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紙の本
不遇な少女のサクセス・ストーリー後編。小さい竜の魅力がいっぱい。
2005/09/29 10:42
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作「竜の歌」に続き、不遇な境遇からやっと脱け出した少女が今度は新しい環境でも差別、偏見、嫉妬のなかで苦労し、確固たる自信を手に入れるまでを描きます。前作から続く、ほんの数日間のできごとです。やっと新しい環境に移ったことで良くなるかと思いきや、そこにはそこの苦労が待っていた・・・。ちょっと1巻から2巻への展開「一巻での問題解決策が次の問題を生む」に対比できる構成には、作者の全体構想のようなものを感じたりもします。お話の運びを楽しめば、それは読者には見えなくてよいことでもありますが。
SF的な設定で作られた竜の世界がどう変わっていくか、の本編の流れからは少し離れ、この世界の庶民の作る中世ヨーロッパ徒弟制度のような世界が細かく描かれています。音楽の工房「竪琴師の工舎」が舞台なので、楽器の作成、発声練習の風景なども楽しめる要素となっています。
特定の人間と結びついて戦う竜が庶民には畏怖の対象であるのに対し、小さい野性竜、火蜥蜴は子供たちが関心を持つ程度のものでしかなかった。でも、この「小さい竜」を飼いならすことができるなら・・・。偶然とはいえ沢山の火蜥蜴を飼いならしてしまった主人公は嫉妬のまなざしの中に飛び込んでしまいます。この動物が権力者の道具にもなる、とお話が発展するあたりは、本編同様、ファンタジーとはいえ政治的な「面白い」発想もみえかくれします。大きな竜の登場は少ないのが残念かもしれませんが、合唱に唱和する火蜥蜴のシーンなど、小さい竜たちの魅力がいっぱいです。
いじめられる主人公ですが、火蜥蜴の世話を手伝ってくれる一寸知能の遅れた少年、次の6巻では主人公となるこまっしゃくれた少年が脇役として登場、竜や賑やかな火蜥蜴と共にお話を楽しく、時には微笑ましくしてくれます。