紙の本
最高のパスティーシュシリーズ!
2002/07/30 19:05
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投稿者:木野下 - この投稿者のレビュー一覧を見る
贋作ホームズの最高峰シリーズです。
『シャーロック・ホームズの秘密ファイル』
『シャーロック・ホームズのクロニクル』
『シャーロック・ホームズのジャーナル』
『シャーロック・ホームズのドキュメント』
以上の四冊が出版されています。
真贋は別として、限りなくホームズ物語のオリジナルに近い内容の原稿が詰まったブリキの箱を見つけたという女性がその内容を披露する、という趣向で書かれているシリーズ。どの作品も非常にレベルが高く、冊数を重ねるごとに面白くなっていくという希有な存在です。大抵は、前半で力を使い果たしてしまうようなのですが……。
作者のトムスンは、英国で活躍するバリバリの推理作家で、このシリーズと同じく創元推理文庫から『ときのかたみ』などの作品を上梓しています。また、こちらも創元推理文庫から出ている『ホームズとワトスン──友情の研究』という研究書を著わすほどの、優秀なシャーロキアンでもあります。
必読の傑作シリーズです。
僕は、いつかトムスンが長編を書いてくれないものだろうか、と期待しています。
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ホームズは好きだけどシャーロキアンというほどではない人にとってはかなりいい感じの作品じゃないかと思う。ネタの出典をわざわざ注釈で入れてくれるのは、マニアックじゃないやつからするととてもありがたい。これまで読んだパスティッシュは多かれ少なかれ派手な部分があったけどこれは落ち着いててとてもいい。
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目指せシャーロッキアンだった頃にちょうど店頭で見て買った作品。シャーロック・ホームズのパスティーシュは実在の歴史とリンクさせてるものからSFまであるけれど、こういう正典に近いタイプが好きです。ワトソンファンとしてはワトソンがちょこちょこっと活躍してくれるのも嬉しい。「ホームズのドキュメント」以来新作が出てこないのが気になります。
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パスティーシュ。聖典に近い書き方でまるで本物みたい。ホームズとワトスンがとても仲良し。「クロニカル」「ジャーナル」「ドキュメント」と続きます。
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『消えた給仕長』
弁護士であるネルスン氏の友人ジェームズ・フィリモア氏の失踪事件。傘を取りに戻ったまま消えてしまったフィリモア氏。彼の婚約者ミス・ペイジとネルスン氏の関係。失踪直前に訪れた避暑地。
『アマチュア乞食』
ワトスンの友人ヴェルナブルズ少佐からの依頼。放蕩の末家を出て行った息子テディ。テディのもとに来た手紙。ある協会からの文書。
『奇妙な毛虫』
変死したホームズの友人イサドラ・ベルサーノ。ベルサーノに送られた小箱から現れた怪しい虫の正体。南米の大地主ガスカに関する糾弾記事を書き命をねらわれていたベルサーノ。
『高貴な依頼人』
昔の文通相手の手紙を公表すると脅迫されるウェルボーン公爵夫人。誰も手紙に手を触れることができない状態で手紙の内容を知る秘密。
『名うてのカナリヤ訓練師』
ヘアー婦人の娘ロージーが失踪した。ある貴婦人の屋敷で働き出してすぐに消えたロージー。捜査を始めてすぐに発見されたロージーの遺体。地下クラブで行われていた「カナリヤ訓練師ウィルソン」の事件。
『流れ者の夜盗』
貴重で高価な美術品を狙う泥棒。事件の前に被害者を訪れる謎の人物。「マグパイ」と名付けた謎の人物。
『打ち捨てられた灯台』
ドイツとのスパイ疑惑があるある議員の弟のドイツとの通信方法。湖の上でどのように行われているのだろうか?鵜飼いの秘密。
2009年11月24日再読
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探偵ものは数多くあるけれど、子どものころから親しんだシャーロック・ホームズは一段と思い入れのあるシリーズだ。ホームズといえば「聖典」の名で知られるコナン・ドイルの小説の他に、いわゆるパスティーシュの多いことでも知られている。そのパスティーシュの中でも出色の出来なのが、このジューン・トムスン女史のホームズ贋作シリーズだ。
パスティーシュの見所は幾つかあるが、まずは「作品の位置づけ」が重要だ。最初からパロディとして書かれた作品(例えば、ホームズが女性だったとか、ホームズの子孫が活躍するとか)は別とすれば、大まかにいって、ワトソン博士が記録はしたが、事情があって小説として発表するわけにいかなかった事件の記録が発見されたというのがほとんどを占める。このシリーズも例に漏れずなのだが、特に挙げるとすれば、このシリーズで取り上げられた新たな事件は全て、聖典中に言及された事件の記録だということだろう。
実際に聖典で言及されながら「未発表の事件」に限り、しかも原作の筆致に似せて書かれたという二つの点で、読めばわかるが非常に聖典に似た感触を抱かせてくれる作品群だと思う。
私はグラナダTV制作の「シャーロック・ホームズ」のファンでもあるのだが、読みながら、頭の中で日本語吹き替え版のあの声(露口茂氏の)で再生させても違和感が無かったというのは今までにない驚きだった。(一箇所だけ、どうしても許せない台詞があるのだが、これは訳者の責任だからなあ……。露口ホームズは「(僕に〜しろ)ってか」なんて言わないよ、絶対)
ともあれ、このあと4冊に渡って次々と未発表事件が発表されるので全巻揃えて読む楽しみがある。ホームズとワトソンの友情と、ワトソンの二人目の妻について推理・考察した論文も面白いのでおすすめする。
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コナン・ドイルが生み出した名探偵ホームズを主人公としたパロディ・パスティーシュ小説の1つ。ワトスン博士がさまざまな理由により公開しなかった手記が見つかった、という形で展開される短編集。スマートなホームズが颯爽と事件を解決する姿が描かれており、どちらかというと"おとなしい"ホームズ。贋作ホームズは、中世のイギリスをホームズを通して表現されることも魅力の1つです。
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トムスン女史によるホームズパスティーシュの第一弾。原作に限りなく近い語り口はまさに正統派。
ワトスン好きにとってパスティーシュを選ぶ上でもっとも重要な点の一つが、ワトスンの扱いが不当でないかどうかだと思うけど、その点に関しては全く心配いりません。もの凄く明敏になることも無いけれど全くの愚鈍ということも無く、ホームズの後についてちょこちょこ活躍してくれる。
日本がキーになる話もあって、日本人としてはちょっと嬉しい。
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贋作ホームズの一作目
「クロニクル」「ジャーナル」へとつながるジューン女史の贋作ホームズ一作目。
先に三部作の後半二作を読んだ(なんと去年の正月だ)ので、一作目を読みたいと思っていた。
七つの短編は、ほぼ外れがなく楽しめる内容だ。おもしろかった。
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ホームズパスティーシュシリーズの第一弾。
聖典中で事件名だけでて詳しくは語られなかった事件を発表していくという形。
すごい聖典に雰囲気が似てて驚いた…。
パスティーシュものの中ではかなり評判がいいと聞いてましたがまさにです。
作者がシャーロキアンなだけあって細かいとこまでしっかりしてます。
微妙な差をあげるとすれば、ホームズが若干優しい感じで、ワトスンの出番というか会話部分若干多い気がしますね。
でも事件の感じもまさにという感じで、途中聖典を読んでるような気になることも。
このシリーズは読んでいきたいと思います。
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パスティーシュシリーズ第一弾。
前書きによると歯科医ワトスン博士の伯父(ホームズの伝記作家でない哲学博士)がある婦人より買い取ったが戦争により原本が失われ写ししかないという。つまり真贋が不明ですよとのこと。これは先鞭をつけている作品に対する愛情ではなかろうか。
実際の事件は所謂名前だけは知ってる事件だらけなのでファンなら楽しめます。
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贋作ホームズものでは屈指の傑作。「ソア橋の怪事件」で語られる傘を取りに行ったまま姿を消したフィリモア氏の事件「消えた給仕長」や謎の虫が入ったマッチ箱を前に発狂したイサドラペルサーノの「奇妙な毛虫」など、ホームズ談の中で名のみ登場しワトソンがブリキ箱にしまって銀行に預けてしまった事件の数々。もちろんワトソンの子孫が持ち込んだ原稿という前書きが付く。実に忠実に、そして正統的に語られるホームズ談は当時発表できなかった理由も語られるが、いやはや何ともかなり良く出来ている。
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「ホームズ」シリーズの贋作(パスティーシュ/パロディ)、、、
「ジューン・トムスン」の『シャーロック・ホームズの秘密ファイル』を読みました。
収録されているのは、まえがき+7編の短編。
■まえがき オーブリー・B・ワトスン
■消えた給仕長
(The Case of the Vanishing Head-Waiter)
■アマチュア乞食
(The Case of the Amateur Mendicants)
■奇妙な毛虫
(The Case of the Remarkable Worm)
■高貴な依頼人
(The Case of the Exalted Client)
■名うてのカナリア訓練師
(The Case of the Notorious Canary-Trainer)
■流れ者の夜盗
(The Case of the Itinerant Yeggman)
■打ち捨てられた灯台
(The Case of the Abandoned Lighthouse)
ホンモノの「ホームズ」シリーズで「事情があって公開できない」とされていた未公表の作品(語られざる事件)が発見された… という設定で、ホンモノの「ホームズ」シリーズと、うまく整合をとったカタチで物語が展開します。
この作品群が公表されないままに終わった事情もうまく説明してあるし、全般的に違和感なく読み進むことができ、ホンモノの「ホームズ」シリーズと遜色ない感じがしましたね。
ホント、お見事という感じです。
これならシャーロキアンの方も、納得できるレベルに達しているのではないでしょうか。