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バガージマヌパナス わが島のはなし (文春文庫)
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紙の本
なんだか熱くなってしまった。
2004/04/27 12:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hanabom - この投稿者のレビュー一覧を見る
こん後読感だとは、皆目検討もつかなかった。
あらすじは簡単。
白髪をオレンジ色に染め、生魚が数匹入ったルイヴィトンのバックをひと時もはなさない86歳のオージャーガンマーという名のオバァを相棒に持つ、19歳の不良プータローの美少女綾乃が、神の啓示を受けユタ(巫女)なるという話。
難しいことは何一つない。だって綾乃は悩むのも考えるのも苦手なのだ。
タバコと酒は日常だし、パイナップルだって平気で盗む。
オージャーガンマーと綾乃が遊ぶ、笑う、悪さする、歌う、踊る。
楽しければなんでもいいのだ。はちゃめちゃなのだ。
でも、どんなに楽しくても、悲しくても、時は止めようがない。
思い出を持たない人はいない。
さびしくない人もいない。
澄み切ったコバルトブルーの空から降り注ぐ太陽光線が
痛いくらいに切ない。
どこからともなく風に乗って聞こえてくる三線の音が
直接体に入り込み、心を揺さぶる。
「綾乃、また遊ぼうねぇ」
オージャーガンマーと綾乃のユンタクに
真っ赤なハイビスカスが華を添える。
紙の本
何か面白いことねーかなーと思っている人へ
2001/01/24 00:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:宏人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語。近年、この言葉が持つ力強さを本書ほど堪能させてくれるものを他に知らない。ここには、誰もが持っているであろう物語の元風景が広がっている。あの決して消費されることのなかったもう一つの世界が。
一言でいってしまえば主人公の成長譚である。ストーリーはわき道を駆け巡りながらも王道を突っ走る。好敵手がいて、冒険があり、別れがある。そうやって主人公は一人前になってゆく。舞台は沖縄諸島のある島。その島では開発の波が押し寄せてはいるが、根強く昔ながらの風習や方言が受け継がれている。そこで暮らす主人公と親友の老女は67歳の年齢差をものともせず、自由気侭に遊びまわっている。この二人のキャラクターが実に楽しい。
日本国にありながら外国の雰囲気を持つ沖縄という舞台とその方言が読む者を抒情を伴って幻想の楽園へと誘ってくれる。この世界は酷く心地いい。水底を漂うように流れる時間、速度を操るユーモア、距離を見極めた登場人物、どれも愛しくてたまらない。
“わが島のはなし”がここの方言では“バガージマヌパヌス”となってしまう。いわれてみれば確かに理解できるが、解説なしに理解することは不可能であろう。この絶妙な距離感を感じさせる方言が本書の強固な物語世界を支えていることは間違いない。だが、それよりもなお本書に物語の持つ力強さを与えているのは作者の暖かな眼差しであろう。主人公の弾く三線の音を聴くことはできないが、池上永一の奏でる至福の物語がここにある。
紙の本
沖縄の風に吹かれて
2004/04/15 07:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(KAZE) - この投稿者のレビュー一覧を見る
沖縄の島を舞台に、ユタ(巫女)の才能を持つ19歳の綾乃と、
86歳のオバァ・オージャーガンマーのコンビが大活躍する物語。
普段はぼけーっとしているけど、やるときゃやるさぁ!
自由奔放なマイペース女・綾乃と、
天真爛漫、純真無垢の女・オージャーガンマー。
ふたりの周りでわらわらと巻き起こる騒動、珍事の数々、
沖縄の島言葉を盛り込んだ会話に、どひゃー、ぐわぁー、
くつろいだ気分に浸りましたよー。
物語に吹いている風、行間から聞こえてくる三線(サンシン)の音。
のんびりしたおおらかな気分が漲っていて、気持ちよかったな〜。
「楽に生きようよ、楽にねぇ」
「なんとかなるさ、なんとかね」
という綾乃とオージャーガンマーふたりの生き方を見ていて、
心が軽くなりました。
紙の本
理想世界
2001/08/08 01:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:石塚雅人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これはいい。かなりいい。好き。かなり好き。
私は沖縄も好きなんだけど、幸せな莫迦も好きなん。ふらー(莫迦)でふゆー(怠けもん)の人を許してくれるってのはいい土地だよなぁ。以前住んでいた北海道も結構そうだったけど、この物語を読むと沖縄はさらにそれっぽい(推定)。
ふらーでふゆーの私はすごくうらやましい。辺境にはそういう文化が育つんかなぁ。そして、オージャーガンマー(笑)。なかなか、ああいうふうには歳をとれない。ふらーでふゆーのまま、オージャーガンマーみたいに年をとっていきたい。
私の理想の世界がここに提示されている。とても気持ちのいい小説だった。
あと、栗原まもるがマンガ化した『バガージマヌパナス』(講談社、KCデザート)もこの小説世界を壊さず、うまくまんが化してある。私は小説から読んだけれど、どっちから読んでもいい感じだと思う。
紙の本
沖縄の太陽のようにパワフルで、楽しさが突き抜けた「気持ちの良い」物語だ。
2000/08/22 07:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:青木みや - この投稿者のレビュー一覧を見る
沖縄出身の作家、池上永一のデビュー作。第6回(1994年)ファンタジーノベル大賞受賞作。
南の島にすむ19歳の仲宗根綾乃は高校を出てから、だらだらずるずるとぷー暮らしを満喫していた。美人でスタイル抜群の綾乃だが、下品で乱暴。フユクサラー(怠け者)でフリムン(馬鹿者)と呼ばれてもそれが自慢だ。裏でこそこそ言う奴らや都会に毒された奴らには蹴りを入れ、綾乃は今日も親友のおばぁ・オージャーガンマーと遊びまくる。
だが、幼い頃から強い霊能力を持つ綾乃は、ユタ(沖縄独特の巫女)になれとの神様のお告げを受ける。苦労は御免だと反抗して神罰を当てられたり、古手のユタ・カニガメといがみ合ったり、綾乃は常に騒動の中心にある。
勢いは抜群であるが、起承転結の効いたストーリー構成になってないし、ラストへの持って行き方もやや強引でちょっと違和感を感じる。急にしんみりさせるより騒々しさのまま、楽しくお祭り騒ぎで終わった方が私的にはすっきりした。だが沖縄の太陽のようにパワフルで、楽しさが突き抜けたとても「気持ちの良い」物語だ。