「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
読まなきゃ損!(キッパリ)
2001/11/24 23:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikako - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公上杉鉄兵は中学生なのですが、夢想家の父のおかげで学校へも通わずに育ってしまいました。12年ぶりに帰った家で、初めて通う学校で、しかも礼儀に厳しい剣道部へ入部して、波瀾が起きないはずがありません。
決まりごとや礼儀などをはなから無視し、行く先々で騒ぎを起こす鉄兵の行為、字もろくに読めないような鉄兵の無学ぶり、あげくに酒だのタバコだのケンカだのと、こういった部分だけを取り出してしまうと中身を知らないお母さま方に子供に読ませたくない漫画、に入れられてしまいそうですね。
鉄兵周囲の人たちは、当然のことながら鉄兵を認めようとはしません。しかし鉄兵は周囲の雰囲気など全く意に介さず、あくまで自分の気持ちのままに行動します。そのために起きてしまうさまざまな騒動が描かれます。鉄兵のあふれる活力は、周囲の人々に激しく揺さぶりをかけます。鉄兵に対する怒りや動揺によって冷静さを欠いてしまうと、例えば剣道の試合での敗因などとなって自分に返ってきてしまいます。
鉄兵はまた、周囲の人々に世話を焼かせます。家族はもとより、担任の先生、友人、先輩にいたるまで、鉄兵の行動にハラハラしつい保護者のようになってしまう、といった感じです。だだっ子をもつ母親のようです(逆に鉄兵自身がみんなを引っぱっていく時には、鉄兵はまるで父親的な保護者のように見える場面もありました)。
キャラクター同士のぶつかり合う展開にも目が離せませんが、それに耐えうる個性を持つ、豊富で奥行のあるキャラクター構成が見事です。またストーリーの方も、鉄兵の巻き起こす大嵐とその前後の静かな場面というリズムを保ちながら、パターン化のない長い流れを持っています。何といっても「面白い」ことが最大の魅力です。剣道部を舞台に進行しますが、スポーツ根性モノではありません。ぜひ一読して面白さを体感してください。読まなきゃ損だとも思うのです。
1冊880円は文庫にしては高めかなと思われる値段ですが、本の厚さは3センチ弱、ページ数にして500ページ前後というボリュームで読みごたえがあります。全12巻ですが、どの巻から読みはじめても、またはどれか1冊だけを取り出しても充分に楽しめる内容になっています。
【まい My Books】