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商品説明
勉強に、仕事に、ふだんの生活に、いつだって言葉はついてまわる。言葉の問題に悩まされることは多いけど、いままで「言葉」そのものを考えたことなんてなかった。姪との対話から導かれる、言葉の危なっかしくて豊かな世界。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
影浦 峡
- 略歴
- 〈影浦峡〉1964年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程中途退学。同大学院教育学研究科助教授(生涯教育基盤経営コース図書館情報学専攻)。著書に「計量情報学」など。
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紙の本
「私たちはどこから来て、どこへ行きたいのか?」
2006/08/23 22:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:植田那美 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初の感想は、ずるいくらい面白い本だな、というものだった。『子どもと話す言葉ってなに?』という題名が表すように、本書は言語学の専門書でもないし、外国語学習やスピーチ技術を磨くための実用書でもない。といって、言葉に関する子供向け解説書といった、題名通りの一冊というわけでもない。では何なのかと訊かれると、少し困る。確かなのは、本書が言葉について語っていながら、実は私たち自身、そして私たちの社会を映し出す鏡になっていることだ。それは、言語学の専門書が観察対象として、実用書が技術として、言葉を扱い、私たちと言葉との間に一定の距離を置こうとするのとまったく対照的である。本書では、言語の習得から運用、言葉と意味といった問題から、政治や経済、福祉、人権、アイデンティティといった問題までもが、縦横無尽に語られる。そうした意味では、本書は鏡というよりむしろ万華鏡のようなものかもしれない。言葉という万華鏡を著者の視点で覗き込んだときに見えてくる世界。そこでは、言葉は世界と不可分で、言葉について考えることは、私たちと世界との関係を結び直すことである。
・・・などと書くと、何だか小難しい本のように思われるかもしれないが、本書で語られていることの多くは極めて日常的な事柄で、特に著者が最近の「ネイティブのように英語を」ブームに淡々と冷水をかけているあたりの文章は、かなり爽快なものがある。日本に来た欧米人(正確には白人に見えてとりあえず英語が喋れる人たち)がもっとも簡単に見つけられる仕事は英会話スクールの教師らしいが、なぜか在日非外国人である日本人にはそのことはあまり知られていない。(余談だが、中国人留学生の友人は、日本では欧米人の方がよっぽど簡単に不法就労ができるのに、なぜ自分たちばかり目の仇にされるのかと文句を言っていた。)
文中で著者は、「意味というのは、心の中にある何か深淵で謎のような抽象的な存在ではなくて、ただ自分が話しつづけてそれが意味あるかのように受け入れられるだろう無限の状況への確信というか、賭けということになる」と言い、「言葉は『どんなに壊れようともいつも動いている機械』だ」というソシュールの言葉を引用している。当たり前のことだが、言葉について語ったどんな言葉も、言葉でしかそれを語ることはできない。言葉とは何かという問いに言葉でしか答えを返せないのだとすれば、言葉の本質は誰かが学問的に証明してくれる類のものではなく、私たちがそれを使い続けていく過程の中にしかないのだろう。本書は、その過程を豊かにしてくれる、貴重な道標だと思う。
紙の本
言葉
2020/02/10 16:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
明っ子さんとの会話の中で生まれたささやかな疑問。じっくりと考えたことがなかったので、あらためて考えさせられました。