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アジア・インフラストラクチャー 21世紀への展望 (慶応義塾大学地域研究センター叢書)
アジアにおける民活方式でのインフラストラクチャー整備の問題を、電気・ガスなどのエネルギー及び通信インフラを中心にして解説。インフラ整備とプロジェクト・ファイナンスに対する...
アジア・インフラストラクチャー 21世紀への展望 (慶応義塾大学地域研究センター叢書)
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商品説明
アジアにおける民活方式でのインフラストラクチャー整備の問題を、電気・ガスなどのエネルギー及び通信インフラを中心にして解説。インフラ整備とプロジェクト・ファイナンスに対する知識を広げる共同研究の成果。【「TRC MARC」の商品解説】
近年、国際的課題となっているアジア諸国におけるインフラ整備について、国際競争における生き残りを賭けたビジネスの論理から、またアジア発展のための平和的貢献への道を模索するという視座から検証。【商品解説】
目次
- はしがき
- Ⅰ序章
- Ⅱ総論:理論編
- 2.1 プロジェクト・ファイナンスの沿革 その生成・発展・展望
- 2.2 プロジェクト・ファイナンスと担保 「セキュリティ・パッケージ」としての全体構造
- 2.3 アジア・インフラとプロジェクト・ファイナンス 民間企業のアジアにおけるインフラストラクチャー事業とプロジェクト・ファイナンスへの取組み
- 2.4 民活インフラ整備の問題点と公的支援の役割
- 2.5 公益事業の海外展開とアジア・インフラ
- Ⅲ 各論:事例研究編
- 3.1 電源開発(株)の海外経験について
著者紹介
藤原 淳一郎
- 略歴
- 〈藤原〉1944年兵庫県生まれ。慶応義塾大学大学院博士課程修了。現在、同大教授。著書に「情報公開等審査会答申事例集」「テキストブック行政法」など。
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プロジェクト・ファイナンスの特徴やメリットを明らかにし,日本の今後の民活インフラの課題と展望を考える
2000/10/05 18:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:竹島 愼一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1997年7月,タイ・バーツの切り下げに端を発した「アジア通貨危機」は,その後も長く暗い影を落とした。「世界の成長センター」と期待され,21世紀は「アジアの世紀」とさえ叫ばれていたのも,遠い昔のように聞こえる。もちろん,この通貨危機はインフラ整備にも大きな影響を与えた。
本書は,アジアのインフラ整備の問題,とくに民間の活力を利用した今後の日本の事業展開について,実務家と研究者が「慶応義塾大学・アジア・インフラ研究会」でセッションを繰り返し,その成果を総括したもので,通貨危機以降のアジアの行方を占う上で興味深い一冊となっている。
構成は,海外での新たなプロジェクトごとに導入されるプロジェクト・ファイナンスの沿革と担保,それにアジア・インフラとのかかわりについて論じられる総論(理論編)と,アジア各国への日本のこれまでの貢献事例を電気,ガス,通信インフラに分けて述べられる各論(事例研究編)の2部よりなる。
インフラ整備であるから,その資金も1億ドル以上,大規模になると10億ドルを超えるものも珍しくない,言ってみれば国家レベルの大型事業が中心なのだが,「できるだけ競争環境のなかで,民間企業に供給させるべきだ」というのが現在の風潮だという。プロジェクト・ファイナンスとは,海外における民間資金を活用した「民活」型のインフラ整備に利用され,開発資金の調達や節税対策などにメリットを持ち,なかんずく数々のリスクに対する担保や保証に効力のあるセキュリティー・パッケージとして確立されたシステムで,総論だけ読むならこれは,プロジェクト・ファイナンスについて書かれた本ではないかとさえ思えるくらいだ。
リスクはあって当然というのが,海外でのインフラ整備なのだが,日本は総合商社を除き,積極的な役割を演じてこなかった。本書総論はその理由を解明しながら,通貨危機以降の日本の民活はどうあるべきかを問い直す。つまりこれが後半の各論へと引き継がれる本書最大の課題(理論と実践の統合)ということになる。
私事になるが学生時代,政府主催の国際交流セミナーで,ASEANからやってきた学生と討論する機会を持った。そのときに,祖国が掲げていると聞いた「LOOK EAST」(日本や韓国の発展に学ぼう)という標語を思い出した。21世紀のインフラ整備においても,欧米ではなく,共存共栄の道を歩むアジアの一員として日本が主導的役割を果たしていくべきだという感想を強く持った。
本書は産学協同の研究プロジェクトであるが,その実をあげるために,これからの課題と展望について,参画した人たちによる討論が最後に行われてもよかったのではないだろうか。そうすれば,これからの取り組みにつながる建設的意見が聞けただろうにと考える。「アジア・インフラストラクチャー」とはまさに,これからの実務的課題であり,発展していく研究テーマでもあるのだから。
(C) ブックレビュー社 2000