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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.3
- 出版社: 新潮社
- サイズ:22cm/393p 図版32p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-10-540501-2
- 国内送料無料
紙の本
メイプルソープ
完全なる瞬間を写し取る天才的感性とタブーなき同性愛美学を融合し、アート界の寵児となりながらエイズにより早世した写真家ロバート・メイプルソープ。その苛烈な生涯を彼自身の声と...
メイプルソープ
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商品説明
完全なる瞬間を写し取る天才的感性とタブーなき同性愛美学を融合し、アート界の寵児となりながらエイズにより早世した写真家ロバート・メイプルソープ。その苛烈な生涯を彼自身の声と綿密な取材で明かすポートレイト。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
パトリシア・モリズロー
- 略歴
- 〈モリズロー〉マサチューセッツ州アンドーヴァー生まれ。タフツ大学卒業後、ニューヨーク大学でファイン・アートの修士号を取得。『ニューヨーク』誌のコントリビューティング・エディター。
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紙の本
何一つとして堀り下げられていない。食い足らなかった。
2001/04/04 15:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぼくは畸人怪人が好きなので、写真家メイプルソープのこの伝記、期待して読んだが、残念、食い足らなかった。本書は1988年、「伝記を書きたい」と申し入れ、ロバートがエイズで死ぬ1か月前の89年3月9日まで、計16回行なったインタビューを元にして書かれたものである。ロバート・マイケル・メイプルソープ(1946〜89)の父、ハリー・メイプルソープは、創業1894年のアンダーライターズ・ラボラトリーズ(電気製品などの安全性を確認する会社)で1980年まで、電気製品器具の安全基準チェックの仕事をしていた。しかし、退職後不幸が続く。まず妻ジョーンは1985年、肺気腫のため5ヶ月間、集中治療。お気に入りの息子リチャードも肺癌と脳腫瘍のため1986年、急死。それから3年後、ロバートも死ぬからだ。ロバートがLSD体験をしたのは1966年夏のことだった。以来、死ぬまでの20数年、彼が多種多様なドラッグを止めたことは一度もなかった。パティ・スミスに初めて会ったのは1967年の春、二人とも20歳だった。彼は子供の頃から同性愛者だったが、パティはその頃、先天的な「眼球振盪」(生理的と病的とがあるが、眼球が律動的に反復する)のため黒い眼帯を付け、おまけに猩紅熱をやったばかりで髪も抜け、部分的に禿げてもいた。パティはまた、ずっと男の子になりたいと願い、肉体も嫌悪していたが、他人の前で裸になるのは平気だったようだ。この年の秋に同棲した二人は、5番街の玩具屋でパティはキャッシャーを、ロバートは窓拭き仕事を始めるが、経済はパティの手に委ねられていた。ロバートはパティに、自分がホモと洩らしたことはなかった。パティは間もなく、他の男が好きになる。金髪の抽象画家ハウイ・ミシェルだった。そのことを知ったロバートは気が狂いそうになる。ロバートにとってパティは、「ホモの世界」に行かぬ最後の防壁だったからだ。一方、ハウイに捨てられたパティも自滅寸前だった。そこで精神病院に行く代わりに、妹リンダと一緒にパリに行き、大道芸人の一座に加わって3か月ほど働いたりする。再度NYに戻った彼女はロバートとも頻繁に連絡を取り合い、結局食い詰めた彼ら二人は、無名のアーティストらの巣くうチェルシー・ホテルに移る。そこで彼らは30代半ば、背の高いエレガントな金髪の女性映画作家・写真家サンディ・デイリーと知り合う。1970年春、24歳になった彼らはホテルを出てロフトに住み、パティは劇作家サム・シェパード(26歳)と恋に落ちる。ここまでで3分の1だが、ここからロバートは、リッチで二枚目のキュレーター、サム・ワグスタッフと出会い、写真家としての道を歩き始めるのだ。食い足りぬといった意味は、ロバートの内面が完全に払拭されていること。もう一つは、終生、ロバートは「写真」に消極的だったが、それでも猥褻写真を撮り続けた意味。彼は世界をどのように捉えていたのか等々、何一つとして掘り下げられていないからだ。