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紙の本
医学の場での男性論理
2003/03/21 14:41
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投稿者:ぽこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
かねてからユング派心理学の女性への優しさが
どうもアヤシイと感じてきた。この本を読んでユンギアンの
「女性は女性になりきることで楽になる」式の罠がわかった。
先端科学の場である学校や病院でなぜか著しく
「女になりきってないから苦しいんだ、女らしくしてさえいれば楽になる」
「結婚し子どもを産めば精神が安定する」
「女は言語感覚に優れ男は空間察知能力に優れる」「女は感情男は理性」
などまことしやかに言われた経験は
女性なら誰しもあるだろう。
平成の今でさえ、専業主婦業の素晴らしさを持ち上げて
女性が子どもや夫の人生に自分の理想を
投影し間接的成功で満足することを勧める本があるが、その実
「よき主婦」から「醜い主婦」にちょっと外れただけで
(たかだかカラオケに行ったり、スーパーのお惣菜で済ませたりくらいのこと)
たちまち手のひらを返したような罵詈雑言をぶつける。
それほど「よき主婦」「女らしい女」を尊重してないことがわかる。
結局単なる「都合のいい女」でいろというほめごろし的お達しだったのだ。
このような歯の浮くような女性の美徳礼賛主婦礼賛で一時救われても、
子どもが親離れし夫に死別したとき
こういう女性は、結局また同じ疑問で苦しむのだろう。
「女性性的役割のなくなった私はどういう存在なのか?」と。
女性の生き方は社会に期待される従順な補助的役割を演じるしかないのかと
失望し苦しんでも、真実を知らずに言葉で表現できず闇雲に苦しむより
真実を知ることで言葉に出来ることにより救われることもあるし
改めて自分の人生を分析し構築することも可能になると教えてくれたのが本書だ。
ユンギアンへの疑問を晴らしてくれた小倉さんに感謝。
紙の本
現行の性教育を、「少女たちをだますことで強姦に加担している」とぶったぎる。
2002/07/16 10:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の最終章「性差論争の本質とは何か?」の冒頭の言葉をまず引用する。
ここまでの章を費やして私が繰り返し語ってきたのは、二つの事実です。一つは性的奴隷制という全世界的規模の見えざる制度によって女性が男性に支配されているという事実、もう一つは「男は女と違う」のだから、これは支配ではなく自然な区別なのだとする言説が、制的奴隷制を覆い隠すために意図的にばらまかれているという事実です。
例えば、「男は論理的/女は感情的」というのも先天的なものではなく、環境やらに影響されて出来るものだということを著者は言ってる。男である僕がこの本を面白く読めたのは、著者の姿勢が“男性への攻撃”ではなく“女性の意識改革を促すもの”として読めたからかもしれない。
第1章「夫婦間に強姦は成り立つか?」で著者は、強姦の問題と夫婦制度の問題を扱っているが、強姦は欲求のたまった男が衝動にかられて行うものではなく、「自らの男らしさに劣等感を抱いている者が行うもの」という研究結果を引き、男女の性欲・性的衝動の差異をことさらに強調する現行の性教育を、「少女たちをだますことで強姦に加担しています」とぶったぎる。
第2章「性はなぜ商品化されるか?」では、セックスとジェンダーとセクシュアリティの違いを述べ、女性がセクシュアリティを商品化する(つまりは売春する)理由を、次のように簡潔に述べる。
女性がセクシュアリティを商品化するのは、男性のように労働力を商品化することが女性にはきわめて困難であるような状況があるからです。第一に低賃金、第二に雇用が不安定である、第三に仕事が単調、第四に昇進昇格等先行きの展望がない。このうえ“性的いやがらせ”の問題があり、一方売春は、(1)学歴や技術が不問、(2)前歴も不問、(3)年齢もあまり問題にならない、(4)自分の家族や現在の生活状況も不問、(5)まとまった現金収入がすぐに得られる、(6)転職・移動が比較的しやすい。となれば、こちら側に入ってくる女性がいるのま当たり前なんです。そういう女性を見て、好きこのんでそういう職業についている、というのは大きな間違いです。
というふうに、こんな明快で大丈夫かなと思うほど、著者は簡潔な口調で語る。こうやって引用したい箇所は山ほどあるが、最後にもうひとつだけ。これは、第四章「『金曜日の妻たち』はどこへ行く?」から。
「男は仕事、女は家庭、それをあなたはイヤだというが、それは生物学的に自然なことではないか」
こういう信念に対して次のような反論があり得ることを、最後に言い添えておきましょう。
「自然というものが、それほど、人間の逆らえない、逆らってはならない素晴らしいものであるなら、なぜ男性は地震や洪水や環境災害をなくそうとして自然と戦うのか。そういう場合の自然は敵なんい、こういう自然と女性が戦ってはなぜいけないのか?」
論理は明確で弁も立つ。各テーマについてもう少し突っ込んだ話が読みたいなと思ったけど、本書は講義録をもとにしたものだそうで、まぁしかたないか。各章末に参考文献が載っていて、これはありがたい。
紙の本
性に関する神話の数々
2002/06/22 04:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
意識しているかしていないかに関わらず、われわれは、性にまつわ
るさまざまな神話や俗説の中にどっぷりと浸かって生きている。立
ち止まって考えてみると、それらは変なものであることが多く、忌
むべきものであることもしばしばだ。しかしわれわれは、なにも考
えずにそれらを当たり前のこととして受け入れ、疑問に思うことは
めったにない。
本書は、心理学者のフェミニストである著者が、巷に流布する性の
神話の数々を取り上げ、ばしばしと切って捨てている本である。取
り上げている題材は、性を語ることのタブー、性の商品化、女性に
まつわる「穢れ」、「女性的なるもの」とは、などなど……語り口
は実に辛辣である。この本を読むことで、われわれがいかに奇妙な
因習に囚われてしまっているのかがわかるであろう。
この本を読んで、ふだん位置しているところから一歩下がって、相
対化した視点から性にまつわるもろもろを眺めてみるのもよいので
はないだろうか。特に男性諸氏はぜひ。