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商品説明
刑事訴訟法の理念と構造が理解できる基本テキスト。新たに施行された裁判員制度、被害者参加制度等の法改正とともに、取調べの可視化に関する実務運用、最新判例等を盛り込んだ第2版。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
安冨 潔
- 略歴
- 〈安冨潔〉1950年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。同大学大学院法務研究科・法学部教授。博士(法学)(慶應義塾大学)。著書に「演習講義刑事訴訟法」など。
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紙の本
水準は超えるが
2009/12/22 03:16
10人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
刑事訴訟法は学生が学ぶには基本六法の中で最も厄介である。このことがわかるのは法律を勉強して大体5年くらいかかる。どうしてかというと、刑事訴訟法は判例が極めて重要な役割を果たす。そして、学生は判例をそのたびに追い続けなければならない。しかし、判例の解釈というのは非常に難しい。しかも、評釈は百花繚乱にわかれることもある。
たとえば、平成13年の訴因変更の判例。極めて有名だが、あの判例の第一基準である、審判対象の画定に不可欠な事実の変動という要件。一体どういうときに適用されるのか?9割以上の学生はわかっていない。そして、あらゆる教科書をみても、すくなくとも学者の本に例示している本はない。唯一、調査官解説が結構詳しいくらい。
刑事訴訟法のよい本を探すときは、まずこの訴因変更の要否が詳しく書かれているかをみるのがいい。本書を見ても、残念ながらここは逃げている。池田前田も田口も逃げている。
嚥下物の採取とか、訴因の特定なんかも、判例とのかかわりを考えるとわけがわからなくなる。信じ難いだろうが、中途半端な学者は実際あんまりわかってないんじゃないかという時さえある。自説であるといって、防御機能のみから訴因変更や訴訟の特定を論じているだけでは勉強不足といわれても仕方あるまい。
世の動きや学生の動きにも目が利く安富教授の新刊に期待したが、残念ながら月並みの教科書としかいいようがない。おそらく、東大の川出教授ら有力学者の教科書をまつ他ないのだろう。ただ、本書はさすがに漏れなく要諦をついている。新司法試験であれば、本書で十分である。
新司法試験をみていると、知識がそんなにいるわけではないことは明らかである。それよりも、知識の使い方が重視されている。学部試験なら十2分だろう。
それにしても、刑事系の学者の多くは取調室可視化に賛成だそうだが、そんならおとり捜査や司法取引、取り調べ受忍義務くらいせめて認めなくては、日本の有罪率は戦後最大の危機を迎え、またしても司法関係者の無能を天下に晒すことになることは間違いない。