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わが指揮艦スパロー号 (ハヤカワ文庫 NV 海の勇士/ボライソー・シリーズ)
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紙の本
若き海尉艦長の誕生。しかし上層部には国のために戦争をするもの、私欲のためにするものとが…
2002/03/30 15:07
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投稿者:うつほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホワイト・ヒルズ号で死闘の末、リベンジ号を手に入れてアンティグア島に凱旋したリチャードは、とうとう海尉艦長(コマンダー)として艦を指揮することになった。艦の名はスパロー号。船齢2年のまだ新しいスループ艦である。時は1778年4月。西インド諸島とカリブ海にいる英国海軍の本拠地であり、統轄の中軸であるイングリッシュ・ハーバーから物語は始まる。
毎回成長が楽しみなリチャード・ボライソー。もちろん今回も一皮剥けてくれる。士官として、どんな時にも冷静に余裕を持っていることを水兵たちに見せること。指揮官として、名誉よりも多くの男たちの命を預かっているという責任の重さ。それらをこれまでの航海で自覚し、身に付けたボライソー。今度はさらに、スパロー号にての艦長生活において広い視野に立ってものごとを見ることを学び取っている。部下の水兵に責任を持つ海尉ではなく、命を預かる一艦の艦長でもなく、上の人間達のこと、政治的なやり取り、戦争の大局、これらを自分を基準に見るのではなく、一歩引いて自分もひとつの部分として見る広い視野で。
また、スパロー号の部下たちとの間に育まれる信頼関係も忘れてはいけない。ボライソー艦長の言動に感嘆し、尊敬し、にやりとする彼らは生き生きとしている。前任の艦長が酷かったぶんその思いもひとしおではなかろうか。
物語の方も、ティロル副長とグレーブズとの過去や、士官候補生たちの力関係、美しい娘との出会いに、上層部の不穏な動き。やっぱり目が離せない。しかし中でも個人的に印象深かったのが、奇抜な格好で笑わせてくれたダルキース軍医の大活躍の1シーン。外見はかなりかっこよくないが、思わず「かっこいい!」と呟いてしまうことだろう。
<登場人物>
リチャード・ボライソー 前回のリベンジ号の拿捕の功績が認められて海尉艦長(コマンダー)に昇進。カフーンの戦隊にて十八門搭載スループ艦スパロー号をあずかる。
ジェスロー・ティロル 副長。長身で肩幅が広く、芯まで潮焼けしている。ひどく多い赤茶色の髪。アメリカ植民地で生まれ育った“現地入植者”。操船技術はかなりある。アメリカ沿岸の土地鑑もあるので頼りになる。
ヘクター・グレーブズ 二等海尉。ティロルとわけあって反目している。
マサイアス・バックル 航海長。背が低く、肩が張っていかつい体つき。しっかりした目つきで、髪はディックのと同じく黒い。艦内で一番年嵩。
ロバート・ダルキース 軍医。若いのにぜい肉たっぷりで、つるつるに禿げた頭に真っ赤なかつらをかぶっている。腕はよく、教養もユーモアもある。ピストルの名手。
ロック 主計長。威勢がよくて愛嬌のあるやせっぽち。
ヘイワード 士官候補生。ほっそりして、感じのいい顔立ち。スパロー号には就役以来乗っている。素晴らしい剣の使い手。
ビートン 士官候補生。丸顔のたくましい若者。その顔は色濃いそばかすの塊。
ティルビー 掌帆長。しまりのない巨体の持主。気象知識は正確無比。図体がでかく、不格好で、ぼってりした顔が飲み過ぎのために皺だらけ。
ユール 同掌砲長。ティルビーの友。イタチのように肌がなめらかで黒く、鋭くて残忍な目が絶えず動いている。
ジョン・モールビー フォーン号の海尉艦長。非常に細い男。ひどい猫背でなかったら上背は優に6フィートを越えていた。
サー・イーブリン・クリスティ 赤色艦隊海軍少将。バス勲爵士。リチャードに一段上の勉強をさせてみたり、と視野の広い上官。
ヘクター・フォーリー 陸軍大佐。寸分隙のない伊達男。