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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.5 7件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2000.6
  • 出版社: 文芸春秋
  • レーベル: 文春文庫
  • サイズ:16cm/318p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-16-730995-5
文庫

紙の本

チューリップ・バブル 人間を狂わせた花の物語 (文春文庫)

著者 マイク・ダッシュ (著),明石 三世 (訳)

チューリップ・バブル 人間を狂わせた花の物語 (文春文庫)

税込 880 8pt

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みんなのレビュー7件

みんなの評価4.5

評価内訳

  • 星 5 (5件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (2件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

興味深い

2017/01/06 03:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ももたろう - この投稿者のレビュー一覧を見る

「チューリップと名のつくものはいまやどんな物でも、たとえほんの数ヶ月前には堆肥のなかに投げ込まれていた球根でも、現金に換えることができた」
いよいよチューリップ・バブルの始まりだった。
天山山脈の中でトルコ人が見つけたであろうチューリップが、トルコの国に持っていかれ、オスマン帝国での宮廷や国々を飾った。
トルコの人々に最も人気のあった花のひとつであるチューリップがオランダに持って行かれ、そこからいかにして、投機の大賞となり、狂乱的なバブルとなったか。
数字をあげて語られる事実は興味深い。
ちなみに、それから数十年後、オランダではヒヤシンスのバブルが起きる。
それは、チューリップもヒヤシンスも美しいだけでなく、オランダ人の空想の世界を大きく刺激したからだ。
この本1冊に語られるのは時代と国を越えた壮大なロマンスである。

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紙の本

歴史は繰り返す

2002/04/27 15:33

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しょこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 カバーに描かれたチューリップは今では見ることの出来ない美しい花でした。しかし、この花の球根に豪邸が買えるほどの価格がつけられたのをご存知でしょうか。
 これは中世のオランダで起こった、チューリップ・バブルと呼ばれる現象を描いたノンフィクションです。
 中央アジア原産のチューリップはその美しさからオスマントルコの宮廷で愛され、ついでヨーロッパに上陸します。ものめずらしく、美しい花は、愛好家の中で高値で取引されました。その高値がいつのまにかありふれた品種のチューリップに波及し、庶民をまきこんだ投機熱へと発展していきます。
 まだ土の中で眠っている球根にさえ値がつけられ、転売される。転売につぐ転売で、利ざやを稼ぐものたち。しかし、その手にはまだ現金が握られていないのです。
 資源的にも恵まれていないオランダが、勤勉に働き得た裕福さの先にあったチューリップ・バブル。その姿は300年後の日本で起こった不動産の狂乱を思い起こさせます。
 人は歴史に学ぶことはないのでしょうか。不動産バブルの後遺症に悩む人たちにも一読の価値があります。
 また、バブルの元となった燃えるように美しいチューリップは、ウイルスの感染による病的な発現によるもので、現在は見ることが出来ません。この象徴的な事実を含め、チューリップという植物の歴史をたどる上でも、興味深い一冊です。

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紙の本

バルブのバブル

2000/10/02 08:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 オスマン・トルコの宮廷の奥深く「秘密の花園」で王たちにその容姿を愛でられた、パミール高原原産のチューリップが、その後17世紀前半のオランダで引き起こした一種の「バブル経済現象」を描いた本である。現在のオランダの名産品となっているチューリップが、かつてどのように「人間を狂わせた」のかを経済史の観点からとらえなおそうとしている。チューリップのような球根植物の花の変異については、昔から園芸家の間で大きな話題になっていた。
 本書では、レイデン大学植物園の創始者であるカロルス・クルシウスが16世紀にチューリップをオランダに持ちこんだ後、チューリップ投機を目的とする一群の「フロリスト」たちの動きを当時のオランダの社会情勢・経済状態を絡めて論じる。。珍奇なチューリップ品種の球根(バルブ)が平均的労働者の年収の数十倍もの破格の高値で取り引きされていたにもかかわらず、1637年2月のある日に瞬時にして市場が崩壊したのは文字どおり「バブル経済現象」にほかならないと著者は言う。
 いかに珍しい色と形をもつチューリップを造り出せたかが、フロリストたちにとって巨万の富かそれとも零落の極みかの運命を分けた。しかし、当時のオランダで流行したチューリップの品種−現在ではもはや花卉市場に
出まわっておらず、わずかにオランダ黄金時代の静物画を通してのみその面影を知ることのできる、花弁に縞の入った品種など−は、植物病理学的に見れば、単なるモザイク病ウィルスの病徴に過ぎなかったというのは実に皮肉だった。
 チューリップ・バブルの崩壊後も、ヒアシンス,グラジオラス,ダリアなどで小規模な「バブル」が再発したと述べられている。植物をめぐる、これらの社会現象を総括して、著者は「チューリップ熱に関していえば、すなわちそれは、絶滅することのないウィルスだともいえる。それは、美に対する憧れと金に対する欲望で培養される人間特有の病気で、しばしば発生し、蔓延する。」(p.308)と要約する。もっとも新しい「植物バブル経済現象」は、1980年代に中国で発生した「ジュージラン・バブル」だそうだ。
 花をめぐる当時の人間たちの狂奔ぶりをただ笑ってばかりはいられないのは、現代社会がそういうバブル経済現象と無縁ではないからだ。経済史・花卉農業・世界史などさまざまなテーマを含んだ興味深い本である。

【目次】
はじめに 5
プロローグ 19
第1章: 天山山脈の谷 23
第2章: 「至福の館」の奥深く 33
第3章: 東方からの旅人 55
第4章: 生涯を植物に捧げて 69
第5章: レイデン大学からの誘い 83
第6章: 貴婦人の胸飾り 105
第7章: 鏡の中のチューリップ 121
第8章: フロリスト 145
第9章: チューリップ狂時代 157
第10章:「金の葡萄亭」での取引 183
第11章:ウァウター・ウィンケルの孤児たち 203
第12章:バブル崩壊 225
第13章:娼婦の女神フローラ 243
第14章:チューリップ王の宮廷で 275
第15章:遅咲きの花 293
訳者あとがき 31

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2013/03/10 06:11

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2017/08/16 20:20

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2021/11/06 18:56

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2024/03/02 00:34

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