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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1999.10
  • 出版社: 早川書房
  • サイズ:16cm/485p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-15-110101-2
文庫

紙の本

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

著者 ダニエル・キイス (著),小尾 芙佐 (訳)

【ネビュラ賞】【「TRC MARC」の商品解説】

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アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

税込 902 8pt

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評価内訳

紙の本

知性か感情か、それが問題だ、そして超高齢社会に係る問題提起の書

2010/02/02 12:17

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:風紋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『アルジャーノンに花束を』は、まず中編小説(1959年)として世に送られ、ヒューゴー賞を受賞した。ついで、書きあらためられた長編小説(1966年)に、ネビュラ賞が与えられた。
 世界各国の老若男女多数から支持された、SFの傑作である。

 本書の主題は、日本語版文庫への序文に明らかである。
 すなわち、知識/教養は「人と人との間に楔を打ちこむ(障壁を築く)可能性がある」から、学校や家庭で「共感する心というものを教えるべきだ」
 愛情を欠いた知能は、精神的道徳的な崩壊をもたらし、神経症ないしは精神病すらひきおこす、と主人公は小説の中でいっている。人間関係を排除する心は、暴力と苦痛にしかつながらない、と。

 主人公、チャーリー・ゴードン(32歳)は、知的障害者【注】である(医学的に
いえば精神遅滞者)。全編の言動から推定するに、発達遅滞の程度は、「裸の大将」で知られる画家、山下清よりもやや重い。
 亡伯父の親友の保護下で、パン屋で働いていた。地域の子どもからからかわれ、同僚からあなどられつつも、その正直、暖かさ、率直、思いやりを愛する「ともだち」がいた。


 ビークマン大学がチャーリーを被験者として選び、かしこくなる手術をする。
 効果は驚異的だった。急速に知能が伸び、術後1か月で大学生と対等に会話をかわすにいたる。
 だが、よいことばかりではない。善悪の識別が可能になったため、あらたに葛藤が発生したのである。
 チャーリーは、同僚が店の金をくすねる現場を見つけた。不正を糺して「ともだち」を失うか、知らぬふりをしてよき保護者の損害を見過ごすか。ばかにしていた男のめざましい知的成長に、同僚たちはいらだち、敵意をつのらせる。
 チャーリーは馘首された。

 知能はどんどん高まり、天才の域に達する。多数の言語、数学、物理学、経済学、地質学、ありとあらゆる知識を吸収していく。
 術後3か月たった。自身の症例が報告される学会にチャーリーも参加した。ここで学者たちの無知、無能を知り、チャーリーは愕然とする。
 学者たちは、居心地が悪くなった。天才となったチャーリーの学者たちに対する関
係は、学者たちの知的障害者に対する関係と同じなのだから。

 学者たちは、チャーリーを単なる実験の対象としか見ていなかった。天才である今
の自分も知的障害者であった頃の自分も人間であることはかわりがないのに、学者たちが注目するのは今の自分だけである。
 不満を抱いたチャーリーは、学会から逃げ出す。
 彼の手術に先立って被験体となったねずみ、アルジャーノンとともに。

 チャーリーは孤独だった。
 恋人はいた。チャーリーに暖かな目をむける教師アリス・キニアンがそれだが、知能の高まりにつれて、アリスはついていけなくなった。
 チャーリーの知識を求める心が、アリスの愛情を排除してしまうのだ。
 知的な自由をもちながら人々と感情を分かちあえる方法を、チャーリーは見つけることができない・・・・。

 ところが、ある事態が生じて急転直下、チャーリーの悩みは解消される。
 それは、たしかに幸福な結末だが、別の側面からみると不幸な解決のされ方だった。
 チャーリーがのこした手記の末尾は、涙なくして読めない、と或る友人は漏らした。
 同感する人は少なくあるまい。

 このSFは、読者にさまざまの考察を強いる。
 たとえば、知性と感情との関係について。感情は客観的であり知性は主観的であ
る、と三木清は通念に逆らって独特の見解を示したが、本書を念頭におくとわかりやすい。三木のいう「客観的」とは、多数に分かりやすい、というほどの意味である。そして、「主観的」とは、多数に理解されにくく孤独な立場に身をおく、といった意味だ。
 あるいは、超高齢社会の今日的な疾患、軽度認知障害(MCI、Mild Cognitive Impairment)について。知的障害は発達期(おおむね18歳まで)に生じるのに対し、軽度認知障害は成人に生じる。また、知的障害は知的能力の獲得に遅れがあるのに対し、軽度認知障害はひとたび獲得した知的能力が減少する。こうした相違があるものの、両者の感情面は損なわれない。むしろ、敏感でさえある。この点に注目すれば、本書、チャーリーの一代記は、児童のキュアまたはケアに関わる人にも、高齢者のキュアまたはケアに関わる人にも(当事者にも)、多くの示唆をあたえてくれる。

【注】

 「知的障害」は、日本にしかない行政用語。従前の用語、「精神薄弱」は差別感を助長するという理由で、1999年施行の「精神薄弱の用語の整理のための関係法律の一部を改正する法律」に基づき、関係法令が一斉に改正された。

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紙の本

アルジャーノンに花束を

2007/03/19 01:02

10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ほげほげ - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み終わったあとには残ったのは虚しさだった。
結論としての救いが無い話である。
映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を見た時の感じにそっくりだった。
ただ「知の虚しさ」で括ってしまうのは浅はか過ぎる。
この本が書かれたのは40年以上も前だった。
その時代を生きた筆者が感じていた人間達の本質と現代のそれは何も変わらないままだ。
その時代から今まで、何人の人間達がこの本を手にしてきたのだろうか。
この本を読んで、自己満足で涙を流した人間がのべ何百万人いたのか知らない。
世の中とはいつの時代も変わらないのだろう。
「いじめ」もあれば「ごまかし」もあるし。
「やさしさ」は自己満足の手段でしかないし、それでは何も変わらなかった。
人間の本質はいやらしく醜いと改めて実感できる。
個人によって定義は違うだろうが、『幸せ』に生きることに必要なのは「知」と「要領」なのだろう。
あとは、そこにできる隙間を自己満足で埋めていけばいい。
人に花束を。

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紙の本

儚く脆い、一筋の光。

2003/08/12 01:31

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 不朽の名作である。
 本書は高校の卒業式の日に恩師から戴いたものだ。読後はしばらく、本書の事しか考えられないほどの感銘を受けた。

 最初は、平仮名ばかりで誤字・脱字も多く読みづらくてページがなかなか進まなかった。不必要な濁点、句読点で集中力は途切れ、何度も休憩を取っていた。
 主人公は知能が低いためにいじめられていてもそれを“いじめ”とは判断しない。考えてみればそれはそれである意味幸せかもしれない…。“いじめ”だと判ってしまえばそこから憎しみや悔しさ、情け無さなどのあらゆる感情が慌しく誕生するだろう。負の感情は人の心を決して豊かになどしてくれない。
 だけど主人公は、頭がよくなることを切望したのだからそれが叶えばいいなと願っていた。頭が良ければ行動範囲も視野も広がるし、なんらかの流れを塞き止めている頑強な壁のようなものが瓦解するわけだから、知識はわんさかと押し寄せるだろう。普通に生きていれば、使えば成長する脳についてなど真剣に考えないが、本書を読むことによって知能のすごさを思い知った。言語、学識。生活における必要最低限は心得ているつもりだが、それは当たり前ではないと知って少なからず衝撃を受けた。
 しかし本書で最も悩んだのは頭が良くなっていくにつれて、主人公の本質が歪んでしまったことだ。知能が常人よりも優れることで奢れ、溺れ、少しばかり嫌味っぽくなった。こんな人じゃない、と何度も思ったのだ。そこで私は、急激に知能を高めるのは極めて危険だと思った。脳が急激に成長することの反動か、心は伴っていかない。プレッシャーやジレンマに唸る。そしてゆっくり、しかし確実に人間という生き物に畏怖の念を抱くようになる。
 
 アルジャーノンの身に起こる様々な問題は、主人公の未来を示唆している。アルジャーノンが迷路を走らなくなったのは、人為的に発達させた脳が退化したからだ。主人公がその先どうなってしまうのかを暗示している。アルジャーノンはいつだって主人公の一歩前を歩んでいたから…。切なくて息が詰まった程である。
 やはりなんだって自然が良いのだと思う。人間の手が加えられたものは絶対に元通りにはならない。動物だって一度飼いならしてしまえば二度と野生では生きられない。人の手にかかれば何かが犠牲になってしまう…。

 本書から得た感動をうまく表現できないのが口惜しい。書評を書きつつ一体何を記せば良いのか見失いそうである。書きたいことがあまりに多過ぎるのだ。
 ドラマでユースケサンタマリアが主人公役を演じたが、申し分ない。この役は非常に困難だと思うから…。
本書がより多くの人の手に渡るといいと、深く思う。

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紙の本

ただただ…

2003/11/07 21:24

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:じりくん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ただただ必死に読んでいた。
必死になって、夢中になって、読んでいた。
私がこの本に出会うきっかけは、ただ売れていた、という、とても浅いものだった。しかし私は、この本に出会ってよかったと思う。
あまり長い書評は書かないことにする。
ただただ感動していた。
チャーリイの喜びや怒りなどの感情。そして、いつまでも変わらないもの。それは、そう、アルジャーノンに対する友情だったのかも、知れない。

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紙の本

高い知性は幸せを呼ぶか……

2001/10/14 15:50

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:讃岐P太 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 主人公チャーリー・ゴードンは三十二歳になるというのに、幼児並の知能しか持っていなかった。そのために、彼の周りの人間は彼のことを嘲笑い、馬鹿にしていた。だが、人のいいチャーリーはそんなことは全く気にせず、日々天真爛漫に過ごしていた。そんなある日、彼の元へ吉報が飛び込んだ。大学の教授が、知能増大の実験の被験者として彼を選んだのだ。その申し出を受け入れたチャーリーは、知能増大のための手術を受けることになった。

 術後の経過とともに、チャーリーの知能はめきめきと高まっていく。今まで、見てはいても気づくことの無かった世界を眼にして、チャーリーは喜びを覚える。だが、知能が増大することは必ずしもいいことばかりではなかった。今までは感じていなかった、「悲しみ」や「憎しみ」といった感情を覚え、だんだんとそれを持て余すようになってしまったのだ。そんな中、当初検査を受けるときの競争相手であった、白ネズミのアルジャーノンに親近感を覚える。それは、アルジャーノンがチャーリーと同じく、知能増大の手術を受けていたからだった。

 そして、チャーリーの知能が大学の教授のそれと肩を並べ、追い越し始めた頃、アルジャーノンに異変が起こる……。


 ようやく読むことができました。ず〜っと、読もう読もうと思いつつ、ハードカバーだということに気後れして読むことができなかったんですが、 ようやく読むことができました。ダニエル・キイス文庫というのが出ているので、最近はもっと手に入れやすくなりましたね。

 それはさておき、「アルジャーノンに花束を」ですが、読む前からある程度の筋は知ってました。何年も前に、NHKの「芸術劇場」 (だったと思うのですが) で、舞台が放送されていたのを見たことがありました。その当時から「読もう」と思っていたのですが、いったい何年越しで読んだのでしょう……。

 ちなみに、最初は中編として発表されましたが、1966年に加筆修正し長編として再度発表。1968年には 映画化され、邦題「まごころを君に」として公開されました。

 精神薄弱者のチャーリーが外科手術により高い知能を手に入れ、それと引き替えに様々な問題に直面し、やがてはネズミのアルジャーノンに異変が起きる。要約すると簡単なストーリーなのですが、読み応えがあります。

 描写が丁寧な上に、チャーリーの手術の経過報告という形を取っているため、彼の内面の葛藤への感情移入度が高まり、 クライマックスは涙なしで読むことができないほどです。

 最後の数ページは、無感動な性分の僕でも涙をこらえながら読むことになってしまいました。最後の最後の「ついしん」。ず〜っと読み進んできて、最後のこの二行を読んだときは、たまらない思いでした。
 
 読んでる途中でも「なんだかんだといっても、神様が一人一人の人間に与えているものは同じなんだな」とそんなことを考えたりもしました。どんな人間でも、どこかにメリットがあれば、それに釣り合うデメリットが。デメリットを持っていれば、 どこかでそれを補うメリットがそれぞれ用意されているような気がします。それは目に見えるような何かでは無く、抽象的な「人生の豊かさ」とでも言うべきものでしょう。主人公チャーリーも、高い知能を手に入れたことで、何かを手放してしまいますが、改めてそれを手に入れたと言うとなんだか切ないですね。

 願わくば、彼の人生に幸多からんことを——。

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紙の本

この本に感動できない人はいない!

2003/01/06 01:32

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:masao@ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本をはじめて手にしたのは、私が高校生の頃でまだハードカバーでしか刊行されていない頃だった。
 その頃の私は滅多に本を読まず、どちらかといえばマンガが好きだった。
 そんな私がこの本に出会ったのは、ファンだったミュージシャンが当時地方FM局のパーソナリティーをしており、その番組で紹介されたからだった。
 何気なく読み始め、活字嫌いだった私がハードカバーの重さも忘れ、大学受験勉強もそっちのけでわずか3日間で読破してしまうほど、のめりこんだ。
 そして読み終わった瞬間、号泣してしまいました。
 知的障害者の知識へのあこがれと、手術により手に入れた後に感じたむなしさが見事に描写された類稀なる感動小説です。
 最近フジテレビでドラマ化されましたが、原作のほうが数段深みがあります。是非ドラマを見て興味をもたれた方は読んでみてください。

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紙の本

チャーリーにも花束を

2001/02/06 18:42

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 昔、学校の先生や親がよく私に言ったものだ。「人の気持ちになって考えなさい!」と。自分は自分であるのだから、その対象となる「人」になることなどできない、よって「人」の気持ちになることなど不可能なことなのだが…。
 本書にはこの不可能を可能にした主人公チャーリーが登場する。「白痴」と「天才」というある意味両極に存在する自分を実体験する。
 チャーリーは生まれながらに知能障害があった。本書に登場するのは彼が32歳の時からであるが、パン屋で雑用をしている。お金の計算もできないし、字も満足には読み書きできない。
 そんな彼がIQを飛躍的にアップできるという脳外科の手術を受けることになる。
 この治療法はマウスではかなりの実験成果をあげていた。チャーリーは人体実験第一号となったわけだ。「人体実験」などと穏やかならない表現を使ってしまったが、実際、この手術が「人体実験」以外の何ものでもないことは読み進めていくうちに判然としてくる。
 手術後に彼が見た世界は果たして素晴らしい世界であったか、また否か…。

 手の込んだ策略が待ち受けているわけではない。特別に悪人が登場するわけでもない。なのに胸がつまる思いをあちこちで味わった。「どうにかしなければ!」でも「どうにもならない!」という虚しさや歯がゆさも感じた。せめて、この胸の痛みを忘れずに覚えておきたいと思った。

 本書のタイトルに出ている「アルジャーノン」とは、IQアップの手術を受けて、複雑な迷路をくぐり抜けて餌にありつくことが出来るかしこいマウスのことだ。チャーリーはしばしば自分とアルジャーノンのことを「私達」という表現を使って話をする。天才になった後に書いた科学論文のタイトルも「アルジャーノン・ゴードン効果」だ。「ゴードン」とはチャーリーの姓である。この一匹と一人はあまりに孤独であまりに悲しい。

 チャーリーは「アルジャーノンに花束を」と言った。それならば、私は、私に勇気を与えてくれたチャーリーに一抱えもあるバラの花束を贈りたいと思う。きっと彼はニコニコと笑いながら受けとってくれるだろう。彼の手が傷つかないように棘はきれいにナイフで切り取っておこうと思う。

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紙の本

人生で一番

2015/01/26 17:11

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投稿者:もも - この投稿者のレビュー一覧を見る

私の人生で読んでよかった、と思える本はアルジャーノンだけです。
最初は読みにくいし、途中の恋愛絡みのところもおもしろいとはいえないんですが、最後、だんだんと頭が悪くなっていくところ、
そこだけのために読めます。
まわりの変化がつらいし
まわりの変化がまた泣ける。

私の周りにアルジャーノン読んだことのある人がぜんぜんいないので勧めています。

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紙の本

人よりも速いスピードで人生を駆け抜けていったチャーリー

2013/06/28 20:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たまに読者になる - この投稿者のレビュー一覧を見る

私はなぜか幼い頃から自分の子供が知的障害者だったらどうだろうかという考えがあった。つまりチャーリーの両親の行動というものが非常に興味深かった。母親はチャーリーが知的障害者だとは認めず他の子と同じだと言いはったが、知的障害ではない妹が生まれるとチャーリーを見放して家から追い出し施設に入れてしまうという行動にはチャーリーは可哀想だという思いつつもなんとなく母親の行動に頷ける自分が冷たい人間のように感じられた。私もチャーリーの母親と同じく世間の目を第一に気にする人間なのかもしれない。一方、父親がチャーリーに対してどういう思いを抱いていたのかということは正直私には理解することが出来なかった。母親がチャーリーに無理矢理読み書きを覚えさせようとするのに対して父親が「その子のことは放っておいてやれ」と言うのはどのような気持ちからなのか分からなかった。

そんな両親のもとで幼少期を過ごしたチャーリーは両親の期待に応えたい愛されたいという強い思いがありつつも精神遅滞のせいで思うようにはいかず家から追い出されてしまう。そんなチャーリーが手術を受けて頭が良くなっていく様は喜ばしいことではあったが、頭が良くなるのとは反比例して友達が減っていくのは私も思い当たる節があった。もちろん私はチャーリーのように頭は良くないが、小中高と友達はいたが大学に入ったあたりから友達を作るのが下手になってしまったなと思う。これは私の悩みでもあった。しかしチャーリーは「ひとにわらわせておけば友だちをつくるのはかんたんです」という答えを出しているの感動した。たしかに私は大学に入ったあたりから人に馬鹿にされたくない笑われたくないという思いが強くなっていた気がする。これからは人に笑われるように努力しようと思う。

チャーリーの人生の一部は皆それぞれの人生の一部に当てはまるのではないだろうか。アルジャーノンに花束を読ん思うことはたくさんありました。

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紙の本

美しくも儚い物語

2002/07/31 16:22

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:scarecrow - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『知能に障害を持ち、32才の肉体に幼児並みの知能しか備わっていない青年、チャーリー。とある大学の心理学、脳外科のスタッフが彼に持ちかけた実験、それは脳外科手術によって彼の知能を常人並み、もしくはそれ以上の能力を秘めたものに変えてしまおうというものだった。先行して実験動物として手術を受けた白ネズミ、アルジャーノンとともにさまざまなテストを繰り返すチャーリー。そして手術の日がやってきた………。』

 精神薄弱という障害をもっている主人公のチャーリーは実験的脳外科手術により徐々に天才になっていくのですが、そんな彼の目がとらえた現実の世界とはどんなものだったのでしょうか。知能が低いばかりにいじめられたりこき使われていた真実、理解することの不幸を知ってしまうということ。体験したことのなかった様々な現実。そして、主人公の意志とは関係なく実験であるが故に実験の終わりもまた悲しい現実が待っているのです。美しくも儚いこの物語は、きっとこれからもずっと名作として残ることでしょう。

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紙の本

《知恵》という名の果実

2001/01/03 13:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちゃぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 知的障害を抱えた心優しき青年チャーリーは、知能が飛躍的に増大するという大脳手術の被険体となることを持ちかけられる。「利口になりたい」と願っていた彼はその手術を受けることを承諾し、医師の指示で日記を付け始めた。手術後、チャーリーの知的レベルは日増しに伸び続け、ついには彼を執刀した教授をも凌駕するようになるのだった。しかし、チャーリーは孤独を感じていた。彼の友人は、同じ手術を受けた鼠のアルジャーノンだけ。やがてアルジャーノンと共に教授の元を脱走したチャーリーは、アルジャーノンと新しい生活を始める。だがチャーリーとアルジャーノンには哀しい運命が用意されていた……
 この作品は当初、SF作品として日本に紹介された。初めの頃は日本での読者もそれほど多いものではなく、SFファンの間でこそバイブルとして親しまれてはいたものの、一般への知名度はそれほどのものではなかった。作者のダニエル・キイスはこの作品に続いて『24人のビリー・ミリガン』『ビリー・ミリガンと23の棺』という実在の多重人格者を扱ったノンフィクションを書き、それが日本に紹介されて少し経つと、何のきっかけか『アルジャーノンに花束を』が突然ブレイクしたのだ。
 この作品は主人公チャーリーの書く日記文学である。まだ知的障害を抱えたままのチャーリーが書き始める日記は、初めのうちこそたどたどしいものの、やがて日を追うごとにしっかりとした文章になってゆく。「利口になった」と喜んでいたチャーリーだったが、やがて彼はそれまで見えていなかったもの、あるいは見たくなかったものを否応なく目にするようになり、友人達を失ってゆく。チャーリーが知能と引き換えにしたのは彼の優しさだったのだろうか? 人間にとって、知恵の果実はやはり悪魔の誘惑だったのだろうか?
 絶頂を迎えたチャーリーの知能は、今度は逆の方向へ、つまり退化へと進む。たどたどしくなってゆく彼の日記は、何だかとても切ない。ようやく手に入れた知能という宝が指の隙間からこぼれ落ちてゆくようで、それを食い止めることも、再びその手にすくい取ることもできなくて、しかしその事実を受け入れているチャーリーの姿は、我々に何かとても大切なことを教えてくれているようだ。知能を奪われたチャーリーはそれまでの自分が失ってしまっていたもの、無垢な純真さを再び取り戻し、また以前の生活へと帰ってゆく。
「アルジャーノンのおはかにはなをあげてください」
 それが、彼の日記に残された最後の言葉だった。

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紙の本

初めて読んだ本

2006/11/22 19:08

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:なお - この投稿者のレビュー一覧を見る

僕は、本を始めて読んだのですが、とっても読みやすくて面白かったです。
主人公チャーリィはIQが低い。それを手術して天才になった。それから恋人が出来たりアルジャーノンと言うネズミをライバルとして、迷路で勝負したりします。それからパン屋で働いたり、色んなことをします。
僕は、この本に努力する事を教えてもらいました。なぜなら、チャーリィは最終的に元に戻ってしまいますが、最後に努力するからです。それと、人情も教えてくれました。チャーリィはとても優しくて、人にも親切だからです。でもチャーリィの友達、アルジャーノンがいきなり死んでしまったのは、ナゼだか分かりませんでした。
アルジャーノンは迷路が得意で、すぐに抜けてしまいます。天才のチャーリィと、迷路好きのアルジャーノンの友情が見所です。とっても面白いので、みなさんもぜひ読んでみて下さい。

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紙の本

知の探求者

2021/03/12 14:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

学歴やマネーゲームだけでは計り知れない、人間の知性について考えさせられます。純真無垢なチャーリーの変わっていく姿と、思わぬ落とし穴に胸が痛みました。

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紙の本

タチコマ

2017/12/30 22:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:鯉狂い - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書を読んだきっかけが某SFアニメの思考型戦車・タチコマが作中で読むシーンがあるというだけの、文学好きとは少しかけ離れた理由から。まさかタチコマの急速な成長と少佐の懸念を本作にかけていたとは読むまで気づかなかった。
さて、本書自体の内容に関してだが、人間とは常に他者との比較をする動物で、一度他者より勝ると思えば見下すこともしばしば。何かこう主人公の段階的に変わる目線からー悪いことばかりではないがー人間の本質を改めて教えられた。
筆者(訳者)の技術的には主人公の障害の度合いを、ひらがな/漢字や誤字脱字で表現し、謎の手術での知識の獲得/そして崩壊を描いていたのはかなり凄いテクだ。筆者自身が自身の幼少期を思い出しながらなどの述懐があるが、にしてもこれは凄い。
中高生に薦めたい一冊と思う。今、意味や意図が分からなくても良い。部分々を覚えているだけで良い。きっと歳を重ねるにつれ、違った捉え方ができるようになる。
ところで、同タイトルで日本では何度かドラマ化されているが、どうしてああもコンセプトだけパクった似ても似つかないストーリーを日本のTVはつくるのか?は理解しがたいところである。

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紙の本

他人にとっての幸福は、己にとっての悲劇。

2015/10/26 18:21

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投稿者:ひでり - この投稿者のレビュー一覧を見る

彼が望んだ世界は無垢で穢れのない世界だったはずなのに。みんなに好かれたい。ただ、それだけのことを叶えるにも世界は残酷だなんて。

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