「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
多重人格という重いテーマながら、脇キャラがいい味を出している。
2002/07/14 17:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kaede - この投稿者のレビュー一覧を見る
芸能プロダクションの副社長・拓磨は、半年前、自らがスカウトし、マネージャーを務めていた俳優の由貴を好きになり始めてしまったことから、立場上その思いを断ち切るべく、ニューヨークへと遊学していた。
しかし、由貴の様子がおかしいと、帰国するが、なんと由貴は多重人格者だったことがわかる。
幼い頃から父親と二人暮し。その父が亡くなった後は、誰からも必要とされることなく、拓磨にスカウトされたことがことのほか由貴には嬉しい出来事だったが、それも拓磨が自分の元から逃げるように去ってしまったことで、心のバランスがうまくとれず、他人格への切り替わりがうまくセーブできなくなっていた由貴。
激しく自らを責める真面目なところのある拓磨。
由貴の中にある他人格とも根気よく向き合うが、もちろんそれは簡単なことではなかった。
多重人格、という複雑なモチーフをテーマに、律儀に由貴が他人格になって暴走することを防ごうと、四六時中由貴のそばにいようとする拓磨は、言葉ほど四角四面な真面目さが強調された人物ではないところに好感が持て、また目をそむけていた自分の中の他人格の存在にようやく目を向けていこうとする由貴や、それぞれが由貴の中で大きな役割を持った他人格者たち、一人一人の人格も興味深く、おもしろい話になっている。
また、由貴のカウンセリングを行う医師・英田と拓磨の兄・寿磨の二人が、普段はプロダクションの社長として、拓磨の兄として、豪胆ぶりを存分に見せ付ける反面、想う相手にはつれない態度であしらわれてしまう、というやりとりがおもしろく、重いテーマをモチーフにしたお話にほどよい軽さを与えていたと思う。