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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2011.12
- 出版社: 東洋書林
- サイズ:21cm/570,18p 図版32p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-88721-786-7
- 国内送料無料
紙の本
ボクシングの文化史
著者 カシア・ボディ (著),稲垣 正浩 (監訳),松浪 稔 (訳),月嶋 紘之 (訳)
オデュッセウス、エペイオス、ブロートン、アリ、タイソン…。観衆の熱狂に翻弄され、肉体と魂を犠牲にしても、過酷な競技場へと上がり続ける男たち。本能と理性のはざまに舞う、美し...
ボクシングの文化史
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商品説明
オデュッセウス、エペイオス、ブロートン、アリ、タイソン…。観衆の熱狂に翻弄され、肉体と魂を犠牲にしても、過酷な競技場へと上がり続ける男たち。本能と理性のはざまに舞う、美しき半獣神の系譜を読み解く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
カシア・ボディ
- 略歴
- 〈カシア・ボディ〉ケンブリッジ大学Ph.D.。ロンドン大学、ダンディー大学、ヨーク大学でメディア論、文化論、現代英米文学の教鞭を執る。『デイリー・テレグラフ』紙への寄稿など著述家としても活動。
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紙の本
野蛮?それとも高貴なスポーツ?絶えずイメージ化されるボクシングを問う一冊。
2012/02/05 12:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:書痴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代ギリシアから現代まで、ボクシングが、社会や芸術に与えた影響を、文化史の視点から解説した本書、読みでがありました。
ボクシングといえば、その試合内容やボクサー自身(個性や闘い方など)に注目が集まりがちですが、本書は、絵画、彫刻、文学、写真、TV、映画などのメディアを通して、ボクシングやボクサーが、クリエイターや観衆に、時代ごとにどのようなイメージを与えてきたか、特に英米の人種問題を提起し論じている点が特徴です。
論拠として、ボクシングを題材にした小説や映画を、数多く引用しているので、一種のガイドブックとしても読めます。
19世紀のイギリスでは、紳士階級やパブリックスクールにおいて、剣などの武器を手にして闘うのは、軟弱な外国人と思われ、ボクシングを尊重、奨励する気風があったことを理解すると、シャーロック・ホームズがボクシングをたしなんでいた理由にも肯けます。ギリシア・ローマの健全な肉体美の象徴として、表紙カバーの彫像のモデルとなったボクサーが、ユダヤ人だったという事実は、その後の人種問題や階級対立を想起させます。
20世紀から現代までのアメリカでは、白人と黒人の人種対立に、ボクシングも利用され、政治思想やイデオロギーを代弁しているボクサーとして、モハメッド・アリが出現。黒人チャンピオンに対して、白人が長い事望んだ『白人の期待の星』(白人チャンピオンの出現)は、人種対立の皮肉ともとれます。
豊富な図版とあわせて、ボクシングが持つざまなイメージの変遷を、興味深く読みましたが、ただひとつ不満に感じたことは、対象が英米に限定され、それ以外の日本を含めた世界に関しては、一切触れられていないことです。例えば、中国の義和団の乱(英訳はボクサー・レべりオン)や、日本のコミックなどにも言及していれば、より面白く読めたのではないかと思います。