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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.11
- 出版社: 読書工房
- サイズ:21cm/239p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-902666-22-9
紙の本
見えない・見えにくい人も「読める」図書館
見えない・見えにくい利用者に、公共図書館はどのようなサービスを提供しているのかを紹介するとともに、公共図書館で働く視覚障害職員の会、通称「なごや会」がこれまで積み上げてき...
見えない・見えにくい人も「読める」図書館
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商品説明
見えない・見えにくい利用者に、公共図書館はどのようなサービスを提供しているのかを紹介するとともに、公共図書館で働く視覚障害職員の会、通称「なごや会」がこれまで積み上げてきた活動とその歴史を振り返る。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
地味ながら資料的価値の高い図書
2009/12/29 22:33
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、図書館の視覚障害者サービスの現状と歴史に関するもので、
公共図書館で働く視覚障害職員の会(通称・なごや会)が
結成されて20年を記念してまとめられた。
なごや会は、1989年9月、全国の公共図書館で働いている
視覚障害者が10人になったことをきっかけに結成され、現在に至る。
2009年9月現在、21人の視覚障害者が全国の17の公共図書館で働いている。
本書は次のように構成されている。
===
第1章 図書館で受けられるいろいろなサービス
1-1 公共図書館の視覚障害者サービスとは
1-2 公共図書館での視覚障害者サービスのいろいろ
第2章 もっと視覚障害のことを知りたい!
2-1-1 視覚障害者の見え方のいろいろ
2-1-2 見え方以外の特徴
2-1-3 全盲の人への配慮―館内での誘導の仕方や必要な配慮など
2-1-4 弱視の人への配慮―館内での誘導の仕方や必要な配慮など
2-1-5 盲ろう者への配慮―館内での誘導の仕方や必要な配慮など
2-1-6 盲導犬ユーザーへの配慮―館内での誘導の仕方や必要な配慮など
2-2-1 視覚障害者サービスと施設整備―見えない人のアクセスのために
2-2-2 視覚障害者サービスと施設整備―見えにくい人のアクセスのために
第3章 図書館の視覚障害者サービスと資料製作
3-1 なぜ資料を製作するのか
3-2 著作権の話
3-3 録音図書を製作する
3-4 点字図書を製作する
3-5 拡大写本を製作する
3-6 点訳絵本、さわる絵本、布の絵本を製作する
3-7 資料作りを支える図書館協力者
3-8 視覚障害者用資料を作るときに役立つ機器やソフトウエア
第4章 ITの活用で進化する視覚障害者サービス
4-1 公共図書館と点字図書館のネットワーク
4-2 「点字図書・録音図書全国総合目録」
4-3 見えない・見えにくい人が自分で読書するための方法―機器やソフトウェア
4-4 見えにくさをサポートする機器―拡大読書器と拡大機能のある機器
4-5-1 利用者の可能性を広げるIT講習 盲ろう者への支援も―大阪府立中央図書館の事例
4-5-2 利用者の可能性を広げるIT講習 パソコンだけでなく点字指導も―日野市立中央図書館の事例
資料編
1 公共図書館における視覚障害者サービスのあゆみ
公共図書館における視覚障害者サービスの発展のあゆみ
視読協運動と公共図書館での対面朗読のはじまり
都立中央図書館の視覚障害者サービスのあゆみとその後の全国への広がり
視覚障害者用資料を出版する専門出版社の登場
2 公共図書館で働く視覚障害職員
なごや会の発足と20年のあゆみ
視覚障害職員の果たしてきた役割
公共図書館で働く視覚障害者の仕事のいろいろ
3 公共図書館における視覚障害者サービスに関する年表
4 障害者の情報利用の機会確保に関する著作権法改正内容(2010年1月施行)
なごや会へのメッセージ(岩井和彦、望月 優、松岡 要)
===
そのほかにコラムでは、
「公共図書館で働く視覚障害者たち」として
5名の視覚障害職員がそれぞれの同僚により紹介されている。
また、盲ろうの利用者からのメッセージもある。
個性的なライターさんが取材して書いたタイプの本ではなく、
また、全体として個々の章の著者名を全面に立てる編集ではない。
(文末や巻末には書かれている。)
そのため、なんとなく地味な印象というのか、
淡々とした印象で全体が進んでいく。
評者自身はどちらかというと、出てくる人の個性が立っている
熱いタイプのものを好む傾向があるため、
最初は、本全体に取り付く島がないような印象を受けてしまった。
もちろん、じっくり読んでいくと、
個々の記事を書いた人の思いや情熱が
静かに込められているのがわかるのだが。
本書は、読み物として通読するだけでなく、
視覚障害者への支援の根本的なことや
資料製作やITの活用などの視覚障害者サービスの今を
辞書的に引くという使い方もできる。
なごや会の歴史は、そのまま視覚障害者図書館職員の歴史であり、
また、公共図書館における視覚障害者サービスの歴史とも寄りそっている。
現在のサービスについてまとめた本編だけではなく、資料編の価値も見逃せない。
2010年1月1日に改正著作権法が施行され、
図書館の障害者サービスはまた新たな局面を迎える。
歴史を振り返りつつ今後に注目したい。