紙の本
もっと知るべき琉球
2002/07/30 23:08
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投稿者:コチンムーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
いわゆる琉球処分までは曲がりなりにも「独立国家」であった琉球。
しかし、その歴史は驚くほどに我々「ヤマントンチュゥ」には知られておらず、
また琉球処分以後の、もしくは「沖縄戦」の、さらには「戦後の沖縄」像しか
ヤマトンチュゥは知らなかったりもするのが現実だ。
琉球王国は「三韓の秀を鐘め、大明を以て輔車となし、日域をもって脣歯と」なす邦(くに)であった。
著者である高良氏は、古琉球時代を中心にその全体像を解き明かして、
現代的問題にも結びつく幅広い視点と問題提起を我々に示してくれている。
私の蒙を啓いてくれた本です。
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琉球王国
2020/02/13 21:33
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今の沖縄県がかつて琉球王国であったという事実はきちんと教科書にも載っているし、当然ほとんどの国民が知っている。しかしそれをきちんと理解できているかと言うと、できていない人のほうが多いのではないか。
特に興味深かった指摘は、琉球王国が日本に併合された事実を「琉球処分」といい、これは他の地域の「版籍奉還」とはまったく違うと言うこと。
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入門書におすすめ
2013/06/05 16:23
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投稿者:ひろきち - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者は世間一般の沖縄に対する、戦時中の暗い歴史や日本とはどこか違う「異国」な雰囲気といった表面的な部分で沖縄について語っておらず、真摯に研究をするスタンスをとっている。なので、これから琉球について調べようとしている人にオススメの本だ。
内容は旧石器時代から近世までの琉球の歴史を主に書いており、そのほかに当時の王国が行っていた貿易やそのシステム、島民がどのような生活をしていたかについて書かれている。また、琉球の歴史を語る上で中国(明)と日本との関係についても書かれており、当時の国際情勢や人々の生活をより想像しやすい内容になっている。作者は当時の文書や遺跡の調査、海外での現地調査を長年行い、さらには琉球についての研究会や学者達との交流を多くしてきており、単純に歴史の流れを知れるだけでなく具体的で深い内容の本になっている。
個人的には「沖縄基地問題」や「琉球独立論」といった現在議論になっている問題を捉えるにあたって、この本はその足場固めとして非常に役に立った。入門書としてだけではなく深い内容になっているので、琉球について研究をする場合は最初に読む本としてオススメの本だ。
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日本なのに
2017/01/03 16:49
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投稿者:じゅんべぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本なのに日本じゃない。
というより、日本じゃないのに日本になった国の歴史の話。
というか、国っていう単位で区切るにはあまりに無理がある。
一緒なような違うような、という曖昧が、いつも多様性を作り、歴史を作っている。
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そうか新書の定価は700円もするのか。
わたしが貰っちゃったのは文庫版。感謝します。
いつはか琉球の昔話を覚えたいと思う。 海を渡り冒険の旅をするスケールの大きなお話にあこがれます。
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知りたかった内容とは違ったが、面白かった。
以下、抜粋。
古琉球の空間的な広がり、奥ゆきを実感することにあった。
琉球史を狭い島社会の郷土史としてとらえるのではなく、また、琉球史の可能性を従来の狭い「日本史」や「地方史」のなかに閉じ込めてしまうのでもなく、琉球史そのものがはばたいてみせた歴史的空間を実感としてうけとめる、そのためにアジアのゆかりの地に立つ必要があったのである。
「アジアのなかの琉球」を、理屈としてではなく、歴史家の感性の領域にまで内在化したかったのである。
古琉球をふくむ琉球史の個性を十分にとりこんだうえで、新しい日本史像を描く必要があると思う。
既成の日本史像に琉球史を無理やり押しこんでしまうのではなく、琉球史をふくむことによって、日本史像をゆたかにしなければならないと思う。
琉球史は新しい日本史像のあり方について積極的な問題提起を行うべきだ。
日本社会は太古の昔から一枚岩的にあったものなのではなく、さまざまな要素を吸収しながら歴史的に形成されてきたものであり、いまなお形成されつつある社会だ、とする基本認識を沖縄の側から提示すべきである。
過去にさかのぼれば、古琉球(中世)においては琉球王国という独自の国家も存在しており、その頃の日本は少なくとも二つの国家的形態をもっていた。という歴史的事実を素直に示すべきなのだ。
琉球史側からみるならば、「琉球王国」を包摂していく過程のなかで、日本の国家と社会のあり方が逆に規定されていったことこそ重要である。
王国の伝統をもったがために「変種」となった地域が、その後日本という「団体」にくわわったために、日本社会の内容も、日本史像の枠組みも拡大したこと、いいかえると、琉球・沖縄という変り種をメンバーにくわえて日本社会は形成された点を力説すべきだと思う。
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琉球の王国から日本の沖縄県への変遷がよく理解できた。本書にも書いてあるが、薩摩やアメリカによって貴重な資料が散逸してしまった事実は悲しい。沖縄へ旅行に行った後に、沖縄に関する情報を得たくて買った本。
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一五世紀に成立し、明治政府に併合されるまで、四百年に及んだ「琉球王国」とはどのような世界であったのか。中国・朝鮮からマラッカ・シャムをむすぶ「海の道」の中核となった琉球王国の黄金時代、「古琉球時代」を中心に、気鋭の歴史家がその全体像をときあかしていく。現代的関心と切り結ぶ、鋭い問題提起にみちた意欲作。
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【60/150】情けないがほとんどわからない。書いている文章はわかるが、何ぶん琉球のことを知らなすぎなので、イメージが湧いてこないのだ。
14,15世紀の頃、琉球は中国・東南アジア一帯を手広く貿易しておったということ初めて知った次第なのだから。
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個人的にあまり好きな著者ではないし、彼の琉球史には今では異論も多いし、琉球史をちょっとロマンティックにしすぎなきらいがあるが、それでも本書は琉球王国史を学ぶ者にとってまず読むべき1冊だろう。その後、最新の研究を追い、批判的に見るべき点は見ていけばいいと思う。
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トラッドジャパンというNHKのテレビ番組で,
琉球をRyukyu Kingdomと訳していた。
なるほど,琉球といえば,琉球王朝のことを指すのだと。
琉球王朝は,中国,台湾,琉球,日本という連鎖の中で,
どのような地位を占めていたかという観点で理解するとよいのかもしれない。
沖縄に行く前に読んでおきたかった。
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沖縄に行く直前にこれと、池上永一「テンペスト」を合わせて読んだ。
テンペストを先に読んでいたので予備知識が出来、ある程度分かったが、もし読んでいなかったら、てんでわからなかったかもしれない。
また、新書で500年の王国の歴史をひもとくには少々不完全燃焼で、物足りなさを感じてしまった。
とはいえ、真面目に勉強する前の最初のとっかかりにはいいし、真面目に勉強したくない場合は、テンペストを読むのがいいとおもいます。
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『テンペスト』を読んで琉球王国に興味を持ち読んでみました。
那覇本島全域が統一され始めたころから戦後にかけてまとまっています。
沖縄県の被害者意識ってのは第二次世界大戦後のアメリカ統治のことなのでしょうか。
日本に復帰後に生まれた世代なのかそんな感覚はないです。
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沖縄旅行の後に勢いで買った一冊。
沖縄の歴史=沖縄戦の暗い歴史と狭く捉えている人には是非勧めたい。
グスク、首里城、尚氏など様々な切り口で展開されてる中で、特に中継貿易での流通経路が面白かった。中国で得た商品を、王国に運んだ後に東南アジアにその一部を売りに行くというところ。
沖縄が東南アジアに近しいものを感じていた要因を掴めた気がした。
大してページ数はないが、難しくて読むのに時間が掛かった。
また、本書で登場する伊波普猷についても探ってみたく思った。
うちの大学に伊波普猷の卒業論文が保存されてるらしく、近々拝見する予定。
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(1993.04.14読了)(1993.04.02購入)
*本の帯より*
アジア世界に雄飛した海洋王国の実像!
高良倉吉―1947年、沖縄県伊是名島に生まれる。現在浦添市立図書館長、琉球史研究に新風を吹き込む画期的な業績を上げる一方、首里城復元を指導し、またNHK大河ドラマ「琉球の風」の監修責任者となって時代考証を担当するなど、琉球史像定着に向けて、多彩な活動を精力的に展開している。
【目次】
序章
第一章 「王国」の発見
第二章 古琉球の時間
第三章 アジアのなかの琉球
第四章 辞令書王国
第五章 「王国」の制度を探る
終章
参考文献
あとがき
琉球・沖縄歴史年表
☆関連図書(既読)
「沖縄」比嘉春潮・霜多正次著、岩波新書、1963.01.25