紙の本
ファルコは…
2004/08/09 19:38
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投稿者:tabineko - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファルコは冴えない探偵だ。
ファルコはハードボイルドだ。
ファルコはひつこくてあきらめない。
ファルコは余計なことを言って人を怒らせる名人だ。
ファルコは貧乏だ。
ファルコはアホっぽく見えてけっこう学がある。
ファルコはふてぶてしく見えてけっこう悩む。
ファルコはええ歳して未だに英雄だった兄に劣等感を抱いている。
ファルコはええ歳して未だに自分たちを捨てた金持ちの父親を嫌っている。
ファルコは古代ローマ人だ。
ファルコはときおり、やりたくもない皇帝からの任務を仰せつかる。
ファルコはいつも苦労する。
ファルコは結局むくわれない。
でも、ファルコには愛しあう特上の女だけはいる。
ファルコの苦労をぼくらは見て、にやにやと人の悪い笑みを浮かべつつ楽しむ。
紙の本
ローマ時代で犯人探し
2001/01/26 18:09
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投稿者:ちゃうちゃう - この投稿者のレビュー一覧を見る
密偵ファルコシリーズの第一弾。正真正銘、ローマ時代が舞台の推理小説である。歴史的な背景がしっかりしていないことには、この手の話は「胡散臭い」もので終わってしまうのだが、この作品は非常に緻密に当時の様子が描かれていて、まるで映画を見ているような錯覚に陥りそうになった。
庶民の家の作り、家具やスリッパ(スリッパを部屋の中で履き替えるとは知らなかった)などの小物の描写、階級の分け方、街の雑踏。主人公ファルコは「密偵」であるので、それなりにちゃんと解決しなければならない事件は起こるが、事件よりもローマの生活を読んでいるほうがおもしろいかもしれない。(支配下にあるイギリスを「顔色の悪い土着の民」と言い切るところなどは、思わず吹き出しそうになってしまった。)
ストーリー自体は、ハードボイルド系の仕立てになっていて美女とのラブロマンス有りだが、極端に大掛かりなしかけがあると言うわけでもないのが少々残念。
歴史的描写のうまさに加えて人物描写がしっかりしているので、作者に好感が持てる。清潔感のある一作である。
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日本で唯一(?)コンスタントに刊行されている元首制期の古代ローマが舞台のミステリー。
シリーズはじめは「ハードボイルド風」ですが巻が進むにつれ、「主人公マルクス・ディディウス・ファルコと愉快な身内たち」の様相が。女難の相持ちなのに兄は早世、やかましい姉たちと世話好きな妹に囲まれた上に子供まで女の子でした。しかも嫁さんは密偵の彼より切れ者です。そして親友やら同僚やら義兄弟やら家出した父親が次々に難題をもってきます。がんばれファルコ。負けるなファルコ。
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●古代ローマ帝国を舞台にした密偵ファルコシリーズ第1作。
エリス・ピーターズの修道士カドフェルみたいな歴史ミステリ。
でも、テイストはだいぶ違う。なんたって主人公が肉体派。
歴史ハードボイルド?
●主人公の経歴は、元ブリタニアで軍隊生活を送ったことがあり、戦死した兄に代わって大家族の面倒を見る立場にあるが、基本的には自堕落かつ小汚い独身の30歳男。
でもって職業は密偵。
今回は、銀の横流しに関わる陰謀を追いつつ、元老院議員のバツイチお嬢様をブリタニアまで迎えに行くと言う任務。
なもんだから、修道院の薬草園で落ち着いて暮らす現役引退済みなカドフェルじいさんとは異なり、必然的に暴力&色恋沙汰にも恵まれやすいんでした。
カドフェルは、どっちかっつーと若い衆の行く末をあたたかく見守るのがメインだもんなー。
●私の好みは、ヒュー・ベリンガーもいることだし(笑)カドフェルシリーズに軍配。実際、作品のレベル自体はカドフェルシリーズと同等と思われるので、お好みでどうぞ。
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時は紀元70年のローマ。
皇帝ウェスパシアヌスの時代における、歴史ミステリー(かつ冒険・恋愛小説)。
古代ローマファンは必読!
といっても、知識を豊にするための小説ではなく、自分が古代ローマに紛れ込んだ気持ちになれる、極上の娯楽小説。
この小説は、イギリスでは常にベストセラーに並ぶ。年1冊のペースで出されているが、日本では今のところ8作まで出版済み。
作者曰く、「時代背景はいじらない」とのこと。皇帝ウェスパシアヌス、その息子のティトス、ドミティアヌスも登場する。その中に、架空の主人公「密偵ファルコ」を送り込み、生き生きとしたドラマが進む。
このウェスパシアヌス(コロッセオの着工者)の時代をとりあげている作者もにくい。
主人公ファルコが恋する、元老議員の娘ヘレナは最高の女性。
1作目から順に読んでいかないと、おもしろみは半減かも。
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密偵ファルコ ・シリーズの1冊目。
古代ローマが舞台の歴史ミステリ・シリーズという事で、かなり期待して読んだのですが、正直な感想は「思てたんと違う・・・」でした(苦笑)。
ノリがアメリカン・ハードボイルドテイストな感じなので、私の好みとしてはカドフェル・シリーズ(E・ピーターズ)のように、もう少し文体が“堅苦しく”てもいいんですけどね。
ただ、古代ローマの独特の生活様式などはかなり興味深く読めますし、シリーズものは1巻で判断しないようにはしているので、次の巻以降も読んでみて、様子見したいと思います。
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紀元1世紀のローマを舞台にしたミステリー、密偵ファルコシリーズ。
サンダルにトーガを着て、当時のヨーロッパを旅した気分になれる・・・!
コレ気に入った人には、エリス・ピーターズのカドフェルシリーズも
手にとって欲しいな。
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修道士カドフェルシリーズを読み終わり、歴史ミステリ御三家の一人ということで読む。
古代ローマなのにハードボイルド調の主人公が可笑しい。
なのに毎回違う相手とのロマンス、とならないのは女性作家だからかも。
話はシリーズを追うごとにこなれてきている気がする。
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帝政ローマ時代のマイク•ハマーが主人公。
海外ドラマの「ROME」を観たばかりなので、庶民の住むあの雑多な町の風景が直ぐに浮かんでくる。
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最初の5ページくらいが勝負かもしれない。ここでフォルム・ロマヌム(今のフォロ・ロマーノ)の雑踏や人々の声や日射しを感じられれば、あとはすんなり物語の世界にはいっていけるはず。古代ローマが舞台なので、古い地名(この巻ではロンドンやテムズ川も旧名で登場)や慣習に馴染みがないと、逆にちょっと苦しいかも。
ローマで「密偵」をしている軍人上がりのファルコが大掛かりな銀の横流しについて調査していくお話。ふと気がつくと、あっさりブリテン島に行ってしまったり(ローマから2週間くらいらしい)、あっさり鉱山に潜入して(数か月も)死にそうになったり、展開は油断できません。その間、発端の殺人事件が、ことあるごとに彼の心を締め付け、苦しめます。
皮肉屋で、自嘲的だがどうやら心優しいらしいファルコ。この商売の人間にしては母親や親族,友人、知人たちとのつながりの深さがそこここに顔をのぞかせます。とくに戦闘で亡くなった兄には深い思いがあるようです。女遊びもいろいろしている割には純情で、29歳から30歳という年齢設定にしては、何やらかわいい男です。一方、登場する女性陣はなかなか強く、個性的でおおむね魅力的。やはり女性のミステリは高感度の高い人物が多いような気がします。
全体として現代的な展開、いつかドラマにならないかなどと妄想します。チネチッタには素晴らしいセットもあるし、カドフェルだってドラマになったのだから、けっこういけると思うのですが、さて。
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ようやく、友の会の人たちがいっていた作品に手がつけられる。と思って、勇んで読み出したのが、いけなかった。そのうえ、これを読む前に、E・ピーターズを読んでしまったのもいけなかった。出だしは、どうにも力抜けしてしまったのだ。文庫の裏には「E・ピーターズ亡きあとの歴史ミステリーを牽引する」などと書いてあるものだから、ついそのように思い込んでしまったのだ。(^^;しかし、読み進むにつれ、また違った味わいがあり、どうにも止まらなくなってしまった。時代がローマだけに、想像もつかない世界なのだが、身分違いの恋や冒険が、特に女性陣が気に入るのも無理はないか、と思わせる。さて、私はというと・・・当然、続編も読まねば(笑)。