに父兄や教員が設立する公立学校(チャータースクール、CS)だ。実際、日本でもCSを作る運動はすでに始まってるし、各界の関心を引きはじめた。この本は、この運動の中心的な担い手である「湘南に新しい公立学校を作り出す会」の活動や各界(行政、政界、教育学界)の反応を描き出してる。
この本を読んで僕が共感したのは、次の二点だ。第一、「創り出す会」の基本的なコンセプトは「学びへと続く自己解放」(七四ページ)だ。最近の学力崩壊論争は「やる気か、基礎学力か」の対立になってるけど、「学びへと続く自己解放」はこの対立を乗り越える可能性を持ってると僕は思う(失敗する可能性もあるけど)。第二、藤田英典さん(教育学者)は、学校を選択する機会を広げる制度としてCSを捉え、選択を強制される、結局は親が決めるだけだ、学校を序列化する、と批判する。これに対して天野さんは、普通の公立学校もある、どんな子供にも判断能力はある、入学試験はない、と反批判する。この反批判はわりと説得力があると僕は思う。
でも、僕はCSには、魅力もあると思うけど、あまり共感できない。サドベリーバレー・スクール型の学校は、子供が学校に参加する機会を増やすから、僕は心から共感する。でも、まず、それとCSは違う。そして、CSからは、悲観主義(一般の父兄は学校に参加したくないし、一般の教師は父兄の学校参加を嫌う)と排他主義(僕らは違う)をミックスしたみたいな考え方を感じてしまう。そんな考え方だから、「地元の学校に無理やり参加して、もっとケチを付けよう」じゃなくて、「そんなことをしても無駄だから、自分たちだけでやろうぜ」になるような気がして、僕は共感できないのだ。
大体、ちょっと改革したら一部の父兄や教師に反対されて「その人たちの意見を無視して改革を断行することは、別の公立学校へ行く選択の自由のない彼らを強制している」(五二ページ)なんて考えてたら、「無関心な人や反対派をどう説得するのか」(一三二ページ)って問題は解けないだろう。自分たちと違う考えを持つ人々を根気強く説得し、逆に説得もされながら、彼らを巻き込んでくようなコミュニケーションが必要なのだ。
ちなみに、「地域」に対する天野さんの否定的な評価にも、僕は同じような問題点を感じる。ついでに政党の反応についていうけど、民主党の案なんて「CSも学習指導要領に従う」といってるわけだから、「創り出す会」の立場からすれば問題外なはずだ。
僕は、娘が小学生になったら、地元の普通の公立学校に通わせ、もっと参加させろってケチを付けつづけるだろう。僕の足場は僕らが暮らす地域であり、それはここなんだから。