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紙の本
ファンタジーの最高傑作の一つというが、納得できる
2005/11/29 20:17
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファンタジーは魔法と剣の物語であるはずだ。この作品にも魔法や魔物や天馬も出てはくるが、剣と戦争と冒険が主である。いろいろな人物が登場し、主人公、ヒーロー、ヒロインが誰かよくわからない。たんなる剣士、騎士であり、剣と度胸による冒険家でしかない主人公達に対し、敵役の魔法使いである、この空想世界の覇王を目指す魔女国大王の方が、部下の武将達の性格や能力を良く把握し、適材適所に配置し使いこなす能力を示す。また、その大王の部下に鞍替えした、裏切りを繰り返すもう一人の敵役の性格は、主人公達の騎士的に単純な性格に対し、鬱屈した複雑なものであり、勝つ心底に純真なものも持っているというように、複雑である。個性の書き別けられている武将達を含め、敵役の方が魅力的である。魅力的な敵役を創造できることは、傑作の一つの条件であろう。またファンタジーでは、想像上の世界をいかに現実的に思わせられるか、細部の工夫が大切である。地理や風物を詳細に描写することで、現実味を醸し出している。風景や風物に対する、優雅で華麗な描写が、この物語のヨーロッパ中世風の雰囲気を表している。原英文が擬古文であるということだが、それにあわせて日本語訳も擬古文的になるように工夫してある。この物語に適切な文体である。リン・カーターの「ファンタジーの歴史」に、これまでのファンタジーの最高傑作の一つとあったが、納得できる。