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学力があぶない (岩波新書 新赤版)
深刻化する学力低下に対して、新学習指導要領は基礎学習の時間をさらに削減するという。教育制度、総合学習、英語教育など多岐にわたる問題について、現場の声をまじえ、国語学・数学...
学力があぶない (岩波新書 新赤版)
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商品説明
深刻化する学力低下に対して、新学習指導要領は基礎学習の時間をさらに削減するという。教育制度、総合学習、英語教育など多岐にわたる問題について、現場の声をまじえ、国語学・数学の立場から鋭く切り込む。【「TRC MARC」の商品解説】
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2021時点で20年前の学力崩壊論議
2021/09/30 23:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
文系と理系の二人の学者が、
膝突き合わせて当時の日本の
学生生徒の学力水準の凋落ぶりを
嘆き合う、という体裁の本です。
二人の対談において大野氏が、
論文を書いたり議論したりする為に
「ほんとうに英語をやっておけばよかった」
と述べたくだりに衝撃を受け、それを
受けて上野氏が、
「日本語がきちんとできていなかったら
絶対に英語がしゃべれるはずがない」
と発言したところを読んで安堵の胸を
なでおろしました。
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学力があぶない
2001/03/15 12:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:7777777 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大野晋氏と上野健爾氏両氏の共書。近年行われようとしているゆとり教育を憂慮する二人が文部省にたいして危機感を感じている。
背帯の言葉が印象的、2002年から実施される学習指導要領は、五千円札を出したときに電卓を使わないとお釣りが計算できない大人をつくろうとしています。
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国語や算数・数学などにおける日本の子どもの学力低下に警鐘を乱打
2001/02/15 18:15
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木力 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここ十年ほど日本の子どもの学力低下が目立つという。年少の子どもだけではなく、東京大学のようなエリート教育の場の学生についても、学力低下を叫ぶ声が珍しくはなくなった。一方、日本の教育に最も大きい責任を負う文部省は、これまでの教育は知育偏重であったとして、授業時間を三割削減するなどの「ゆとり教育」を打ち出している。実際、新学習指導要綱では、その方針が貫徹されることが必至になっている。本書はこういった方針では、学力低下がますます激化するとして、教育界の抜本的見直しを求めている。私は、全国民が著者たちの真摯な声に耳を傾けるべきであると考える。
著者の一人の大野氏は、日本語の起源について独創的な学説を提示したことで知られる国語学者で、もう一人の上野氏は数学教育に関して見識ある所見を披瀝している数学者である。ほかにも音楽教育、国語教育の現場に立っている重要な人々が、著者たちとの対話に参加して興味深い観察を提示している。
日本の子どもの学力低下で、とくに見逃すことのできないのは、国語の力と算数・数学の力が著しく落ちていることである。これらは「読み書き算盤」あるいは3Rとして、国民の知力を測る指標として重要視されてきた。日本は、少なくとも江戸時代から、これらの能力において、欧米先進諸国以上であると考えられてきたし、外国からも模範と仰がれることすらあった。その意味では、近年の学力低下は、数十年単位ではなく、数百年単位での大きな由々しい変動と言えることがらであろう。
著者たちは、このような学力低下を食いとめるのにさまざまな方策を打ち出している。授業時間を削減するような新指導要領の方針を少なくとも基礎学力とされる国語や算数・数学においては止めること、教師が生徒の友達のような存在から毅然とした先達としての役割を果たす存在に変わること、家庭でのしつけを甘やかさずにやること等々である。これらはすべてが正論であると思う。
私は近年の日本の子どもの学力低下、モラルの低下はたんに子どもたちだけの問題ではないと思う。大人の精神自体が批判性を低下させて、おかしくなっているのである。少なからざる識者が指摘しているように、日本社会そのものが音を立てて崩れつつあり、自信を喪失している。しかし、このような現象にはなんの不思議もない。新自由主義の競争万能の思想では、経済界もが真の活力を取り戻すことなどできない。
ともあれ、日本人の最も基本的な精神基盤が怪しくなっている。これを防ぐ方策は現実にあり、そう困難なことではない。読者は、ぜひ本書の著者たちの警世の声に耳を傾け、日本人の精神・知力の再建に志されんことを。 (bk1ブックナビゲーター:佐々木力/東京大学教授 2001.02.16)