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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.8
- 出版社: 論創社
- サイズ:19cm/315p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-8460-1043-0
紙の本
古典絵画の巨匠たち
『白ひげの男』を二日に一度、三〇年以上も美術史博物館にやってきては鑑賞する音楽批評家、レーガー。その男が明日もまたここで会おうと作家アッツバッハーに提案した。監視員イルジ...
古典絵画の巨匠たち
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商品説明
『白ひげの男』を二日に一度、三〇年以上も美術史博物館にやってきては鑑賞する音楽批評家、レーガー。その男が明日もまたここで会おうと作家アッツバッハーに提案した。監視員イルジーグラーをあわせた三人の語りは、現在に複数の過去が呼び込まれ、時間軸が輻輳する。作家、ベルンハルトの真骨頂。【「BOOK」データベースの商品解説】
ウイーンの美術史博物館の絵画「白ひげの男」を2日に1度、30年以上も鑑賞する音楽批評家、レーガー。彼が明日もまたここで会おう、と作家アッツバッハーに提案した。時間軸が輻輳する、監視員をあわせた3人の語り。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
トーマス・ベルンハルト
- 略歴
- 〈トーマス・ベルンハルト〉1931〜89年。オーストリアを代表する作家・劇作家。小説に「ふちなし帽」「消去」、戯曲に「ヘルデンプラッツ」など。
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紙の本
文体=構造
2011/01/06 09:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
オーストリアを代表する大作家の1985年の作品。ウィーンの美術史博物館、テントレットの「白ひげの男」が展示されたボルドーネの間の天鵞絨張りの長椅子に二日に一度午前中すべて使って陣取る音楽批評家のレーガーと、彼を敬愛する監視員のイルジーグラー、そして語り手の「私」ことアッツバッハーの三人の会話を中心に展開する「芸術」をめぐる小説。
読みながら、その何と言うことはないモチーフを、反復と変奏によって享受者が思いもよらぬところまで連れて行ってしまうかのようなスタイルがベートーベンみたいだ、とぼんやり思ったところで作品内でベートーベンに関する言及が出て来たので驚いた。
ベルンハルトの作品は文体がイコール構造と言えるようなものなんだが、一見破格と思わせてよく見るととても端正であるというのが不思議だ。それは、延々と続く告発と罵倒が、読者を次第に大きな共感と締念へと導いていくのと少し似てる。まるでおおがかりないたずらのような結末もふくめ、まったく素晴らしい。代表作とされる自伝五部作がまだ未訳なのが非常に残念だ。