紙の本
自分自身を見直す万人必携の書!
2016/05/11 08:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『影の現象学』という何やら難しそうな題名がついていますが、題名通り「影」について語った作品です。影は誰にでもあるものですが、日頃はなかなか意識することはありません。しかし、「影」は自分自身であり、自分自身の投影でもあるわけです。こう考えると、「影」とはもう一人の自分自身、すなわち意識下にある自分と考えてもいいかもしれません。本書は、「影」を各人の意識下にある自分自身であるととらえ、自我について改めて再考させてくれる良書だと言えます。発行は1987年とかなり古いのですが、中身は全く古さを感じさせないどころか、新しい視点を私たち読者に与えてくれるものとなっています。
紙の本
ドッペルゲンガーとはなんぞや
2021/11/22 21:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
心理学をめぐる影の問題を扱った、
長く読まれている一冊です。
二重人格の問題は、意外と身近な
主題なのかもしれないと思いました。
遠藤周作が本書を名著だと
言い切っている解説も、読みどころです。
紙の本
文字通り『影』についての解説書
2019/10/13 10:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『影』と言えば、光が当たってその光と逆位置に出来る物理的な影もあれば、自分の投影という意味での『陰』を意味する象徴的な内容まで広く捉えられると思います。本書はそれらを盛り込んで解説されています。
ただ内容としてはかなり哲学的或いは心理学的な側面からアプローチされているので、物理的な影に関する内容はほぼありません。私には一部かなり難解な箇所が散見されましたが、全体的にはある程度理解出来たと思います。
それにしても心理学でよく出てくる人格に関する症状は、毎回何となくサスペンスチックに感じてしまいます・・。
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これ現象学ではないね
間違って買った
ユング派だって
夢分析はしてみたい
テキトーなこと言いますよ
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自分の心の中の影を感じたら読もう。人間について深く示唆に富んだ内容はユニークな著者の作品の中でも抜群に面白い。
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河合隼雄先生が、ユングの提唱した「影」の概念について、説明や先生の考えを述べられている本です。かなり分かりやすいと言われていますが、私はピンとこないところもあったかな。
多分、時間が経ったら分かってくることなのでしょう。いっぺんに全部分かろうとしないで読むことが大切かもしれません。
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無限の量の水(=普遍的影)から自分の掌に合った一すくいの水(=個人的影)をすくい取ること(=影の自覚)。
科学的アプローチでない為かえって明確でない点もあるだろうが、多様な引用とともに進められる章展開によりページをめくる労を微塵も感じなかった。
解説に遠藤周作。
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影はすべての人間にあり、ときに大きく、ときに小さく濃淡の度合を変化させながら付き従ってくる。それは、「もう1人の私」ともいうべき意識下の自分と見ることができる。影である無意識は、しばしば意識を裏切る。自我の意図する方向とは逆に作用し、自我との厳しい対決をせまる。心の影の自覚は、自分自身にとってのみならず、人間関係の上でもきわめて重要であり、国際交流の激しくなってきた今日においてはますます必要である。
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ユング心理学の立場から、さまざまな症例、物語からの引用を通して人間の無意識と関わる「影」なるものの現象を明らかにしていく。情報量・水準とも一般向けの感があり、読み物として楽しむ向きが強い。個人的には「影の逆説」にある「道化」が分析される箇所には最も感銘を受けた。本書をきっかけに、参考文献にあたって勉強するとよさそうだ。
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私が手元にあるのは1976年に思索社から出版されたものだが、今では講談社学術文庫で手に入る。数多い河合の著書の中でも代表的なものの一つだろう。ユングの 「影」の概念を中心にしてユング心理学の世界が語られ、「影」という視点からのユング心理学へのよき案内ともなっている。
自我は、まとまりのある統一体として自らを把握している。しかし、まとまりをもつためには、それと相容れない傾向は抑圧される。その生きられなかった半面が、その人の影である。ただ、影の概念は多義的であり、狭義には、夢に現れてくる人物像で、夢を見た人と同性のものを影、異性のものをアニマ(男性の夢の中の女性像)、アニムス(女性の夢の中の男性像)と区別することもある。
影は、もちろんすべての人間が背負い、その大きさや濃淡、影響力を変化されながら人生の歩みに付き添ってくる。それは、しばしば意識を裏切り、自我の意図とは逆の方向に作用する。自分の影につき動かされて行動し、自らの破滅を防ぎきれないことすらありうる。
ときに影は、個人だけではなく、人間関係や集団の動向にとってもきわめて大きな力をもつ。 個人に影が存在するように、人々が集団をなし、共通の理想や共通の感情によってまとまるとき、そのような自覚的な共同幻想からはみ出す部分は影となるのである。 集団の影を背負う人は、予言者、詩人、神経症、犯罪者になるか、あるいは一挙に影の反逆に成功して独裁者になるか、何らかの異常性を強いられるという。誰が選ばれるにせよ、そこには運命としか呼びようのない抗しがたい力が働く。
集団の影が、その集団自身に反逆するだけならまだしも、その巨大な影を外部に投影して破壊的な行動をとるとき、どんな悲劇が生まれるか。しかし、現実には、そのような集団の抑圧された破壊的なエネルギーが、悲惨な結果を積み重ねてきたのが、現実の歴史だろう。ユングは、たとえばナチスの動きをキリスト文明の影の顕現と見ていたという。私は最近、集団にとっての影というテーマにとくに強い関心 をもっている。
影は、自我に受け入れられなかったものであり、元来は悪と同義ではない。しかし、 創造性の次元が深くなるにつれて、それに相応して影も深くなり、普遍的な影に接近すると、悪の様相をおびることもある。自己実現の要請は必然的に影の介入をもたらし、それは社会的な一般通念や規範と反するという意味で、悪といわれるものに近接するのである。その時に、社会的通念に従って片方を抑圧しきるのでもなく、 また、影の力を一方的に噴出せしめるのでもない。あくまでも両者を否定することなく、そこに調和が到るのを「待つ」ことが大切だという。
影の得体の知れない奥深さ、不思議さと豊かさ、そして恐ろしさ。この本からは影のそうした多様な姿が伝わってくる。ただ単に抑圧されたものを解放すれば覚りにいたるというほど、ことは生易しくはないのだろう。 神話や説話、文学作品、河合が接した事例や、報告された夢などの具体例に触れながら、ユングの元型論をベースに「影」をめぐる考察が豊かに展開される。影の創造性、善と悪の関係、影の存在の無限の広がりが示唆されて、私たちの心の深層の不思議さを強く印象づける本である。
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課題のついでで購入したものの大当たり。
ペルソナ4について考えるのにとてもお世話になりました。
『影(シャドウ)』『道化』『愚者の祭典』『トリックスター』他いろいろ。
ティンときたら是非。
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河合先生は文章が上手なので引き込まれます。
ユング派云々とか、そういうのは置いておいて、読み物として面白かった。
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大学時代、目からウロコが落ちまくった本。
今でもよく読み返します。
私の人間観の基礎を作った、生涯の書。
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ものごとには二面性(多面性)があり、そのバランスで成り立っているんだと改めて気づかされた。今までは漠然とは思ってたけど。とはいえ、この本はとにかく難しい。何回か読まないと、本当の意味で理解できないかも。
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影について、夢とか中世のピエロとかの例を出しつつ解説してあった本のはず。永遠の少年は誰かに影を押し付ける、みたいな文があって、確かになぁと納得した記憶がある。