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- カテゴリ:小学生 一般
- 発売日:2011/07/13
- 出版社: 産経新聞出版
- サイズ:22×31cm/31p
- 利用対象:小学生 一般
- ISBN:978-4-8191-1136-2
紙の本
つなみ おばあちゃんの紙しばい
おじいさんから明治にあった津波の話を聞いたよっちゃん。ある日、ガタガタと大きな地震がきて…。昭和三陸津波を体験し、長年、津波の恐ろしさを子供たちに語り継いできた著者の紙し...
つなみ おばあちゃんの紙しばい
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商品説明
おじいさんから明治にあった津波の話を聞いたよっちゃん。ある日、ガタガタと大きな地震がきて…。昭和三陸津波を体験し、長年、津波の恐ろしさを子供たちに語り継いできた著者の紙しばいを絵本化。「海嘯鎮魂の詩」も収録。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
田畑 ヨシ
- 略歴
- 〈田畑ヨシ〉1925年生まれ。昭和三陸大津波を岩手県田老町で被災。その体験をもとに紙しばい「つなみ」を作り、読み聞かせてきた。2006年、長年の活動に対し「海岸功労者」として表彰される。
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紙の本
悲しみを忘れないために
2011/10/11 08:27
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日TVで岩手県宮古市の田老地区を襲った3月11日の津波の様子が放映されていました。
この地区は過去にも何度も津波に襲われてきた地域です。だから、津波への備えは「万里の長城」とまで称された防潮堤を築くほど万全なものでした。あの3月11日までは。
あの日その巨大な防潮堤を津波があっさりと乗り越えます。その映像が残っています。からくも生き残った人たちが口々に自分たちの安全に対する心の緩みがいけなかったのだと重い口を開きます。「津波安全宣言」などしなければよかったという人もいます。
すべてのことを自分たちのせいにする姿に胸をうたれます。
あなたたちを誰が責めるでしょう。田老地区の人々は過去の教訓を生かしてしっかりと防御してきたのですから。海を責めても仕方ありません。自然はいつだって時に怒るものなのですから。あれだけの防潮堤を作れば誰もが安心します。
安心に限りがないこと、それが今回の東日本大震災の教訓だといえます。
この絵本は田老地区に住む田畑ヨシさんが描いた紙しばいがもとになっています。
田畑さんは大正14年生まれ。昭和8年の昭和三陸大津波でお母さんを亡くしています。田畑さんは8歳でした。
その時の記憶をもとにして描かれたのがこの紙しばい。当時の田畑さんと思われる小さな女の子が赤い着物を着て描かれています。
それはけっして上手な絵とはいえません。それでも強い力を感じます。
津波が襲ってきた次の日の朝の、田老の様子が描かれています。陸に打ち上げられた舟やむしろを被せられた亡くなった人など当時の悲惨な状況をひしひしと感じます。
その絵のト書きに「田老はもういやだ。海のないところに行きたい」という小さな女の子の思いが綴られています。津波に襲われた人たちの正直な気持ちでしょう。先のTV番組でも同じようなことを話す人がいました。
田畑さんはそれでも実際には田老地区を離れませんでした。
この紙しばいを創作し、昭和54年から30年以上も若い人たちに津波の怖さを教えるボランティア活動を行ってきました。
そんな田畑さんですが、今回の東日本大震災でまた津波に襲われました。家が流されたといいます。
もちろん田畑さんは過去の教訓を生かして避難し、助かりました。
そして、今、またこの紙しばいの読み聞かせを始めました。
なんと田畑さんは強いのでしょうか。なんと田老の人々はくじけない人たちでしょうか。
自然と暮らすということは、自然は時に牙をむくほどに怒るということを忘れないことです。
田畑さんの紙しばいは、田老の人々の活動は、そのことを教えてくれます。