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時期を考えると随分好意的な日本紹介だ。昭和初期の風俗も面白く、行ってみたい、住んでみたい国、日本の姿がある。
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他の文化を善悪の規準で評価し批判的に書かれる比較文化論が後を絶たない中、この著書はむしろ「文化の違い」として昭和の日本を好意的に、同情的に描いている。イギリスから世界の中でも際立って特殊な文化を持つ日本で暮らしその違いを拒絶することなくしっかり見据え、そして受け入れることができる著者キャサリン・サムソンの懐の深さを感じられる。翻訳者大久保美香氏の翻訳も秀逸でサムソンの教養の高さ、育ちのよさからにじみ出る人柄をしっかり伝えている。
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ひとりのイギリス人女性の眼をとおして描かれる、
戦前の東京に暮す市井の人々。
素朴で、優しく、奥ゆかしくて、子ども好きな日本人像は、
おとぎの国の人々のようにはるか遠く、なつかしく、いとおしい。
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風雲急を告げる世界情勢の中で、英国外交官の夫人である著者が
日本滞在中に知りえた日本人や日本文化などについて
本国にいる人々向けにわかりやすく解説したもの。
いわば日本人入門といったところ。
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1930年代のイギリス外交官夫人による日本滞在記。
東洋を理解(我慢し許容する)できる自分は教養あるレディ、との自己陶酔?とは言い過ぎだろうが、先進国の母が発展途上国の子供を優しく見守る目、といった感。
「東洋的前近代文化を持つ国が文化風景は維持しながら西洋的近代価値観を取り入れる」ことを手助けする私(日本の姿を西洋に“ありのままに”伝えようと記す行為)という存在は、しかし今日の日本人も諸外国でさらす姿かもしれない。
日本論ならぬ日本観、で目新しい点はないがこれが当時としてはごく普通当たり前の視点と思える。
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日本人がわれさきに電車に乗りこんでいた時期があったなんて信じられません。もののとらえかたが多角的で聡明な女性だとかんじます。多少うえから目線のような気もしますが愛あふるる文章でむかしのわたしたちが愛おしくかんじられます。ここで語られている美徳をいまもまだ持っているだろうかとかんがえると恥ずかしくおもいます。
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昭和初期。外交官夫人として来日したご婦人が友人にあてた東京事情。
もーね、もーね、「教養がある」というのはこういう奥様のことを言うのかと!
基本的には日本びいきでありながら、日本人のお調子者な性質も、島国ならではの自閉的な性質も、とても客観的に観察されてます。スシ、テンプラ、ゲイシャガールじゃない、日本通の人が書いて残した記録になってます。
ちょうど細雪の始まるくらいの年代かな。その頃の東京の風俗も知れて面白かったー。
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藤原正彦の「名著講義」で紹介されていたので読んでみた。
現在の日本人とはずいぶんかけ離れている部分も多いのだが、古き良き日本の暮らしと人々を温かい目で見つめ、自分が日本と外国とのよき架け橋になる、そんな気持ちが伝わってくるような内容だった。
また同時に、温かいながらも手厳しく欠点を指摘する部分もあり、非常に鋭い観察眼を持った聡明な女性だということをまざまざと感じさせられた作品であった。
正直なところ、若干日本を見下した風(決してそんなことは一言も言っていないのだが)を感じないこともない。まあ時代を考えればいたしかたないのでしょうね。
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1928年ごろから日本で暮らしたキャサリン・サンソムによる、彼女が見た日本の記録。
日本人の習慣・風俗を詳しく丁寧に描いており、自国民ながら昔の日本人に対して親しみを感じることが出来た。
特に食事や礼儀作法に関しては、作者の感動が伝わって来て良かった。
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イギリス外交官夫人による、日本の観察記。
こんな女性に憧れる。昔の日本の姿がわかるだけではなく、著者のちゃめっけあふれる性格まで伝わってくる、いきいきとした本。
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著者の頭のよさが随所に見え隠れする書物である。一つのエッセィ文学とでも呼べばいいのだろうか?エッセィなのだけれど、文学性が見え隠れしている、これは、リンドバーグ夫人の、「海からの贈り物」とも通じているように思う、リンドバーグも、また、本著の著者であるサンソム婦人にもそれは通じている、しかし、サンソム婦人はそれは別にそれは珍しくなく、日本でもその傾向が強いと述べている、なぜなら、女性は常に裏から男性を支えなければならないからでそれだけ気配りができるからである、と。逆を言えば、妻なしでは生きていけないくせに、妻に対して横柄な夫はどうなんだろう?とも、思っていたに違いない。
本著は酷くのんびりした内容がつづられている。日本人の国民性を、これだけしっかりと観察して描かれている本は実はないのではないか?というくらいの、観察眼である。無論、現代と当時の日本はすっかり変わってしまっている部分もあるけれど、彼女はちょうど経済成長し変化を遂げていく日本をまざまざと見つめているので、よい変化、悪い変化、あるいはどちらも言えぬ変化をあげていき、それを自分の感性によって判断しているあたりに好感を抱ける、つまり、絶対的に正しいというよりは私はこういうのが好きだけれどなぁ、といった具合に。記された年代を見ていると、1928~1936とあり、これはちょうど二つの大規模な世界大戦であり、日本が国際的に孤立していく時節である。解説を観ると、本著が書かれた背景が記されているが、経済的に逼迫し国際的に孤立し非難される日本という国が持つ、よさをなんとか伝えようとして執筆されたのが本著らしい、結果として、大規模な世界大戦へと突入し、日本は破滅へとひた走ることになるが、こういう著書を書いて尽力してくれた人がいるということを知ると、なんだか嬉しくもある。
本著を読み出すときに、感じていたのは二つのことで、一つが、「過剰に持ち上げられてはいないか?」で、もう一つは、「ぼろくそにけなされていないか?」であった。国民性に薄い日本人である俺だけれど、やはり後者は少し怖くもあるし、前者だったら途中でギブアップしそうだなと考えていたのだけれど、褒めるところは褒めて、けなすこところはあけすけなくけなし、自国=イギリスと、日本をどちらに遠慮することもなく比較して論じているあたりが、気持ちよくもある。そして、彼女の日本を見つめる目は、なんとはなしに、今の日本人がインドを見つめる目に似ているように思う。のんびりしつつも、工業化によってそれが徐々に失われていく。彼女は、本屋で本を探してくれと頼んだらしい、そうしたら、三十分後にその本が倉庫で見つかったとして渡されたらしい、のんびりしておりなおかつ他人のために時間を割くことを厭わない国民性を褒めているのである、だが、それが経済成長に伴い、在庫があるとは到底思われないような本を頼んだところ、三分で出てきてしまい、それを残念がっているあたりには、やはり、今の日本人がインドを見るときのような目で、日本を見ているのだなと感じる、無論、そこにはある種の高慢さが存在しているのは否めない。日本人が田舎を賞賛するとき、賞賛するもののやは���都会>田舎という価値観が根底にはあるのだ、だが、それにしても、それはそうだなぁ、なんてうなずいてしまいたくなる。
昔は、誰もがのんびりとしていたくせに、それでいて、みなは若くして名を上げていたりする、今は時間に追われている癖に、名を上げるのは却って遅くなっている?このあたり、情報量の氾濫によって、真に大切なるものに出会えなくなっていることがあげられるのかもしれない。本は往々にして、古い本に質的に勝てはしないのだ。特に思想や思考に関しての書物は特に。現代的な書物が過去の書物に勝てるのは、最新の情報やデータ、技術が紹介されているという一点に尽きるのではなかろうか?ときおり例外はあるけれども、その傾向は強いように思われる。ショーペンハウエル的な古典主義ではないけれども、しかし、古典にはもっと触れていかなければならないと感じる。
ちなみに、解説に、挿絵担当の、マージョリー西脇という、西脇順三郎の先妻の顔写真が載っているのだけれど、びっくりするくらい美人である。
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女性の視点から当時の日本をやさしく描いている。外国で暮らすことは、心身共に負担があることであろうが、非常に建設的に紹介されている。
しかしながら、気になるところが一点。彼女は日本人は「L」の発音ができず、「R」に聞こえると述べる。
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昭和初期のイギリス外交官夫人の目から見た日本見聞録。「東京での暮らしはどういうものですか」という友人や親戚の問いに答えるつもりで書いたというだけあって当時の市井の暮らしが細かく書かれている。好意的に書かれた中、彼女が指摘する日本人の欠点は鋭い。
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イギリスの外交官夫人だったキャサリン・サンソムによる古き日本(タイトルにある年代)の滞在記というか見聞録。軽妙ながら鋭い考察、さすがユーモアにみちた内容で、当時の人々の暮らしぶりや様子がほのぼのと伝わり、面白い。洒脱な挿絵も楽しめます。お薦め。
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日本や日本人に対する鋭い洞察を、軽妙かつユーモアのある文章で綴った好エッセイ。常に庶民に温かい視線を向けているので、時代は違えど日本の庶民としては心地よく読める笑。
時代背景を考えると、イギリス人にとってはけっして住みよい時期ではなかったはずなのに、ネガティブなことは書かれていない。どんな環境であっても、積極的にものごとの良い面を見るというところがすばらしい。