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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.3
- 出版社: DHC
- サイズ:19cm/293p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-88724-207-7
紙の本
遺伝子革命と人権 クローン技術とどうつきあっていくか
著者 ジャスティン・バーリー (編),リチャード・ドーキンス (ほか著),石井 陽一 (訳)
リチャード・ドーキンスほか、遺伝子研究の最高峰15人が、クローン技術の未来を熱く語る。21世紀、ゲノムの時代を人はどう生きるべきか?【「TRC MARC」の商品解説】
遺伝子革命と人権 クローン技術とどうつきあっていくか
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収録作品一覧
ヒトのクローン | ヒラリー・パトナム 著 | 28-43 |
---|---|---|
私のクローン人間否定論 | アラン・コールマン 著 | 44-51 |
ドリー:生物学的コントロールの時代 | イアン・ウィルムット 著 | 52-63 |
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紙の本
クローン人間は許されるのかどうか?
2001/06/19 02:10
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投稿者:森岡正博 - この投稿者のレビュー一覧を見る
羊のクローンが誕生したのは、一九九七年のことだった。その後、あっというい間にクローン技術は世界中に広がった。そして、昨年から今年にかけて、クローン人間を作る準備をすすめている団体の存在が明らかになって、国際的なセンセーションを巻き起こしている。
たしかに、クローン羊が誕生したときには、アメリカのクリントン大統領や、ローマ法王たちが、それを人間に応用することは許されないと、語気を強めて宣言したものだ。だが、その後、実際に、「死んだ自分の子どものクローンを作ってほしい」と望む親が、世界中で現われたり、「クローン人間を作ることのどこが悪いのだ」と疑問を投げかける倫理学者たちも現われた。
本書は、一九九八年にオックスフォード大学で開かれた講演会の記録なのだが、その内容のほとんどが、クローン人間は許されるのかどうかに絞られている。クローン人間擁護派と、反対派の著名な学者が入れ乱れて、大論戦をやっている。クローンの倫理問題も、ほとんど出そろっているので、このテーマに関心をもっている人にとっては、必読書と言えるだろう。
この本のなかで、だんとつにおもしろいのは、倫理学者ジョン・ハリスの、クローン人間擁護論だ。彼は、クローン人間への反対論を、ひとつひとつ論破してゆく。たとえば、クローン人間は人間の尊厳に反すると言うが、具体的にどのような尊厳に反するのかが示されていない。あるいは、クローン人間は人間を道具化するものであると批判されるが、そもそも親が子どもをほしいと思って産むこと自体が、子どもの道具化ではないのか。
ハリスは、親は「自分の子どもを特注するに当たって自由な選択権を持つべきだ」と主張する。そして、クローン人間を禁止するのは、「レイプのおそれがあるからという理由で性行為を禁止するのと同じである」と断言するのだ。
ハリスの、この暴走気味の論説に対して、並み居る論者たちは、きちんとした反論ができていないように見える。でも、それでいいのか? 考えさせられる本だ。
初出:信濃毎日新聞
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