紙の本
代数学のおもしろみを知りたい方におすすめ
2019/02/24 21:59
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:類太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
数学ガールというシリーズにはポアンカレ予想編が出てから興味を持った.
まずシリーズに共通して言えることは, 初学者の誰もが考えそうな理論それ自体についての動機や意義に関する疑問およびそれらに対する答えを明確にしていること, 初学者が陥りそうな誤りに関することをわざと台詞に入れていること, 主人公とその後輩の純愛物語としても楽しめるということである.
代数学について知りたいのなら, その方面の入門書を読むことをおすすめする. 本書では, 入門書や専門書では省略されがちな細かい説明がある分, 群や線型空間の具体例は少ない. 任意の線型空間Vにおいて定数倍の演算を忘却するとVは群になる. また任意の体Kにおいて積を忘却するとKは和について群となり, またKにおいて0でない要素全体の集合は積について群となる. 本書では線型空間を, アーベル群であり和と定数倍の演算に関して閉じていて結合法則や分配法則を満たす集合として(つまり線型空間の公理系で)定義しているが, その定義が書かれた198ページ目より前にアーベル群という言葉が出るのは96ページ目から99ページ目であり, 198ページ目まで群の例は実際にあみだくじの成す群しかないのである. そこは群をはじめて学ぶ人にはきついであろう. また背理法も既知としている. この辺りは「数学ガール フェルマーの最終定理」を読んでいることを前提としているのかもしれない.
とはいえ, 群論を学ぶ意義がわかり代数学のおもしろみを味わえる上にガロア理論に最短経路で挑める名作である. 数学ガールを気に入った人や代数学のおもしろみを知りたい人におすすめしたい.
なお, 現在では登場人物のように数学が得意な中高生はいくらでもいる. このことは長くTwitterをやっているのでわかる. 数学が得意な中高生が多くなったのは本シリーズがきっかけでもある. 決して不自然なことではない.
紙の本
結城氏の好評シリーズ『数学ガール』のガロア理論編です!
2019/02/25 12:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、数学をストーリー仕立てで解説してくれる好評のシリーズ『数学ガール』のガロア理論編です。難しいガロア理論もようやく同シリーズで取り扱われるようになって、多くの人が同書に目を通されることで、理解する人の数も増えていくのではないかと密かに期待させてくれます。主人公と数学好きの女の子たちが来る広げるストーリーを楽しみながら、数学の知識を習得していってください。
投稿元:
レビューを見る
シリーズ五作目。方程式が代数的に解けるための必要十分条件を見出したガロアの理論を,ガロアの第一論文に沿って見ていく。といっても本書の大部分は体の拡大とか群論といった準備に充てられている。
理系の大学に行っても,数学をしっかりやらないとガロア理論なんてかすりもしないけど(自分がそうだった),そこにはものすごく豊かな世界が広がっているのが感じられる。数学の本質が垣間見えるというか,いろんなものがつながっていく。角の三等分と方程式の可解性にこんな関係があったとは。
受験勉強してたころ,高校数学の範囲でも相当目から鱗で,数学って面白いと感動したものだ。でも,本当の数学ってそんなの目じゃないくらいに面白い。数学ガールシリーズは,それを効果的に教えてくれる大変な好著だと思う。小説部分は苦手だけど。
「方程式が代数的に解ける」とは,方程式のガロア群から出発して,位数が素数の剰余群だけが出てくるように,正規部分群で次々割って群を縮小していって,最終的に単位群になるような正規部分群の列を作ることができること。
一般n次方程式のガロア群はn次対称群S_n。n ≧5については,S_nの正規部分群は自分自身と単位群のほかにn次交代群A_n(位数n!/2)しかない。 n!/2は素数でないので,一般n次方程式は代数的に解くことができない,つまり一般n次方程式に解の公式はない。
角の三等分の作図不可能性は,五次方程式の代数的不可解性と似てる。角の三等分が定規とコンパスで作図できないことは,有理数体から出発して開平を添加して体を次々に拡大していっても,求める角(の余弦)を含むようにできないことから分かる。
五次方程式が代数的に解けないことは,有理数体から出発して羃根を添加して体を次々に拡大していっても,方程式の解をすべて含むようにできないことを意味する。
開平が羃根をとる操作に変わったわけだが,このせいで,五次方程式の代数的不可解性の方は,体の議論だけでは証明ができなくなっている。証明には対応する群の関係も考慮する必要があり,それで現れたのが,方程式のガロア群。
係数体から出発する体の拡大が,ガロア群から出発する群の縮小に対応するというわけ。
投稿元:
レビューを見る
後半は相変わらずほとんど分からなかったけど、それでもハッとさせられる。
あみだくじの問題がバブルソートに繋がるところで何ともいえない感覚に襲われた。確かに、言われてみればそうだよなぁ・・・。
後、自分は(自分の世代は)、行列をならう変わりに、複素数空間を習わなかったのであまりよく分かってきたのだけれども、これでなんとなく分かったような気もする。
それにしても、ミルカさんの行動が時々大胆で驚かされる。
いきなりキスしたり壁蹴ったり(1巻でテトラが座ってたイスを蹴った時を思い出した)
だいたい、なぜ眠れる森の美女の引用があるこの本で、寝る前に口づけして「これでよく眠れる」という流れにしたのだろうか。むしろ、眠れなくなるようになってしまうとしか思えないのだけれども。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに読んだ数学の本。読むたびに好きだと実感する。
数学ガールは、いつもそこが知りたかったんだというところに言及している。今回の途中に出てきた基底と次元の話は非常にわかりやすかった。
こんな風に数学について話せる仲間が羨ましいなとつくづく思う。
再読時はもっと数学の理論をしっかり追おう。
投稿元:
レビューを見る
つい先日,前の巻を読み終えたと思ったらすぐに第五巻.今度はガロア理論.すばらしい.証明はほとんどないけれども,わかった気にさせる著者の力量がすごい.
さすがに第10章でガロアの第一論文を読んでいく部分は少し勉強したことがないと,なかなかついていくのが大変ではないかな.私はガロアの原論文を読んだことがなかったので,どういう論理構成になっているかわかって良かった.
小さな間違い p.419 群指標 --> 群指数
置換群とあみだくじの対応が普通の本と違うので注意が必要.この本の定義だとあみだくじを下にくっつけていく積はうまく対応するのだけど (p.76),
[3 1 2]*[3 2 1]
をあみだくじを描かずに計算しようとすると,あみだくじでは下にあるはずの [3 2 1] から計算しなくてはいけない.これは p.361 のように a1,a2,a3の式に作用させてみるとよくわかる.
[3 1 2]*[3 2 1] (g(a1,a2,a3))= [3 1 2]*(g(a3, a2, a1))
=g(a2,a1,a3) =[2 1 3] g(a1,a2,a3).
ある意味ではこの定義の仕方の方が自然なのかもしれないとは思う.
そしてもちろんこれはこの本の価値を損なうものでは全くない.
投稿元:
レビューを見る
ガロア理論。いわゆる代数。
あみだくじで最後まで突き抜けるのはすごい面白かった。
こう、ひとつのゴールに向かっていろいろ周辺分野をぐるぐるしながらいつの間にか繋がってゴールに収斂するっていうこのシリーズの良さが出てた。
最後2章は結局よくわかってないので、代数でも勉強しようかという気になった。
投稿元:
レビューを見る
ガロア理論ってなんだというところから始まり,読み終わった後にはなんとなくわかった気になる.そしてガロア理論って何?と考えると,わからなくなりもう一度読んでしまう,そんな内容である.
投稿元:
レビューを見る
読んでいて鳥肌の立つほどそそられる本でした。
あみだくじにはじまり、角の3等分問題、作図可能性の問題、正規拡大体、正規部分群、ガロア理論、、、と非常に興味深いトピックを無理なく自然に、とてもわかりやすく記述しているのは、驚嘆に値します。
おそらく著者自身が、これはどういうことなのか、ということを腑に落ちるまでじっくりじっくり煮詰めたからこそ、こういう本が書けるのだろうな、と思いました。「例示は理解の試金石」、確かに私もそう思います。
本当は有限体まで言及されていることを期待していたのだけれど、(それは言及されていなかったのだけれど)、私はこの本に、迷い無く5点をあげたいと思います。
超良書!
投稿元:
レビューを見る
おなじみ数学ガール。難しい内容だし一部はしっかりとは理解できていないが、非常に分かりやすい。
数学ガールのこれまでの作品はどれも難しい内容を分かりやす説明しておりお勧め。高校生の頃、これらの作品と出会えていたらなーと思わずにはいられない作品。
群論をもう少し勉強しないとなー。
投稿元:
レビューを見る
数学ガールの5作目です。ガロアがテーマで、「五次以上の方程式には一般的な代数的解の公式がない」を群論という概念で説明しています。
後半は、難しくてついていけません。
数学って、抽象化・一般化して、法則を見つける学問だとつくづく感じた。
投稿元:
レビューを見る
数学ガール-5。あみだくじから発展して 方程式の解、 ガロア理論へ。テトラちゃんの成長がすごい。
通読おわり、あとは実際に解いてみる。
投稿元:
レビューを見る
方程式を代数的に解ける条件について述べた「ガロア理論」についてのミルカ様の解説
相変わらず半分過ぎくらいまでは理解しながら読めるんだけど、後半はほとんど流し読みで「大体こういうこと言ってるんだな」的なことがわかったような気になりました(笑)
ていうか、ユーリとテトラは、もう普通に数学できる娘になってるじゃん(笑)
投稿元:
レビューを見る
リサちゃん普通に出てきて嬉しい
主人公はまだ大学生にならないし、正直そこはどうでもいい.
というかこれはどう見ても百合作品だし主人公は邪魔
投稿元:
レビューを見る
10月くらいには読み終わっていたのですが、もう何度か読もうと思い放置しておりました。
ガロア理論の説明についてはミルカさん無双、それまでの内容については、なんとか解説を読みながらわかるかなあくらいのところでした。
ブログはこちら。
http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4368693.html