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紙の本
人間失格 (集英社文庫)
著者 太宰 治 (著)
自殺未遂、薬品中毒…。3枚の奇怪な写真とともに渡された睡眠薬中毒者の手記に、克明に描かれた陰惨な半生…。太宰治の自伝であり、遺書でもある作品。
人間失格 (集英社文庫)
人間失格
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紙の本
おすすめ
2015/06/05 10:46
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:一匹狼 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間失格はいろんな文庫で読みましたが、私はこの集英社文庫が一番おすすめです。表紙はちょっと、イメージと違いましたが。
おすすめの理由は解説の部分です。太宰治の娘さんの太田治子の文章が載っていて、太宰の子ども目線での人間失格が綴られていて非常に面白かったです。新しい目線で人間失格を読めた気がしました。この本に強烈な先入観を持っている人にこそ読んで欲しいです。
巻頭にある写真も眺めていて楽しかったです。太宰、イケメンですね…
紙の本
太宰治の世界観
2016/12/05 18:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぺんたろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回の人間失格が私が読んだ初めての太宰作品であった。元々友人に薦められていたので、読むことが叶ってよかった。人間失格を読了して感じたことは、文豪と呼ばれる人物はこんな視点から世界を切り取ることができるのかという感動である。私などは普段何気なくこの世界に生きているが、太宰治ともなれば世界の見方も常人とはかけはなれており、さらにすごいのはその感覚を文章で正確に表現できることである。この作品をきっかけに他の文豪と呼ばれる人物たちがどのように世界を切り取っていたのか、興味が強く湧いてきた。
紙の本
共感の1作。
2011/02/21 19:16
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BH惺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者の遺書的作品と言われているようですが、自分はそうは感じませんでした。そんなに太宰治に精通しているわけではなく、思い入れも無いのでそう感じただけかもしれません。
ただ、大変良く出来た作品だな、と。仮に、もし遺書的作品ならば、もっと感情的な部分が全面に押し出されて内容破綻な展開になると思うのですが、この作品、起承転結で言うならば、起と結部分が第三者視点で、承と転部分が主人公の一人称視点・独白といった、とても凝った構成のよく練られた作品だと思いました。
ひと言でいうと主人公・葉蔵の幼少時から転落までの半生譚。
その彼の根本的な人格に決定的に欠落していたモノ。それは自我だと思った。それがあまりにも無いがゆえに、すべて他力本願の人生を歩まねばならなかった悲劇。
幼少時から道化の仮面を被らなければ生きてゆけなかった彼の苦悩の根源て何だったんだろう?
家父長制度の強力だった当時の、絶対的な父親の存在? 抑圧? 要因はいろいろあるんだろうけれど、あまりにも生きる力に欠け、意志薄弱すぎたのがその後の彼の人生の不幸を決定づけてしまったように思えた。
酒に逃げ、女性に逃げ、自分自身にも逃げ続けた葉蔵の行きついた果ては精神的虚脱。そして皮肉なことに、自分自身を「人間失格」と自覚した瞬間に初めて彼の裡に育ちつつあった自我を見たように思う。
半ば自虐的に自分の人生を冷静に見つめ、回顧する葉蔵の姿は決して破滅的ではない。人間として生きる上で誰もがぶち当る壁に苦悩し、あがきつづけるその姿はむしろ共感に値する。ただ、お坊ちゃん育ちの彼は、逆境から這い上がるという強さが無かっただけで。
葉蔵というキャラクターは作者自身を投影した姿だと言われているけれど、それは作者だけではないと思う。万人がどこかしら自分に当てはめ、共感・投影し得る部分があるのではないかなと。それがこのテーマの不変性でもあると思う。
「恥の多い生涯を送ってきました」
ある程度の人生を送ってきた人物ならば誰しも納得するこの言葉。生きている以上、恥の無い人生なんてまずあり得ないから。冒頭のこの一文で自分は思いっきりこの作品世界に引き込まれてしまいました。
「人間失格」……誰でも失格な部分はあると思う。むしろ完璧な人間の方がめずらしい。
好き嫌いが分かれる作品だと思いますが、自分的にはとても満足な作品。あくまで個人的見解ですが、一般で認識されているような自殺願望作品ではないと思いました。
BIBLIO HOLICより
紙の本
最期の作品
2013/01/13 18:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:結子*uco* - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰治の作品は、処女作「晩年」と、最期の作品であるこの「人間失格」を持っています。
裏表紙に書いてある簡単な筋書き「作品完成の1か月後、彼は自らの命を断つ。」この文章に惹かれて買いました。
もともと太宰は「晩年」を遺作のつもりで書いて、完成したら死ぬつもりだったとか。
結局その後も数々の作品を残したわけですが、結果的にはやはり自害してしまいました。
読んでるうちに自分と重なる部分もあったりして、ふと考えさせられました。
感謝の気持ちも湧いてきました。
私にとって不思議な作品です。
紙の本
主人公「葉蔵」の生き方をどう見るか。読むタイミングごとに印象が変わる不思議な小説だ。
2010/06/10 08:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰治本人の人生をなぞったような作品とされる「人間失格」。
そういった部分も織り込んでいるのだろうが、「主人公:葉蔵=太宰治」ではない。強いて言えば「葉蔵≒太宰」かもしれないが。
葉蔵は幼い頃から他の人間に恐怖を感じている。何を考えているのかもわからないし、どうやら自分とは違うらしい。いや、自分が他人と違うのだ。それを悟られてはいけない。悟られないために、自分の本心から他人の目をそらすために、わざと道化役を買って出る幼少期。
その後、長ずるにつれ、相変わらず他人と距離を置きながら生き、他人を恐れながら生き、心中未遂を起こし、アルコール、薬物に溺れるようになっていく。
他人の気持ちがわからない。
誰しも、一度は思うことだ。
自分の気持ちでさえよく理解できないのだ。他人なんてなおさらのこと。
その割り切りができなかった。
だから、むやみに他人を恐れた。
そのあげく、知らず知らずに人を巻き込んだり、巻き込まれたりしながら、自らと関わった女性を不幸へ不幸へと導いていく。
彼はただ単に、プライドの高い、世間知らずのお坊ちゃまだ、読み終わったとき、そう思った。
プライドが高いからこそ、自分の恐怖を他人に知られまいと、必死の道化役を演じる。
自分の考えを否定されるのが怖いからこそ、父の言うがままに進路を決める。
死を望みながらも、実は自己愛が非常に強い人間。それが葉蔵だ、と思った。
しかし、小林広一氏の解説を読んで、少し印象が変わった。
太宰は、自分を厳しく見つめた。自己批評の厳しい人間だったという。
自分を批評しようとしても簡単にできることではない。しかし、彼はその部分を曖昧にして過ごすことができなかった。曖昧にしたまま過ごす時間が許せなかった。そこで浮かぶのが「死」という言葉だ。
太宰は、どういった思いを持って「人間失格」を書ききったのか。
葉蔵の弱さをどう見ながら、描いていたのか。
自死を思いながら遂に成し得なかった葉蔵を、なぜ生み出したのか。
いつもどこかに安らぎを求めながら、それを得ようとした瞬間、自ら壊しているようにも思える葉蔵。
葉蔵に言わせれば、世間が自分を追い詰めているというのだろうが、そうではないように思う。
葉蔵の思考回路そのものが、自分を追い詰めているだけだ。
これを自分に厳しいとみるか、自分に甘いとみるか、単なる我が儘とみるか・・・。
いろんな読み方のできる作品である。
改めて「人間失格」を読んでみて、読むたびに印象の変わる小説なのかもしれない。
紙の本
暗くなる
2017/01/12 21:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひのえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
だんだん心が暗くなって辛くなる。しかし、なんだかんだ人に恵まれてる気がする。望んだものとは違っても好きなように生きていましたね。
電子書籍
がっかり
2013/07/21 19:49
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニンジャ - この投稿者のレビュー一覧を見る
小畑健の表紙だったので他の人間失格よりちょっと高いけど、こっちを買いました。
でも、電子書籍では表紙が見れません。
内容は一緒なので、安い方を買えば良かったです。
紙の本
病人が書いたような文章
2016/04/16 14:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よしくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰の最後の作品です。
正直、文章になっていない。病人が何とか最後の力を振り絞って書いた文章という感じです。
こんな状態だったからこそ玉川上水に身を投げたんだろうと思います。
こんな本が世間的には評価されているのが私は納得できません。
本人がガンとか内臓疾患とかで苦しんでいるならまだしも、自ら手を出したモルヒネで苦しんでいることが詳細に書かれていますが、そんな人はこんな文章など書かずに病院に入院するべきだったと思います。
厳しい意見かもしれませんが。
紙の本
何度目?
2018/07/22 13:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
いくつもの版で読んでいる『人間失格』
同じ内容のものを別の版でこれだけ読んでいるのは本作くらいです。
と言ってもさほど好きというわけでもないのですが。
こちらは小畑健先生の表紙版。第二葉の写真を表現していると思われますが
なにしろ描いてるのが小畑先生なので異様に美しい。
巻頭に写真資料が豊富に収録されているのも特徴。