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- カテゴリ:小学生
- 発売日:1989/09/01
- 出版社: あすなろ書房
- サイズ:22×29cm/47p
- 利用対象:小学生
- ISBN:4-7515-1431-8
木を植えた男
紙の本 |
セット商品 |
- 税込価格:18,260円(166pt)
- 発送可能日:購入できません
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紙の本
「魂の偉大さのかげにひそむ、不屈の精神。心の寛大さのかげにひそむ、たゆまない熱情。それらがあって、はじめて、すばらしい結果がもたらされる。」
2010/04/25 00:25
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を手にしたのは、『世界でいちばん愛される絵本たち』に掲載されていた
フレデリック・バック氏と新井満氏の対談記事がきっかけだった。
フレデリック・バック氏は、1968年よりアニメーションの制作に携わり、
この『木を植えた男』を短編映画として制作した。
本書は、この短編映画をもとに、絵本として新たに描き起こし、構成した作品である。
新井満氏は、絵本の『木を植えた男』を読み、
原作者のジャン・ジオノの関心を持ち、
南仏プロヴァンスの小さな町マノクスを訪れた。
それが、『木を植えた男を訪ねて』という本になった。
新井満氏は、ジャン・ジオノは日本ではほとんど知られていないので、関心を持ったのだが、
絵本がなければ、南仏への旅も本もNHKの特集もなかっただろうと述懐している。
さて本書は、非常に印象的な表紙である。
木を植えた男の丹念なスケッチに木の淡い色が重ねられている。
男の目ははるか遠くを見ているようでもある。
人びとのことを広く深く思いやる、すぐれた人格者の行いは、
長い年月をかけて見定めて、はじめてそれと知られるもの。
名誉も報酬ももとめない、まことにおくゆかしいその行いは、
いつか必ず、見るもたしかなあかしを、地上にしるし、
のちの世の人びとにあまねく恵みをほどこすもの。
本書の全体を貫く言葉が最初のページに記されている。
なんともおごそかな、背筋が伸びるような。
翻訳書であるがその難は少しも感じられず、
語りが静かに染み渡っていくような本文だ。
1913年にフランスのプロヴァンス地方、
なみの旅人なら足も踏み入れぬような山奥に、
若い足にまかせてつき進んでいた「わたし」が、
木を植える男、エルゼアール・ブフィエに出会い、
それから1947年に彼が亡くなるまでのことが語られている。
絵は、丹念なスケッチに印象的な一部に彩色が施されている。
最初は、旅人の荷物がわずかに朱色で、次は強風に煽られる旅人のマント。
次は、旅人が出会った羊飼いの男。その羊の背の茶色と犬の赤い舌。
基本が線画でそれを重ねて描いていくだけに、
淡い色がとても印象的に見える。
この羊飼いの男の家の穏やかさと周りの村々の喧騒とした様子が対比して描かれる。
これは、どんなに違うのか絵だけでもわかるのだ。
羊飼いのもてなしに心が休まり、しばらく滞在していく旅人。
羊飼いの様子を見守っていると、彼は、カシワの木を植えていく。
「あなたの土地ですか?」と聞くと、「いいや、ちがう」と、かれはこたえた。
「だれのものだか知らないが、そんなことはどうでもいいさ」と、
ただただかれは、ていねいに、100粒のどんぐりを植え込んでいった。
旅人は、この行為に関心を持ち、男から話を聞いてみる。
今まで植えた木のこと、そして、家族のこと。
その男、エルゼアール・ブフィエの抱えている過去の家族エピソードはあまりに重かった。
そこで彼は、世間から身をひいて、まったくの孤独の世界にこもり、
羊と犬を伴侶にしながら、ゆっくり歩む人生に、ささやかな喜びを見出した。
そして、ただのんびりとすごすよりも、なにかためになる仕事をしたいと考え、
木のない死んだも同然となってしまっている土地に、
せめてよき伴侶を持たせなければと生命の種を植えることにしたのだった。
ここで旅人は一度ブフィエのもとを離れるが、
その後、その土地がどうなっていくのかを見守っていく役割を果たすことになるのだ。
戦争という、とほうもない破壊をもたらす人間が、
ほかの場所ではこんなにも、神のみわざにもひとしい偉業をなしとげることができるとは。
最初は、色をほとんど持たなかったページがどんどん明るくなっていく。
第一次世界大戦を乗り越えて彼が生きていることを知った旅人は、
1920年以来、1年とおかずエルゼアール・ブフィエを訪ね続ける。
ときに、むなしさを感じたこともあったことを、私は知らなかった。
どんな大成功のかげにも、逆境にうちかつ苦労があり、
どんなに激しい情熱をかたむけようと、勝利を確実にするためにはときに、
絶望とたたかわなくてはならぬことを。
良い時ばかりでなく苦難があったことも聞き、その思いに寄りそうのである。
最後に1913年から1947年への村の変貌が描かれている。
息を飲むような大きな差である。
これが一人の男の活動によってもたらされたことなのだ。
そして、最後のページの静かな絵もまた印象的だ。
文章も読み応えがあるが、絵も深く深く味わいがあり、
エルゼアール・ブフィエ氏に思いを馳せるにふさわしい1冊である。
紙の本
戦争よりなによりも、木を植えよう
2023/09/14 10:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
孤独な男が、ひたすら種を植え続けた結果がどうなるかが描かれています。戦争より、豪華な生活より、大切なこと。自然と共生できなければ人類に未来はない、ということ。淡々と教えてくれます。
紙の本
出来事の背後の力
2004/06/23 05:51
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:13オミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
彼はいったい何者で何を考えているのか全くわからない。そんなんで小学3〜4年生向き絵本なのだろうか? いまどきの小学生を馬鹿にするなよ。
当時、川島きこさま(皇太子の弟の奥さん)が絶賛っていう帯があって、皇室に嫁ぐ人が薦める絵本とはどんなだろうと思って読んだ。
あたしはテレビ世代なので、想像力がなく短絡的思考だ。物事をやり遂げるには時間と手間がかかることが理解できない。実際、目には見えないけど、人一人の気持ちを理解することはたやすい。しかし、出来事の気持ち(森羅万象の動きや多数の人の動向)を見抜くのは難しい。木を植えた男は出来事の気持ちをしっかりと押さえている。だって、一人で森や湖を最終的には作ってしまうのだから。まあ、普通は一人で出来るはずがないけどね。あーこういう考え方が想像力がなく短絡的思考と言います。だって、やりようによっては出来るかもしれないじゃないか?
男が作った森には動物や人が戻ってくる。誰のどんな努力で森が再生されたのかを誰も知らない。当たり前に存在しているものの裏に多大なる意志の力があることを人は忘れてはならない。いや想像しなければならないということをこの絵本は説いている。そうするとばかげた50分もののテレビドラマも、くそ真面目に考えて手間ひまかけてやっているんだなあと思ってしまいます。
こんな奥の深い絵本がもっと沢山でてくればいいのにと思います。