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童話を一般的な理解とは異なる視点で読み解く書籍である。冒頭の『アリとキリギリス』『ウサギと亀』の読み解きは頑張ることを美徳とする昭和の精神論根性論のアンチテーゼになる。特に『ウサギと亀』の亀は根性だけでウサギに立ち向かおうとしたと批判する(40頁)。
一方で『さるかに合戦』の読み解きの復讐の批判は、ありきたりな道徳の教科書的である。10歳に読ませる道徳本としては意味があるが、世の中の平和のために弱者が我慢を強要されるだけに感じてしまう。
『泣いた赤鬼』の読み解きはユニークである。嘘で人間関係を作っても失敗する。『北風のくれたテーブルかけ』の読み解きでは消費者を欺く悪質業者とは二度と契約すべきではないと指摘する(290頁)。学校教育的な道徳は生活者感覚と遊離しがちであるが、ここは消費者教育にもなっている。
本書は童話毎のオムニバス形式を基本としながら、童話探偵ブルースと秘書シナモンの物語を少しずつ進ませている。ブルースが過去の失敗を抱え続けていることに好感を持てた。日本人は過去をなかったことにする再チャレンジをもてはやす傾向があるが、それは最も道徳から離れている。
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子供の頃から他面的に考えることが出来ていたらとても強い武器になると思う
また大人でも童話から得られる教訓を盲目的にとらえていることもあると痛感した
純粋に面白い
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「生きていれば、大勢の人との出会いがある。気の合わない人もいるし、傷つけられることもある。まずはそれを知っておくことだ。そして心の中で『自分には、この人が知らないすてきなところがたくさんある』とつぶやこう。そうすれば、人になにを言われようが不思議と気にならなくなるものだよ」
「正義の反対は、もうひとつの正義なんだよ」
「これからは、世界中の人とコミュニケーションをとり、どんどん自分の世界をひろげていける時代だ。見た目なんかで人を判断していると、取りのこされるのは自分自身。大切なのは、その人の本質を見極める力!それを身につけるべし!」
「人は、しあわせになるために生きていると言っても過言ではない。一方で人は、しあわせに慣れてしまいやすいものなんだ。たとえば君がずっとほしかった洋服を手に入れたら、最初のうちはうれしくてしかたないだろう?けど、何回か着れば、その服を持っていることがふつうになってしまわないかい?人は、自分の望みがかなって気持ちが満たされると、それが当たり前になって、いつも注意していたことがおろそかになりがちなんだ。」
「自分のものさしに当てはまらない人は、それはそれはたくさんいる。むしろ、そういう人のほうが多いくらいさ。そのことをよく理解したうえで、その人の個性としてみとめる習慣を身につけなければならないんだ」
「『伝わっているだろう』ではダメ!
『結果さえのこせばいい』でおダメ!
自分の想いは、言葉にして伝える努力をすべし。
でないと、ときに誤解され、いやな思いをすることがある。」
「人をきらう心というものは、イライラしたり口に出したりしているうちに、実際より、大きく、かんたんにふくらんだしまうんだ」
「生きていれば、ときには予期せぬことや、悪い出来事がおきる。そよときは、まず自分でその問題について。なにができるかを考える。自分だけではどうにもならなければ、すすんで人の手を借りるべきだ。それを繰り返していくうちに、トラブルを解決する能力がそなわっていく。」
「思いやりのある人は思いやりのある人にかこまれてるし、人をおとしれるような悪い人のまわりには、やはり悪い人がいる」
「人は目の前の一部分だけを、見て、どちらがただしいか、ただしくないかを決めてしまうことがある。しかし、だれもが日々。いろんなできごとをつみかさねて、今がある。見に見えるモノは、その人のホンの一部。目に見えないモノこそを想像してみよう。それこそが思いやりであり、人と人とが、本当に理解し合える方法なのだ!」
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よかった。
と思うのは、最後まで読んだからです。
最初の2つの童話は、ちょっと❓❓❓と思ったので、読むのをやめようか…と思ったけど、とにかく最後まで読んでみよう!と思ったのが結果的によかった。
泣いた赤鬼とごんぎつねの話では、「大家さんと僕」の矢部太郎さんの挿絵が先日死んでしまった飼い犬に似ていて、余計に悲しくて泣いてしまいました。
そして、最後に謎解きのスッキリ感が残り、全体的によかったと思う。もしかしたら、最初の方は、この最後の盛り上がりに持っていくためのものだったのでは?と思った。
渋沢栄一の人の数だけ正義はある
と同じように、
正義の反対はもうひとつの正義
という言葉がこの本を表している。
本て最後まで読まないと、ダメですね。(最近は最後まで読めてる…)
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「正義の相手も正義」この考え方は、うちの子どもたちも持っていてほしい。みんな考え方や価値観は違う、ということを理解しているだけで、他の人たちとの関係の築き方が格段に変わってくると思う。とはいえ、この本を読んで、うちの子どもたちの中では、誰に響くかなぁ。読書が苦手な6年生の長男は、オーディブルで聞いたら理解できるかも。4年生の長女は読めても、そこから読み解く理解力がまだ足りないかも… 10歳である4年生の読書好きの人たちにお勧めします。
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昔から誰もが慣れ親しんだ童話やむかし話。その寓意について、ほんとうにそうなのか?と切り込む一冊。
とても1話が短く、短時間でサクッと読めた。小学校低学年でも楽しく読める工夫が随所にみられる。挿し絵も多いし、難しい単語は出てこない。
多面的な視点を持つことで新たに見えてくるものがあるのは、童話などに関わらず物語全般にいえること。人と違う自分だけの解釈を見つける楽しみを教えてくれる良書。
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童話を読んで子供たちはいろいろな受け取り方をするものだと思う。
着想としては面白いですが、「この童話はこういう話です」みたいにしてしまうことによって逆にチープに感じてしまいました。
考える力を奪ってしまってるような。。。
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童話探偵ブルースの、ふつうとはちょっと違う20の童話の読み解き。
なかなか興味深いと思いました。
中にはついていけない解釈もあったけど、「鶴の恩返し」なんかは全面賛同。
「正義の反対はもう一つの正義」という言葉は頭に残ったな。どんなことに対しても忘れちゃいけない視点だ。
絶対的な善など存在しないし、絶対的な悪もそう。
オーディブルで読んだ。
しかし、オーディブルだと当然ながら矢部太郎さんの挿絵が見られません。後から気づいて、少し残念でした。
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モヤモヤ感があふれだしてきて、気持ち悪い。
わざわざ変な見方を判断力のない子供に押し付けていいのだろうか?
昔有ったな、遊び三昧のキリギリスに食料を与える程の優しさがアリに必要という変な風潮が。キリギリスは悪くないって。蒸し返してどうする?
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童話探偵ブルースの、想像のつかない読み解きで、ビックリした。この本を一言で言うと、思い込みは今すぐ捨てろ!発想の転換!って感じ? W
しかも、童話の読み解きだから、話が分かりやすく、本が苦手な私でも、最後まで楽しく読めた。
登場人物の性格も面白く、1ページ開くごとに、ワクワクがもう止まらない!?
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放送作家の石原健次さんという方が書かれた本です。以前、極楽とんぼの加藤浩次さんが「正義の反対は相手の正義」と仰ってたのをきっかけに、物事を色々な角度から考える力が育つよう執筆されたそうです。
1話ごとに童話を取り上げ、読み解き、現代に活かす新解釈を見つける童話探偵が主人公です。
『北風と太陽』を現代に活かす新解釈
「自信と過信の境目を見誤らないように、
つねに冷静に自分の実力を見極めるべし!」
『梨売りと仙人』
「人は目の前の一部分だけを見て、どちらが正しいか、
正しくないかを決めてしまうことがある。
しかし、だれもが日々、いろんな出来事を積み重ねて、今がある。
目の前の小さな部分だけを見て、
すべてをわかったような気になってはいけない。
目に見えるモノは、その人のホンの一部。
目に見えないモノこそを、想像してみよう。
それこそが思いやりであり、人と人とが、
本当に理解し合える方法なのだ!」
「正義の反対は悪ではなく、相手の正義」
一方的に決めつけるのではなく、お互いの主張に耳を傾けなきゃなんだな。
ママ友に「中1の兄が物語文が嫌い」と相談したらお勧めしてくれました。登場人物の立場になって、色々な角度から考えてくれるキッカケになると良いな。
小学校3年生以上にお勧め。
一章読み終わる毎に親子で話し合うと楽しいかも?
童話の内容をしっかり理解してる子なら低学年から楽しめるかも?(我が家の一年生は怪しいから来年度以降)
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大人の私でも、とってもためになる本だった。
若い頃からこんな思考で、物事を捉えることが出来ていたらもっと生きやすかっただろうな…社会に出る前に読んどきたかった。
今からでも遅くないよね(笑)
■印象に残った言葉
•正義の反対は、もうひとつの正義→色々な背景があるとは言え、お互いが相手の正義を想像できたら世界の争い事も…
•傷つけられた時:私には、この人が知らないすてきなところがたくさんあるとつぶやこう。そうすれば、人に何を言われようが不思議と気になくなるものだよ。
•自分のものさしにおさまらない人をおかしいと避難したり、笑ったりしては自分の成長も止めてしまう。自分の常識が全てではないことを知り、相手の個性を『いろいろな人がいるからこそおもしろい』と受け止めると、視野を広く持つことができる。
•自分の思いは、言葉にして伝える努力をすべし→察して欲しいなとか思うのやめよう…
•見えるモノだけがすべてではない。
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息子用に私の母が買ってくれた本。
まだ年長さんだから10歳からの本は早いんじゃないかと思いましたが、これは学校の教科書として使うべき素晴らしい本でした。
童話探偵ブルースが秘書のシナモンと一緒に童話を違った視点から読みといていくお話。
童話探偵とは世界の名作童話を読み解き現代に活かす新しい解釈を見つける探偵のことだそうです。
まず設定も面白い!
そして秘書のシナモンの成長が泣ける。。
読んだ後心がとても温かくなりました。
この本を読んで子供たちに心の豊かさを是非学んで欲しいです。
大人にもオススメです。
そしてこの本を買ってくれた母にありがとうと伝えたいです。
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違う角度から見た考え方。相手のことを考えられる本だと思う。昔話しを題材にしておりスポットに当てられなかった人物の背景、気持ち、思いをしっかりと考えており今後生きる上で必要な考える力を育む本でした!
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教え子の中学生が、お父さんに買ってもらった本らしい。童話探偵のブルースが、正義の反対は悪ではなく、もう一つの正義、をコンセプトに、勧善懲悪の寓話として読まれがちな様々な童話を、別の正義の物語として読み直していく物語。
文学のような解釈学を勉強していると、そもそも作品の違った解釈を考える意味は何なのかと問われることは多い。童話の世界で「悪役」とされるキャラクターたちにも、それなりの事情があったのではないか、と想像することで、「現代に生きる解釈」=教訓を見つけるというのが、とても分かりやすくてよかった。
個人的に面白かったのが、それまでブルースの読み解きを聞くだけだった助手のシナモンが、最後の読み解きを自分一人でするシーン。ブルースの読み解きを繰り返し聞いてきたシナモンは、ブルースだったら、何て言うかを考えることで、「梨売りと仙人」の物語を解釈する。
物語を読むことって、こういう風に次の世代に繋がっていくのだなあ、ということを感じるワンシーンだった。シナモンは、ブルースに君だったらどう考えるかを、繰り返し繰り返し問う。そして、返ってきた答えに対して、その考えが、いかに間違っているかを、優しく諭す。シナモンは、そうした経験を通して、ブルースだったら、何て言うだろうか、と考えるようになり、最後には、ブルースすら思いつかなかった読み解きにたどりつく。
少し残念なのは、ブルースの読み解きが、割と常識的であった点。タイトルにも「10歳からの」とあるので、まあ、こんなものかとも思うが、もう少し悪を悪のまま、尖った正義を語ってほしいという気持ちもあった。
ただ、子どもも読みやすい物語で、逆の立場だったらどうなるだろう、という想像力を働かせる。物語を解釈することの意味を教えてくれる本として、よい本だと思った。