紙の本
嵐に翻弄される人間の運命
2022/11/10 07:24
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投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
嵐が人間の存在の小ささを思い出させる。船もろとも翻弄されるのを神や妖精たちが眺めているのがそう思わせるのかもしれない。島に流されていた王妃の存在感がとても大きい。
紙の本
一二年の歳月がもたらしたもの
2015/09/25 15:58
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミラノ大公プロスペローは、弟のアントーニオによりその地位を簒奪され、アントーニオを後見したナポリ王アロンゾーの顧問官ゴンザーロの慈悲によって、魔女シコラクスが住んでいた孤島に流されることとなった。その島で魔術を研ぎ澄まし、娘のミランダを育てながら復讐の機会を待ったプロスペローは、ついにその計画を実行する。
ナポリ王とその弟セバスチャン、ナポリ王子ファーディナンド、そしてナポリ大公アントーニオを乗せた船を難破させ、ファーディナンドは父親らと別に助けてミランダと出会わせ、アロンゾーらにはファーディナンドが死んだものと思い込ませる。
精霊エアリエルを使役して順調に計画を進めるプロスペローは、シコラクスの息子キャリバンらの妨害もあっさりと撥ね除け、ついにはその目的を果たすのだった。
最後の結末はどこまで計画通りだったのか、それがはっきりと分からない。ファーディナンドとミランダを恋仲にさせようというのは当初の計画だったはずだが、その目的が娘の幸せを望んでのことなのか、あるいはその子をナポリ王につけることで合法的にナポリ王国を簒奪するつもりだったのかで、解釈が変わってくる気がする。後者であれば、ナポリ王たちを殺した方が後腐れはなかったはずだ。
しかし実際はそうはしなかった。プロスペローは、かつての地位を取り戻すことでこれまでの艱難辛苦を受け入れ、復讐を放棄することを宣言する。その理由は何か。それは、最後のミランダの台詞から読み取れるような気がする。つまり、娘には人間の純なるもの、美しいものを初めて目にするものにして欲しかったのではなかろうか。そうだとすると、やはり最後の結末は、当初の計画通りということになろうか。
よく考えると、そもそも統治を放棄していたのだから、簒奪されても仕方なかったんじゃないかと思ったりしなくもない。
「絶園のテンペスト(彩崎廉 / 城平京)」の底本になっているらしいのだが、どういう風に換骨奪胎されているのかは未だはっきりと分からない。
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こちらは松岡訳です。
話の筋は変わらなくても、全体に流れる雰囲気はやっぱかなり変わるものなんだなあ。
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落ち着け、もう怖がることはない。御前の優しい心に言ってやれ、何事もなかったのだと。
ひきこもって精神の修行に打ち込んだ。世界の人々の理解を超える域に達した。
卑しい仕事も誇りを持てば耐えられる。ごく貧しい行いにもその先には豊かな実りがあるものだ。この卑しい労働も苦しくいとわしいものになったはずだ。
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やっぱり、シェイクスピアの書く恋人同士の愛のささやきには、うっとりしちゃいます。
プロスペローによる「赦し」に圧倒される一冊。ディズニーアニメ「ファイアボール」の中にも「プロスペロ」の名が出てきますよ。
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〜シェイクスピアの最後の作品は孤島の魔法使い〜
国を追われ孤島に漂着したミラノ公国の王が、魔法を使い、国を奪った者達に罰を与えるストーリー。
やはり外国の訳本なので、韻を踏んでいたり、洒落を効かせたりしているところに共感しにくいのは残念ですが、ファンタジーな世界観は十分に楽しめます。
シェイクスピア単独で書かれたものとしては最後の作品で、ラストシーンには引退する彼の想いが、主人公の口から語られます。
演劇に関わる人はもちろん、そうでない人も物語としても十分に面白いですよ。
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ひょんなことから手に取った本ですが、やはり何か惹き付けるものがあります。
シェイクスピアは初めてでしたが、さらっと読めました。
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(ネタばれ有)
「魔術は果て、罪は赦される」
アニメ「絶縁のテンペスト」がきっかけで読破。皆が幸せになる復讐劇との紹介通りの物語だった。解説にある「赦しと再生の物語」という言葉から、憎しみや恨みの感情をプラスにするエッセンスが何かを教わったように思う。
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「絶園のテンペスト」のファンなので、その影響で手を出しました。
しっかし...なかなか流れの掴みにくい本でした。
同じ「絶園のテンペスト」で引用された、「ハムレット」の方がまだ流れがつかみやすかったですね。
いや、面白くない訳ではないのですが、理解が進みにくかった印象です。
プロスペローやファーディナンドへの感情移入がなかなか難しかったですね。
そうそう、解説にて書かれている「プロスペローとシェイクスピア自身が重なる」という考え方は、言われてみて気づきました。
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ごめんなさい
絶園のテンペストながれで読みました
厨二です
400年前にかかれた脚本としてたのしめた
もと演劇部としては
読んでるだけで立ち位置とかイメージできるし
また、導入にわかりやすい説明ゼリフがあってまさに古典の脚本だね
ハムレット然り
身内ごろしとかが普通にストーリーの中にあってローマ帝国からすでにあるヨーロッパ的文化を感じるネェ、、、
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弟であるアントーニオに王座を奪われ娘のミランダと共に孤島に流されたミラノ公国の元君主プロスペロー。魔術を身につけナポリ王アロンゾーとアントーニオの乗る船を沈没させ自分の島に誘い込む。空気の精エアリアルの協力。ナポリ王の息子ファーディナントとミランダの恋。
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読みやすい訳のおかげで情景がすっと頭に入ってきた。よく読むと、プロスペローはキャリバンやエアリエルのことを「奴隷」と呼んでいることに気付く。他のシェイクスピア作品では召使は大勢いても奴隷はほとんど登場しないので少々違和感があった。イギリスが植民地時代に突入していくことを考えるとなんだか複雑な気持ちになった。
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ヘレン・ミレンの映画も見た、BBCのテレビ映画も見た。大学の教養の授業でも少し読んだ。でも、通しては読んでない。ということで「あらし」です。シェイクスピア単独で執筆された最後の作品ですね。
簡単に言っちゃえば、12年前にミラノを追われた元大公が、魔術で妖精を使って嵐を起こし、ミラノを簒奪した弟やナポリ王親子等の一行を島に難破させ、長年の恨みを晴らし、娘とナポリ王子とを結婚させ、ミラノ大公としてイタリアに戻っていくというお話です。まぁ、話としても極めて有名だし、元大公プロスペローを中心とした登場人物もすごく有名だし、今さらと思われるかもしれないけど、これが実に面白い。
プロスペローをどのように位置づけるかによって、色んな読み方ができます。赦しも物語としても読めるし、島の簒奪者としても読める。支配者としての面もあるし、狡猾な人物としても読める。人によって様々な読みが可能です。
舞台のエピローグ、プロスペローが魔法の杖を置く姿は、シェイクスピアが筆をおく姿と重なり、とても深い感動を覚えます。
痛めつけて恨みを晴らす劇だけど、誰も死なないし傷つかない。やっぱり「赦し」の劇なんだなぁ。
原書名:The Tempest
著者:ウィリアム・シェイクスピア(Shakespeare, William, 1564-1616、イングランド、劇作家)
訳者:松岡和子(1942-、中国・長春、翻訳家)
解説:河合祥一郎(1960-、福井県、英文学者)
年表:扇田昭彦(1940-、東京、演劇評論家)
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シェークスピア作。台詞のみなのに、情景が鮮やかに浮かぶのは、さすが。観客に問いかける最後の台詞も面白い。ちなみにこの本、息子の本棚にあったのだが、、、どこへ向かう気だ?息子よ。
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文字で読んでいるだけでは あまりこの作品の良さは分からないなぁ・・・ すごく浅い内容に感じてしまう。シェイクスピア最後の作品(単独では)らしいし、
もう戯曲家からは引退するということも暗示される部分があるらしいのですが・・・・う~む。