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  • みんなの評価 5つ星のうち 3.6 314件
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:1994/02/10
  • 出版社: 文芸春秋
  • レーベル: 文春文庫
  • サイズ:16cm/202p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-16-755701-0
文庫

紙の本

妊娠カレンダー (文春文庫)

著者 小川 洋子 (著)

【芥川賞(104(1990下半期))】【「TRC MARC」の商品解説】姉が出産する病院は、神秘的な器具に満ちた不思議の国……妊娠をきっかけにゆらぐ現実を描く芥川賞受賞作...

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妊娠カレンダー (文春文庫)

税込 638 5pt

妊娠カレンダー

税込 459 4pt

妊娠カレンダー

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商品説明

【芥川賞(104(1990下半期))】【「TRC MARC」の商品解説】

姉が出産する病院は、神秘的な器具に満ちた不思議の国……妊娠をきっかけにゆらぐ現実を描く芥川賞受賞作。「妊娠カレンダー」「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」(松村栄子)【商品解説】

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評価内訳

紙の本

檸檬とグレープフルーツ

2011/04/09 08:50

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 第104回芥川賞受賞作(1990年)。今や芥川賞の選考委員をつとめる小川洋子さんは本作で芥川賞を受賞した。
 少し精神的に不安のある姉の妊娠の様子を冷静にみつめる妹の日記形式で書かれた物語である。 
 姉の病気は「海に浮かんだ海藻のように波打って」「決して穏やかな砂地に舞い降りることはない」。新しい生命を宿すことで姉の精神はどんどん波打っていく。やがて妹はそんな姉に憎悪を抱くようになり、発癌性物質に汚染されているかもしれないグレープフルーツのジャムを姉に食べさせつづける。
 最後の「わたしは、破壊された姉の赤ん坊に会うために、新生児室に向かって歩き出した」という文章は恐い。

 この物語を読みながら梶井基次郎の『檸檬』という作品を思い出した。
 丸善の本屋の店頭で画集の上にそっと小さいレモンを置いた主人公。彼はそれを時限爆弾の見立て、爆破することを思い浮かべる。生きることの不安が一個のレモンに凝縮されて鮮やかな短篇である。
 しかし、実際にはレモンは爆破することはない。主人公の幻視である。それと同じ構造がこの『妊娠カレンダー』にも仕掛けられている。
 姉の赤ん坊はけっして破壊されない。それは妹の幻視にすぎない。その幻視を通じて、現代人の不安が静かに描かれている。
 梶井のレモンがそこだけ色を帯びているように、小川のグレープフルーツもまたそこだけ熱をもち、色あざやかだ。
 抑制された美しい文体がその後の小川の活躍を予感させる。

 ◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。

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紙の本

掴みきれないけれど、掴まれてしまう。

2011/07/25 17:40

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

中篇集といったらいいのだろうか、みっつの話がおさめられている。
表題作(芥川賞受賞作)もおもしろいが、
「ドミトリィ」と「夕暮れの給食室と雨のプール」も
味わいの深い二篇である。
わたしは同時収録の「夕暮れの~」が読みたくてこの本を購入した。
タイトルも読みたい気持ちを掻きたてるが、
この作品が小川洋子の作品としてはいちばん最初に
「ニューヨーカー」誌に掲載されたという事実が
わたしのミーハー魂に火をつけたのだ。(のちに「妊娠カレンダー」も掲載)

「夕暮れの給食室と雨のプール」というタイトルだけですでに詩になっている。
この一行から、小学校のときの給食のメニューだとか匂いだとか、プールの授業とか、
色々なことが喚起されて、ひいては小学校の思い出という大きなノスタルジーを感じる。
給食とプールという言葉は、それだけ小学校を思い出させる、特別な言葉なのだ。
(中学校にもあったけれど)
結婚してまもなく、ジュジュという犬と引っ越してきた主人公の家に
奇妙な訪問者があらわれる。雨の降る日だった。
三歳くらいの男の子と、その父親らしき三十代くらいの男性。
ふたりはどうやら布教を目的としてこのあたりを歩いているようだった。
『あなたは、難儀に苦しんでいらっしゃいませんか』
という彼らの問いかけに、主人公はしばし考え、答える。
それはとても難しい問題なのだ、答えなければならないだろうか、と。
まるで禅問答である。
答えを受けて、あっさりと彼らは退散していったのだが、
数日後に、主人公は犬の散歩の途中、土手の下の小学校で彼らに出会う。
子どもがどうしても興味をひかれ、給食室を窓から見ているのだという。
男性は給食室にまつわる回想を、主人公に話し始める。
この男性の話す給食室がとてもリアリティがあって、
わたしも実際に給食を食べていたことのことを思い出した。
大量の海老フライやクリームシチューをつくる給食のおばさんたち。
給食当番の白衣。かちかちと鳴る食器の音。牛乳。パン。
そんなものが頭のなかに浮かび上がってくるのだ。
状況を説明すると長くなるが、内容はというと、とりとめがない。
むしろ説明しきれない。小説というのはそういうものかもしれない。
小川洋子自身が、ひとは、ひとことで説明しきれないからこそ、
何枚も何枚も小説を書いてしまうと言っているとおりである。

「ドミトリィ」はさらに奇妙な話である。
昔利用していた学生寮を、いとこに紹介することになった主人公。
しかしそこは寂れていて、間もなく廃寮になりそうなところだった。
寮の管理人は体に障害を持つが、雑務を器用にこなす。
とくに問題はなさそうに見えたが、管理人の体は蝕まれていった。
主人公は毎日のように管理人を見舞いに出かけるのに、
入寮しているはずのいとこにまったく会うことができない。
ある日、管理人は、いとこが入寮する以前にいた寮生が
じつは行方不明になったこと告白する・・・・・・。
不穏な雰囲気に包まれるが、ホラーではなく、ましてミステリーでもない。
謎は謎のまま、話は淡々と進んでいく。

お話としていちばんわかりやすいのは、「妊娠カレンダー」かもしれない。
あとの二篇は、なんだか物語の輪郭をつかめずに読み終わってしまうので、
二度、三度と読み返してしまう。
掴みきれない綿菓子のような、ふわふわした感覚が残る。
でも心にはなにかがしっかりと刻まれているのだ。それが不思議だ。

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紙の本

日常を言葉で煌めかせる

2018/12/30 14:31

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:おん - この投稿者のレビュー一覧を見る

あまりにも美しい言葉に頭を殴られたような衝撃を受けた。
純文学作品とあって、純文学らしく大きな事件が起こるわけではない。不思議な謎もない。
でも、日常のちょっとした出来事が美しい言葉で彩られたらその瞬間から物語になる。
それは、鍋で煮込むジャムだったり、古びた宿舎で食べるケーキだったり、犬の散歩だったりと本当に些細な事であるが、読み終えたときにはそんな日常の美しさが眩しい。

言葉が導くイメージの可能性にハッとする作品。

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紙の本

小川洋子という謎

2011/09/24 13:29

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」と、ほかの二編「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」からなる初期短編集である。
 いや、びっくりした。
 小川洋子といえば、映画にもなって話題を呼んだ読売文学賞受賞作『博士の愛した数式』の作者であり、芥川賞選考委員も勤めて、今の日本ではメジャーな作家の一人だろう。それなのにまるで何も読んだことがなかった。たしか芥川賞受賞の時に名前を知ったのだから、もう20年も放っておいたことになる。「妊娠カレンダー」にも興味を持ったのに、題のせいもあってか何となく近づきがたかったかもしれない。それがちょっとしたきっかけがあって、ようやくその「妊娠カレンダー」を含むこの短編賞を読んでみた。そしてびっくりしたのだった。こういう才能がある人だったのか。
 単に才能があると驚いたのではない。その才能のタイプ、資質ということになろうか。表題作以外の二編もとても魅力的で、これらの三編にこの作家のすべてが含まれているという気がした。この作家がわかったと思わせるものがそこにはあった。魅力から言ってもなかなかこれだけのセットはないと思うが、たまたまというわけではあるまい。ごく初期の三編でもあり、作家自身が魅力的なのだ。
 まずもって文章の隅々まで繊細な意識が通っているのに感心した。それを、たとえば『作家の値打ち』の福田和也は、作者の「企み」とか「悪意」とか呼ぶ。といって普通の意味の悪意とは違う、要するに読者を振り回す仕掛けがあるということなのだろうが、そこにはある種の必然、作家の内面から来る要請のようなものがあるのを感じる。
 描かれているのは微妙な不思議な世界だ。それはおそらく現実の素材の枠内にあるのだが、それでいて手の込んだ仕掛けの数々によって奇妙に現実離れしていて、はたしてリアルな物語なのかそうでないのかの境界線の近くを漂うかのようである。その極端な例が、ミステリーか、はたまたホラーかすらと思える「ドミトリイ」だろう。このサスペンス性はすごい。
 そしてそれには理由がある。どの作品でも作者は、一見秩序立った日常に潜む裂け目を紡ぎだそうとしているように見えるのである。その意味では実存的なテーマといえるかもしれない。支えとなっているはずの日常に、ふと垣間見える不安、寄る辺なさ、孤独。「妊娠カレンダー」では、語り手の姉の妊娠が、姉自身だけでなく語り手にとっても、そうしたものとの対峙を強いることになる。
 その姉の精神のしょうがいや、次の「ドミトリイ」における「先生」の身体的しょうがいは、それを暗示するモチーフといえるだろうか。いや、そこまでではなくても、たとえば「夕暮れの給食室と雨のプール」に登場する男が回想する「給食を食べられない」状態など、精神的肉体的苦痛がそれを表現してもいるだろう。そうした場では、必然のようにして、生きることの傷みのようなものが、そこはかとない哀れみと共感とをもって提示されて魅力的である。
 一方その対極にあるのが、ここでは「ドミトリイ」に登場するが、秩序があるゆえに「美しい」数学の世界である。おそらく作家個人も数学が好きなのだろうが、それは『博士の愛した数式』でも重要なモチーフのようだし、そこにおける人物のしょうがいにしても、この短編におけるのと同じ意味を持つに違いない(未読なので違ったらすみません)。おそらくそれらはこの作家の本質的なものに関わっている。
 なお「ドミトリイ」については、振り回されることへの不満や、あるいは不全感を覚える読者があるかもしれない。しかしこれをやはり先に述べた「裂け目」の物語と捉えるなら、それはそれで一個の必然ではないかと私自身は考えている。
 やり残した宿題をするような感覚でこの本を読み出したのだが、これだけ感心するとほかも読みたくなる。ここで作家の核心のようなものとして強く感じたことを確かめるためにも、ほかの作品も読もうと思う。

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紙の本

芥川賞受賞の透き通った悪夢のようなあざやかな小川ワールド全開の小説です!

2016/09/02 09:10

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、芥川賞受賞作です。内容は、出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹の存在など、妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを描いたものです。本書には、その他、謎に包まれた寂しい学生寮の物語である「ドミトリイ」と、小学校の給食室に魅せられた男の告白を綴った「夕暮れの給食室と雨のプール」の二編が収録されています。

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紙の本

理解するという事。妊娠を通して,姉妹の心の不思議が紡がれています。

2017/05/19 23:24

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る

どんなに頑張っても,妊娠は女性にしか分からない部分がある。
でも女性全員が最初から分かっている訳ではない。
これは妊娠に限らず当てはまるのではないか。

小見出しが日付と妊娠週数になっている。日記のように綴ってある。
主人公は妹。姉夫婦と同居していて,姉の妊娠から話が始まる。
診察を受ける病院のことや,基礎体温のグラフのことなど。
どうやら妹は家の料理係みたいだ。
学生でアルバイトもしているようだ。

実に冷静に話が進んでいく。
妊娠がおめでたいとされていることに,妹は実感が湧かない。
お節料理を工芸品と評す。胎児の超音波写真をもろい
影の塊と考える。

実験室での観察レポートみたいな感性だ。
人間的な営みがあるから,美しいものとされている事柄たち。
感情を排したら,妹のような感情が残るのだろうか。

妹はアルバイト先でアメリカ産のグレープフルーツをもらい,
ジャムを作る。「危険な輸入食品」「毒薬づけ」という
いつか見た記事を頭に思い浮かべながら。

ジャムを姉に食べさせ,妹は観察を続ける。
それから何度もジャムを作り,最後に生まれた赤ちゃんが
どうなったか見に行く。

妹を通して,新たに理解するということが描かれていると思う。
小川さんは,認識という脳の蓄積の仕組みに迫ろうと
しているのか。ひたすら冷静に分析しているようだ。

妊娠,出産というテーマも重要だ。
妹の心の奥深くで,いつかは自分にもおとずれることという
感性を掘り起こしていることが背景に感じられる。

花が綺麗とか空にロマンを感じるとか,いつから思うように
なったのだろう。人間の心は不思議ということを気付かされる。
私は妊娠を体感できないので,さらに強く不思議を感じた
のである。

どうにも理解できない部分があったので,女性の意見を聞いた。
すぐさま妹の嫉妬という答えが返ってきた。
残念ながら私には半分も理解できていなかった。
どんなに想像してもその感情は湧かない。

それでもなお,自分自身への自戒もこめて男性にも
お薦めしたい。理解するということを気付かせてくれるように思う。

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紙の本

透明感

2022/10/29 14:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カレイの煮付 - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み終わって、透明感にあふれる著作だと思った。著者ならではの独特の感性を随所に見た。日常生活の中に、書く題材を発見できて、それを、透明感あふれる内容に昇華できることが素晴らしいと思った。

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紙の本

怖い、けど、なんか分かる

2022/03/23 15:04

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る

91年の芥川賞受賞作品。
病的な姉の妊娠に向けられる、妹の穏やかだけど堅固な悪意。
本当に不気味で、変な余韻を残すのだが、なんだかはまってしまう。

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紙の本

不吉なおめでた

2020/07/09 08:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

出産を控えた姉への嫌悪感を募らせる、表題作が衝撃的です。妹が手作りするグレープフルーツのジャムが、ほろ苦い結末を予感させます。

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電子書籍

自由奔放な妊婦がつぼ

2019/01/28 18:27

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

小川氏の作品を読むのは「ミーナの行進」以来のこと、表題作で第104回芥川賞をとった。小川氏は長女ということなので、実際はひょっとしたら有害かもしれないというアメリカ産グレープフルーツのジャムを姉に食べさせ続けた妹よりも自由奔放に妹を振り回す姉に彼女は近いのかも知れない、作者のあとがきでは私の出産は簡単だったので作者の実体験なのかとと質問されるとがっかりすると彼女は言っているのではあるが。芥川賞受賞のころの作品は純文学だけど、「ミーナの行進」あたりの作品となるとバラエティー色が濃いような気がする。私はどっちもすきなのだが

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紙の本

怖い夢を彷徨う

2004/06/21 15:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:山口アキ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 悪夢は僕が最も苦手とするもののひとつだ。なぜなら悪夢は怖いからだ。
悪夢が怖いのは当然だと感じるかもしれないが、これは不思議なことではないだろうか。
 汗びっしょりになって目を覚まし、怖い夢をみていたことを思い出す。しかし、その夢の内容は何が怖かったのか分からないようなものだったという経験は誰しもあるのではないだろうか。なんでもないようなことなのに夢の中では耐えられないほどの恐怖心に襲われる。
 そんな怖い夢のような3篇の物語がこの本の中には収められている。静かで綺麗な、けれども耐えられないほど怖い物語。
 きっと丁寧に描かれた心理描写がこんなにもこの物語を怖くしているのだ。理性的に説明することはできる。感覚的にもしっくりくる。なのに何かが分からない。だから怖いのかもしれない。
 一度嵌ってしまったらなかなか抜け出せない独特な世界がここにある。グレープフルーツ、古い産婦人科病院、学生寮、蜜蜂、給食室などの小道具のようなものが堂々と使われているのも逆に新鮮な感じがした。

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紙の本

妊娠カレンダー

2001/11/04 15:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:333 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 出産をひかえた姉に毒入りのジャムを食べさせるという、微妙な女性心理を描き出した作品。よく出来ている作品で面白かった。時間がすぎていくごとに織り成される心理模様が丹念に描かれている。芥川賞受賞作品。

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紙の本

結末は、私が決める。

2019/09/18 04:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:イザベラ - この投稿者のレビュー一覧を見る

表題作の妊娠カレンダーよりも「ドミトリイ」が、すごくミステリアスで不思議な感覚。これは、一体どういうことなのかしら。。。と怖いもの見たさで、すごい勢いでページをめくってしまいました。最後まで読んで、結局これは、どういうことなのかしら。。。と物語をうまく私の中で消化できず、悶々と過ごすこと数日。私の想像力を膨らませ、私の中での結末を作ってしまいました。
また、時間をおいて読み直したいと思います。その時には、また違う結末を考えるのかもしれませんが。

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紙の本

肉体ではなく身体に

2004/09/09 15:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:sanatorium - この投稿者のレビュー一覧を見る

 友人に何か面白い本はないかと聞いたら小川洋子を薦められたので、探して見つかったのがこの本だった。三編収録されているが、それぞれ、なんというか内臓を触られるような感覚をおぼえさせる。
 心というか精神的なものも加味された「からだ」が日本語の<身体>であり、英語で<身体>ボディーと言った場合は、実は死体というもう一つの意味を持った機械としての<身体>だ。<精神>に対する<身体>。養老氏は日本人は江戸時代に「からだ」という意味の<身体>をなくしてしまったというが、そもそも日本人は二元論的に考えていなかっただろうし、江戸時代に蘭学の影響で解剖学が始まったからといって「からだ」<身体>の意識がなくなるわけではないだろう。
 小川洋子の小説の主人公の視線で見られた人体は日本的な「からだ」ではなく西洋的な<身体>に近い。「妊娠カレンダー」では、子を宿した姉を持つ妹は胎児を胎児としてではなく、染色体としてしか認識しない。このような小説が出てきたということで、日本人が「からだ」を失いつつあるといえるかもしれない。島田雅彦は「自由死刑」の中で、臓器移植など自分の器官がリサイクルされるような状況の中でも何とか自分の死は自分で成就したいと、自らに死刑を科す主人公を登場させている。死と生のあり方を見るときに、人間のあり方が見えてくると思うが、小川洋子も島田雅彦も人体が<身体>化していくという意識を共有している。
 小川洋子のこの小説三篇には、女性主人公のフィアンセが出てきても、彼は全く主体性を持たず、というか主体性を持つ者として登場させられず、ほったらかしにされている。愛が問題なのではないということを示すための者として登場させられているようにも見える。大澤真幸という人はこのような状況の中の改善策となりうるのが「愛」だといっているけれども。
 小説の世界は、こう言ってみれば殺伐とした状況に見えるのだが、素敵な比喩や自然の詩的な描写が、そんな世界をオブラートに包んでいる。そしてその書き方が小川洋子の魅力なのだろう。
 「妊娠カレンダー」読後に感じた、小川洋子の世界を見るスタンスは私の見るところ以上の通りだが、実はまだ一冊しか読んでいないので、他の作品を読んでみよう。

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2004/12/09 23:41

投稿元:ブクログ

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