中国哲学と現代科学 気と理に導かれた「正しい経営」

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JR東京駅前の丸善で手にして、気になったので購入してみた。「中国哲学」というのが気になったので。

結論から言えば、「気と理」で説明する中国哲学を概観しつつ、最後に「複雑性の科学」を中国哲学で読み解こうとする本かな。でも、著者の会社経営の哲学のような章も多く、また、「複雑性」については、特に目新しいことが書いてあるわけではないのはがっかり。

『易経』にも通じている教え（中国哲学）を点検しつつ、「複雑性の科学」をざっと見通すために読むのであれば、まあ、読む価値はあるのかもしれないけど。

きっと、会社経営者としてはとても秀でた人なんだろうけど、哲学者とか、社会学者のような方ではないのだと思う。ビジネス本として分類するなら、そういうスタンスで書き貫いたほうが良かったろうに、と思った。

たとえば前提も気になる部分がある。世界の現象はつねに変化し、とどまることをしないが、そこには循環の法則が存在するという。そして、その循環は同じ状態の繰り返しではなく、変化し進化していく循環だという。だけど、本当に「進化」するのだろうか。もちろん、「進化」したいと思うのは人の常だが、「進化」するかどうかなんて分からない。進化史観に囚われていないか？　

一方で、なるほど！と思うことも書いてある。「地方の再生に必要なことはお金を注ぎ込むことではない。多様で非対称な状況を作り出し、気の動きを活発化することである」。この部分は納得。

なお、第一章の、オートポイエーシス・システムの形成、『易経』の考え方、対立と相互作用については、わかりやすいので参考になる。