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商品説明
ゲーム理論の枠組みの拡充と豊富な比較・歴史情報の結合によって、経済学、組織科学、政治学、法学、社会学、認知科学における制度論的アプローチを統合する。シュンペーター賞受賞作。日英中仏語版同時刊行。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
青木 昌彦
- 略歴
- 〈青木〉1938年生まれ。スタンフォード大学経済学部教授、独立行政法人経済産業研究所所長。日本経済図書文化賞、サントリー学芸賞、日本学士院賞などを受賞。著書に「現代の企業」など。
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紙の本
日本経済新聞2001/08/26朝刊
2001/08/30 22:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:西岡幸一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
各国の市場経済の特性、経済制度を、情報の経済学やゲームの理論を用いた普遍的な分析の枠組みから考察する「比較制度分析」のパイオニアといってよい著者の現時点での研究を集大成したものである。書名には「向けて」という言葉が入っており、研究途上ということを示しているが、著者とその共同研究者たちが生みだした独創的な収穫は実に多岐にわたっており、ずっしりとした読みごたえがある。日本をはじめとした先進国や移行期にある国の市場経済システムを研究する上で重要な定本になるのは間違いない。
著者はこれまで日本の経済制度の合理性や普遍性の解明から始めて、コンピューターやインターネットが及ぼす企業内や企業間の情報構造の変化、金融機関のガバナンス(統治)、さらには移行期諸国の制度問題や「シリコンバレー型企業」の革新性などへと分析対象や領域をどん欲に広げてきた。その節目ごとに『経済システムの進化と多元性』(東洋経済新報社)、『日本のメインバンク・システム』(同)などを著してきた。
本書を一読して分かるのは、これらの研究発展の足跡が見事に有機的につながっていることだ。視点が経済学にとどまらず社会学、法学、政治学、歴史学、心理学、生物学などの研究成果を踏まえた広い視野に立っているのにも驚く。そこから制度的な事例を具体的に拾い出し、理論的な説明を与えて、体系的に経済現象を記述する。
十年にわたる停滞に苦しみ、構造転換がスローガンになっている日本経済を考える上で興味深いのは、グローバル化や情報通信革命の下で、日本的特性は世界の主流に収斂(しゅうれん)していくかどうか、ということであろう。言い換えると、各国の経済制度は環境変化に対して同じように反応せざるをえないのか。本書の終章の分析はこれに疑問符を付けている。極めて刺激的な示唆ではなかろうか。
新しい研究領域の最新の成果を英文原著から訳しているためか、用語が必ずしもこなれていない。しかしそれも知的興奮の妨げにはならない。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001