「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:一般
- 発行年月:1996.10
- 出版社: 東京書籍
- サイズ:20cm/261p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-487-76167-0
紙の本
月の魔力 増補
著者 A.L.リーバー (著),藤原 正彦 (訳),藤原 美子 (訳)
満月の日は何かが起こる。月が人間の攻撃行動に影響を与えると発表し、一大センセーションを巻き起こした旧作に新たな1章を加えた増補版。参考文献、2017年までの月齢表付き。【...
月の魔力 増補
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
満月の日は何かが起こる。月が人間の攻撃行動に影響を与えると発表し、一大センセーションを巻き起こした旧作に新たな1章を加えた増補版。参考文献、2017年までの月齢表付き。【「TRC MARC」の商品解説】
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
満月の夜は人を狂わせる——ル・ガルー、ジキルとハイド、殺人事件や交通事故の多発。そのことを、月の引力が体内の水分に与える影響として科学的根拠を提示し説明する意欲的試み。
2002/07/13 13:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
増補版は1996年の発行だが、日本語版初版は1984年の発行で、静かに、しかし確実に読み継がれているロングセラーである。
翻訳は、名エッセイストとしても知られる数学者の藤原正彦氏——気象研究を経て山岳小説を多く書いた新田次郎と、『流れる星は生きている』の引揚げ記録で気丈な母として有名な藤原ていの次男——、そして、化学者の家に生まれ育った心理学者の藤原美子氏の手になる。だいぶ前に、美子氏の講演を聴く機会があったのだが、「そんなオカルトっぽいような本の翻訳なんて…」と、かなり周囲から揶揄されたという。
そのことは、正彦氏のあとがきにも詳しいが、精神科医リーバーが提示した「人間行動や心理にまで月の影響がある」という独創的な結論を導く理論は、日本のみならず米国本国でも、当初は妥当な評価を受けられず「眉唾物」と考えられていたというニュアンスがある。
論述が医学、生物学、物理学、天文学、気象学、化学、心理学、哲学などと広範囲にわたるため、ダ・ヴィンチのようなスーパースターがいない現代では、真っ当に価値判断をくだせる人がいないということだろう。それは取りも直さず、ラジカルに専門分化が進む科学のジャンルで、人や事象を複数の側面を持つ有機的存在として、バランスをもって捉えられないことの悲劇であるように私には思える。
私は、ただのDNAでもなければ、荒れた胃壁でもない。低血圧でもなければ、分裂症でもなく、ものぐさでもない。対象を限定して分析するのが科学の基本ではあるが、それらすべての私のパーツが合わさったときに、止揚されるようにして起ち上がる人間存在というものがあって、そこに意志と行動は働く。「学際的」なんていう甘っちょろい概念を出してきて、自分の専門ジャンルの庭先からちょいと飛び出してみた——そんな凡庸の科学者のレベルでは追っつかない、グローバルな魅力にあふれた1冊なのである。
食べる物に気をつけ、運動をしてミネラルウォーターを多く摂取して、努力の上に成り立つ健康を自負しているが、私は、低気圧の日というのがどうもいけない。気分がダルなのである。
地表と同様に、人体の80パーセントは水分で、あとの20パーセントが固体だという記述がある。それは人のなかに宇宙をみてとることができるという、古代からの哲学や宗教のテーマともあい通じているというのがリーバー博士のユニークな着眼点である。月の引力が宇宙の他の力とともに働き、体内の水分にも影響を及ぼす。
月の引力が地表に波の動きをもたらすように、生体にもバイオタイドをもたらすという考えは、気圧を意識する私のような者にとっては、大いにうなずかせられるものがある。新月と満月のときに、その波が最高となり、人間行動に及ぼす月の影響が最高になる。
バイオタイドの波の高まりが引き金となって理性を失わせる——殺人事件に、暴行や自殺などの攻撃的行動、交通事故死の頻度、精神科救急室への外来数などのデータを調べ、博士はこのことの実証を試みていく。
巻末に月齢表がついているのだが、世界的に大きな事件や事故がつづいたとき、試しにそれを眺めてみると面白い。もちろん時差を考慮に入れなくてはならないが、「ああ、やっぱり満月だった」「新月だった」ということが何回かあった。航空機事故なんていうのは、物質的レベルでも確かに引力に大いに関係しそうではないか。
月経を持ち、月満ちて子を産む女性。出産もまた、サンゴやエビなど海辺の生物同様、バイオタイドの対象である。月のリズムを確かに体内に宿している身としては、頭でなく体で感じる理論でもある。
紙の本
月の不思議
2001/03/23 13:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:麒麟 - この投稿者のレビュー一覧を見る
満月には、不思議な力があるとは、よく聞く話です。
狼男も満月に出てきますし、一時期、月の光を浴びてパワーを得ると言って「月光浴」なんていうものも流行りました。そんなふうにいつの間にか、不思議な力があると言われてきた月について、実際にいろいろなデータを持ち出して、理論的に、月がさまざまなものに与える影響力について述べたのが、この本です。
医学博士である著者が書いたというこの本は、さすがに少し小難しく感じる箇所もありますが、それ故に説得力もあります。
私は、実はちょうど新月の日に生まれたのですが、それ故なのかなんなのか、昔から満月がとても好きで、満月の美しさ、妖しさに、惹かれずにはいられませんでした。この本は、そういう漠然とした月への憧れとは、少し違い、知的好奇心をかきたて、満足させるような、そんな一冊だと思います。
月に心惹かれたことがある人は、この本を一度手に取ってみてはいかがでしょうか。今までとは、違った一面を見ることができるかもしれません。
紙の本
現実であろうと幻想であろうと。
2002/07/11 10:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
満月の日には人が凶暴になる恐れがある、ということを学問で証明した説があると知って興味を抱き、本書を手にとってみた。
正直、私は本書の内容を信じようと思っているわけではない。ただ月の神秘さを幻想的な伝説ではなく、学問という現実的な手法で証明してみたという姿勢に興味を持ったのだ。私は根っからの文系人間なので、天文学や医学、気象学、科学、……などには手も足も出ない。もし私がこれらに造詣が深ければ、論理的に反論なども出来たのだろうが。
小説や詩などでは幻想は許されるが、学問では幻想は許されない。ただ本書の内容が現実であろうと幻想であろうと、月は相変わらず人を魅せ続けている。月に関する伝説や新解釈が出てくるのも、それだけ月に不思議な力を感じさせる要素があるからだ。新解釈が現実であろうと幻想であろうと、月はあずかり知らぬげに照っている。