「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
紙の本
「空気」の研究 (文春文庫)
著者 山本 七平 (著)
現代の日本では“空気”は絶対権威のような力をふるっている。論理や主張を超えて人々を拘束するこの怪物の正体を解明し、日本人に独特の伝統的発想と心的秩序を探る。(日下公人)【...
「空気」の研究 (文春文庫)
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
現代の日本では“空気”は絶対権威のような力をふるっている。論理や主張を超えて人々を拘束するこの怪物の正体を解明し、日本人に独特の伝統的発想と心的秩序を探る。(日下公人)【商品解説】
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
書店員レビュー
KYという言葉ができ...
ジュンク堂書店新潟店さん
KYという言葉ができるはるか以前、1977年に単行本がでた元祖(?)「空気」本です。
山本七平という巨人の現代日本に対する考察に触れることができる本としてお勧めします。
最近ではKY本や、逆に空気を読まないことを進める本
が数多く出版されてます。この山本七平の「空気」本は
空気を読むこと(空気を読む現代日本社会の体質)に批判的な
立場から、戦時中の無謀な作戦と「空気」の関係などを例に
挙げ「空気」を研究しています。
やわらかい内容の本ではありませんが表題の「空気の研究」の章は
例が多く比較的読みやすいかと思います。この章だけでも
考えさせられる内容だと思います。
学術的な研究というには資料が偏ったものだと思いますのでご注意ください。
文庫担当 鴻
紙の本
KYと非難するわが国に危うさ
2008/03/03 20:58
19人中、19人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アラン - この投稿者のレビュー一覧を見る
初出1978年の本である。
日本は「空気と水の相互的呪縛から脱却できないで」いると言う。空気の例として、戦艦大和出撃の話をあげる。海軍のエリートたちは、理屈では無傷で沖縄に到達できないと知りながら、当時の軍の「空気」によって出撃させざるをえなくなった。敗戦を迎え、いずれ現実という名の「水」がさされるが、戦前は天皇が絶対者だったのが、戦後は平和憲法が絶対者になるという形で、結局何も変わらない結果になると言う。なぜこうなるのかというと、江戸時代は儒教的倫理体系が人々を律していたが、明治以後、西洋の合理的といわれる部分のみ輸入し、それ以外の部分は受け入れず、「西洋かぶれ」と忌避した。しかし西洋はキリスト教的伝統と合理的思想は一体だったので、合理的思想のみを分けて輸入するのは無理だった。かたや儒教的倫理体系も崩れ、非合理的な部分は「空気と水」という形に変わって社会を支配しているのだ。どうすれば脱却できるのか?著者は「あらゆる拘束を自らの意志で断ち切った「思考の自由」と、それに基づく模索だけである」という。
阿部謹也氏の「「世間」とは何か」で描かれているようなことを、数十年前に思想的に分析できていると感じた。
本書に書かれている“現代の実例”は、数十年前の出来事だが、今でも同じようなことをあげるのは容易で、枚挙にいとまないであろう。さらに、「KY」などと言って、「空気が読めない」ことを公然と非難する風潮に、危うさを感じるのは、私だけではあるまい。
私や、本HPをご覧の諸賢にできるとしては、世間の動きにとらわれず、幅広いジャンルの本を読み、自由に思索を深めるということだろうか。
紙の本
絶対的な権威「空気」
2011/06/11 22:24
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
「空気」と言っても、毎日呼吸している「空気」ではなく、「空気読め」とか言われたりする場合の「空気」についてである。
読むきっかけになったのは、東日本大震災による福島原発事故に関する東京電力の会見や関連報道でどうも一般の常識が通用しない、と感じられる事が多かったからだ。
当初、あくまで「メルトダウン」という言葉を使おうせず、事故を小さなものとして扱おうとしたり、原発賠償条約非加盟の理由の一つが「原発が安全でない、という印象を与えるから」というものがあった。
専門家集団が出した結論が論理的な判断による決断ではなく、論理を飛び越えた判断による結論になってしまっているのだ。
つまり「空気」による判断が働いたのだろう。
本書では「空気」による判断が働いた例として、「戦艦大和の沖縄出撃」や「公害問題」が使われており、時代を感じるが、それだけ昔から「空気」による判断、というものが存在していた、ということだ。
では、なぜ「空気」がその場(または時代)を支配してしまうのだろうか?
それは、自分達が相手にしているものの背後にいつしか「何か」を付加してしまい、それに自分達が支配されてしまうからである。
原発の話に当てはめてみると、「原発は安全だ」という事を強調するあまり、この言葉自体が「ご本尊」のようになってしまい、
これに支配されるようになったのだろう。
そして「原発は安全だ」という「ご本尊」を脅かすものについては、排斥していったのだと思われる。
「空気」による支配の特徴の一つに「空気」が雲散霧消した場合、第三者から見ると、なぜそんな熱心になっていたかがさっぱり分からない、という点がある。こういう点も非常によく似ている。
ところで、「空気」による支配を雲散霧消させる手段は「水を差す」事だ。
熱中している関係者達に冷や水を浴びせかけるような、冷静な一言の発言が、「空気」を消し去る力になるらしい。
ただ、この「水を差す」人は、周囲から仲間はずれにされやすい。
それを恐れて、何も言わないままの人を単純に責める事はできないだろう。
理想は「笑い」というオブラートでくるんで、チクッと刺すのが、いいのだろうが、そんな芸当のできる人が都合よくいたりするだろうか。
紙の本
和製ノストラダムスの予言書
2010/04/25 18:39
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:四十空 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「全体空気拘束主義」
「一絶対者、オール3 現教師神」
「宿命論的盲従」 「黙示録的支配」
など、言葉のセンスが実にキャッチーで、うまい。
ユーモアと現実凝視が渾然となって日本人(及び人間)のクセを描ききっている、稀有な好著です。
「というのは、「空気」に基づく行動が、まわりまわっていつしか自分の首をしめていき、その判断で動き回っているとどうにもならなくなることを、人は、否応なく実感せざるを得なくなってくるからである。」
日本は、外交で失敗して滅びるであろうということが既に書かれています。普天間問題はなるべくしてなった「空気」に基づく行動の帰結のようです。
和製ノストラダムス的予言が(政治のみならず、企業に関しても、教育に関しても)随所にあることに驚かされます。時代背景として、山本七平氏が危機感をもって本著を書かれた1977年は三木内閣、美濃部都知事の社会主義的政治下にして、公害問題などで左翼の論調が激しかった時期ゆえに、現在の日本と重なる予言する予兆が色濃く存在していたのでしょう。
紙の本
名著ー鋭い指摘
2017/09/18 18:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:新選組 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本的な「空気」の確かな存在を鋭く指摘した一冊。読み継がれるべきであろう古典的名著。ただ、抽象的概念の説明に用いられる時事的具体例は、その時代を生きた人でなければ理解が困難と思われる。
紙の本
社会学の研究書ではない
2017/03/10 04:00
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:AKHT - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を途中で読むことをやめた者ですが、レビューはできます。
本書はタイトルに「〜の研究」とありますが、社会学的調査に基づいた研究書ではなく、著者の個人的な主観を述べた物だと結論づけられます。なぜなら質的調査・量的調査のどちらも行なった形跡が無いからです。内容は「個人的な考察ノート」のレベルです。
従って、社会学的な知見を知りたいと思って読むと期待を大きく外しますので、注意!これは学術書ではなくエッセイの類と思わないととても読めません。いわば「社会学っぽいエッセイ」です。
本書の唯一の功績は「”空気”を日本社会を観る切り口として提案したこと」でしょう。これは社会学的考察の切り口として現代でも充分通用するものと思います。
ただし、「空気」を日本社会に特異なものとして捉えているところが残念です。本来であれば、程度の大小はあれど多くの文化にある「空気」というものから俯瞰して日本文化を見て、日本だけに見られる「著しく発達した”場”と”空気”の支配構造」を他文化と比較して分析考察するのが筋です。本書における著者の視点と洞察は私から見ると的外れで、偏った世界観で分析を始めてしまい、高度な論考に昇華するには至っていません。正直、目の付けどころは良かったものの、分析がとんちんかんです。原因は「適切な研究手法を持たずに、実地調査と他文化比較を行なわず、自分勝手な脳内考察に終始したこと」にあると推測します。
上記はあくまで私見ですが、そういう見方ができてしまう書であることを最後に付け加えておきます。少なくとも本書を日本人の心理を考えるための始めての書物とすることは絶対に薦めません。他の基礎的な心理学や社会学の本を読んでから本書をどうぞ。