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著者/著名人のレビュー
TV番組で江戸風俗の...
ジュンク堂
TV番組で江戸風俗の解説をしていた杉浦さんをご記憶の方も多いと思いますが、この人の真骨頂はこの本にこそあると思います。
今でこそいろんな形で「怪異」についての情報が有象無象、氾濫していますが、この作品連載当時の1986年には、ほとんど一般には膾炙していなかったのです。本になるのが待ち遠しく、初単行本の新潮社版の愛蔵本に、自分のポリシーで日ごろは絶対しない書き込みが、珍しくあります。
「其ノ六 墓磨きの話」には、“藤岡屋日記に記述あり”「其ノ七 鰻の怪」には“耳袋 巻一に記述あり”などなど。きちんと調べた訳ではないですが、他にも北総瑣談や遊歴雑記・一話一言など、所謂文学作品としての百物語以外から怪異を拾っていると思われるものが多いようです。(確証なし)
また、最期は百物語らしい怖いばかりではない終わり方、かつ現代人にもわかるような結びになっています。まったくこの人は懐が深い。
紙の本
日常と溶け合う怪異の味わい
2011/11/04 17:38
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「百物語」といえば、昔(江戸時代?)の一種の遊びのようなもので、人が集まってそれぞれ怪談を披露する、そのときろうそくを100本灯しておいて、話が一つ終わるたびに1本ずつ消していく、そして100の話が終わってろうそくを全部消すと、本物のお化けが現れる、そんなことだったと思う。意外なことに侍が始めた、という説もある。森鴎外にも「百物語」という短編があるから、明治になってもやっていたものか。北村薫にも、これをネタにしたホラーものの短編「百物語」がある(『1950年のバックトス』所収)。
このマンガも江戸風俗の100の怪談を集めたもの。いや、実際には最後の話は残してあって99話という洒落た作りだ。杉浦日向子さんといえば、昔MHKの『お江戸でござる』とかいう番組に出て、江戸を舞台にしたコメディのあとで江戸の風俗の解説をしていた。いつも着物でニコニコ笑いながら上品な語り口だった。漫画家とわかってびっくりしたものだ。
独特の絵とあいまって、どれも味のある怪談である。あまり怖くないのは、ホラー物語のように怖がらせようという意図やら、暴力性がないからだろうか。どれも不思議な怪異な話ではあるのだが、むしろしみじみとした味わいを感じた。怪異なものが日常の中に当たり前にあった世界を感じさせる。
しかし基本的な疑問がある。これはいわゆる百物語として知られた話を杉浦さんがまとめたものなのか。それとも設定やら雰囲気だけを借りたオリジナルなのか。「解説」と称した文章があるのに、なんら解説になっておらず、その辺もまるでわからないのはかなり不満だ。が、本の中身には満足。
紙の本
夜中に読んでみませんか?
2001/04/25 10:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あとりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のシンプルな絵柄と、とつとつとした語り口が、現代にはない世界を作り出しています。
夜の闇だけでなく、昼の光、黄昏の夕闇の中でも、私たちが知っているものとは違う空気が漂っているのです。その中で江戸時代の人々の日常が描かれているのですが、その日常から突然生まれ出る異形までも、さりげなく描かれています。それがすごいのです。
素朴な不思議話というものもたくさんありますが、その中に鬼気をはらんだものもあるのです。昼間に読んでいても、ぞくっとします。
未だに夜中に一人で読んでみたことはありませんが、また違う空気を感じられるかもしれません。
紙の本
江戸の怪談話は、なんとも豊かな気がした。
2020/08/05 19:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルとなった「百物語」は、そもそも江戸の頃に流行った怪談会のスタイル。そこに、題をとって雰囲気ある漫画で語られた杉浦日向子の「百物語」は、深い森とか、終わり無くはるかに続く広いのっぱらの雑草の影とか、家屋の片隅にある暗闇とか...かつて、そんなところに潜んでいたモノが、やっと本のページの合間合間にひっそり隠れる場所を見つけ、「やれやれ」と安堵のため息をついているかのような物語でした。
語られる怪談自体は、幽霊や妖怪が登場する話ではなく、いわゆる不思議話・因縁話。それでも夕暮れ時などに読みふければ、ぞくっと恐い。
紙の本
ベスト
2019/07/25 09:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yo - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸を舞台にした掌編怪談集。この作者の漫画を初めて読みましたが、傑作すぎますね!これまで読んだ漫画の中でもベストかも。小説でいうなら行間のような、描かないで描く余白の活用が凄いと思いました。
「地獄に呑まれる話」や「他人の顔の話」など心底ぞっとするものもあれば、齢を重ねた猫が人間の言葉を一言しゃべるだけという、のほほんとした話もあります。理由もない解決されることもない、理不尽で不可解で、ちょっと怖かったりおかしかったり哀しかったりする怪談の世界にすっかり引き込まれました。
紙の本
好きな本
2018/07/24 08:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オラフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
あるホラー作家が「この本は凄い! 僕はこういう本が書きたいと思っていたんだ。大好きな本だから何度も読み返してボロボロになってしまったよ。」といっていたので読みました。
うん、読んでよかった。江戸の暗闇は怖い。電気がないし、行燈のあかりでは弱いだろうから、大人も子供も怖かったのでしょうね。何かがいる匂わせ方はうまいし、何かが出たときの徹底的なグロさの描写は大きな差があります。緩急ありテンポが良いです。時代小説好き、ホラー好きも満足すると思います。
紙の本
百日たったら
2017/02/28 11:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:route - この投稿者のレビュー一覧を見る
一日一話。
短いけれど、3ページくらいで終わっちゃうけれど
一日一話。
百日たったらどうなるのかしら・・・と思ったけど何もおこらない。
九十九話で終わっちゃっているから。
また再読。
一日一話。
紙の本
グロテスクではない
2013/04/29 18:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:部屋住冷飯郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
怖い話、というよりは怪異な話が集められた短編集です。背筋も凍るような、夜寝れなくなるような恐怖はないのですが、そこはかとない不気味さはあります。しかし決してそれはモンスター的なグロテスクさではなくて、生身の我々人間と紙一重の存在としての不気味さです。紙一重なのですが、そこは完全に異界の者たち。しかし紙一重なのです。まさに日本霊異記とか雨月物語とかと同じ世界観なのですが、日本的な死生観とか素朴な信仰心みたいなものに触れてくる作品です。一読二読といわず、愛読をおすすめします。
紙の本
人間臭さを眺める目
2002/06/09 23:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カズイ・ヤナギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
杉浦作品はみな押しなべて傑作ぞろいであると思います。
そしてその特徴がとても「人間」を描いている、という事。
私は関西人ですが、杉浦作品の舞台である「江戸の人間」にとてもリアリティを感じます。
この作品も「百物語」という以上、怪異を描いているのですが、やはりそれを見て、語るのは人間なのです。
不思議な出来事があって、それを当然のように受け止めて、やり過ごす人々はとてもいとおしく感じます。
そして、私は別に懐古主義ではありませんが、昔の人々は何か普段とは違うこと、すなわち怪異に出会ってもとてもナチュラルに対応していてほんの少し羨ましかったりもしたり…。
少し怖くて倖せな作品集です。
紙の本
ふしぎな怪談
2002/02/16 16:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「怪談」とはいっても、「恐怖」よりは「幻想」の趣が強い。江戸人にとって怪談とは、「怖いはなし」というよりも、「不思議なはなし」という思いが強かったのだろうか。
杉浦氏のどの作品にも言えることだが、リアル過ぎないシンプルな絵が、逆にリアルな世界を描き出している。ゆっくり、淡々と語られる物語たちは、読者の感性に直に呼びかける。科白もコマも少なめな為、速く読んでしまうことは可能だ。しかし、それで速く読んでしまうような人には、この作品の良さは分からないだろう。
紙の本
お隣の怪異
2001/09/27 21:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たしろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸の日常にひそむ九十九の怪異を、多様なタッチで見せてくれる。百の物語を語ってしまうと、ばけものが現れるというので、一歩手前でおくのだとのこと。
読めば怖い。強烈にせまってくる恐怖ではなく、じわりとくる。私は夜中に寝床で読んで、思わず布団にもぐりなおした。
しかし、どうだ。ここに登場する人たちはいったい怖がっているのか? どうもそうは見えない。楽しんでいるわけではない。が、馴れっこになっているという感じ。どんな怪異に出会っても、その表情はこちらが拍子抜けするほど淡々としている。近ごろ流行りのホラーに出てくる、これでもかこれでもかとショックを繰り出され、わめきながら逃げ惑うような登場人物たちではない。起こったことをきちんと受けとめ、すうっとそれを許容してしまう。いわば、すぐ隣りにあるものなのだ。
江戸というのは、そういう場所であり、時代だったのだろうか。聞くところによれば、大きな都市でありながら、自然とうまくつきあえる人たちのくらすところだったという。人もばけものも狐も狸も木も草も、いっしょくたになって生きる都市。
ちょっとうらやましいぞ。怖いけど。