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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.7
- 出版社: 化学同人
- サイズ:22cm/474p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-7598-1275-6
- 国内送料無料
紙の本
メタノールエコノミー CO2をエネルギーに変える逆転の発想
著者 G.A.オラー (著),A.ゲッペールト (著),G.K.S.プラカーシュ (著),小林 四郎 (訳),齋藤 彰久 (訳),西村 晃尚 (訳)
「メタノール経済社会(メタノールエコノミー)」という未来のエネルギー構想を提唱するとともに、エネルギーの保全に関する技術的な課題を、歴史的推移とエコロジーの視点に立って広...
メタノールエコノミー CO2をエネルギーに変える逆転の発想
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商品説明
「メタノール経済社会(メタノールエコノミー)」という未来のエネルギー構想を提唱するとともに、エネルギーの保全に関する技術的な課題を、歴史的推移とエコロジーの視点に立って広範囲に丁寧に取り上げる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
G.A.オラー
- 略歴
- 〈G.A.オラー〉1927年ハンガリー生まれ。南カリフォルニア大学名誉教授。同大学Loker炭素水素研究所所長。94年ノーベル化学賞受賞。
〈A.ゲッペールト〉1974年フランス生まれ。Loker炭素水素研究所所属。
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紙の本
大気中の炭酸ガスをもう一度使うこと。これは「炭素」の究極のリサイクルとなるか?
2011/06/12 18:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
化学者の立場からエネルギー問題を評価し提言する、かなり厚くて骨太の一冊である。著者の一人、オラーは1994年のノーベル化学賞受賞者。出版社は化学同人、日本語発刊にむけて野依良治さんが文をよせている。詳しくは知らなかったのだが、著者は本書の主張を精力的に行なってきているらしい。ただならぬ熱意でこの考えを広めようとしていることは、初版からわずか3年で改訂2版を出したということにも現われていると思う。その熱意が充分伝わってくる。
14章あるうち、前半部は既存のエネルギー源を歴史から問題点まで要約してまとめた部分である。石油、天然ガス、バイオマス、風力発電など、挙げられているメリット・デメリットはどれも偏らない妥当な(悪くいえば平均的な)評価になっている。原子力をどう評価しているのかは興味のあるところだが、廃棄物処理が長期的にはまだ未解決の大きな課題であるとの指摘ぐらいで、まだ積極的な推進も否定もしていない。本書の原著発行(2版)が2009であるから、その時点での一般的な評価ではあろう。
後半部が著者らの提唱する「安定供給可能なメタノールを中心とする長期的かつ地球規模の構想」である。
駆動力や熱源としてはメタノールの形で使用する。メタノールで動くエンジンなどは既に存在している。そして、排出された炭酸ガスを化学反応を利用してもう一度固定し、再びメタノールにして使用する。そうすれば人間自らがエネルギーを利用して排出した炭酸ガスは循環する。これが表題の「メタノールエコノミー」の意味である。
炭酸ガスばかり悪者のようにしてはいけないだろうが、炭酸ガス排出の問題は人類がエネルギー使用を続ける限り残る。人口が増えるだけでも出る炭酸ガスは増えるだろうし、太陽エネルギーを使っても魚を焼けばでるのだ。人間が使う分は人間が何とかする。自分が捨てたものは自分で何とかする。「出す」のを抑えることを考えるだけでなく、「回収」してもう一度エネルギーにするという著者の提案は重要なところをついているのではないだろうか。ある意味「究極のリサイクル」なのかもしれない。
炭酸ガスの固定は、反応式そのものはそれほど難しいものではない。植物の使っている方式も、ずいぶん解明されてきた。問題はこれを「実験室レベル」でなく「現実社会レベル」でできるかどうかというところなのだろう。しかし残念ながら素人には「社会レベルで可能性がある」のかどうかは判断しがたい。理解できる方に積極的に検討し、評価していただきたいと思う。
どんな問題でも、「解決方法はこれしかない」と決めつけてしまうのは余り賢いとはいえないと思う。さまざまな方法を「あれがダメでも」と具体化していくことも大事である。原子力発電をどうするかもまだまだ議論の最中であるが、本書のような考え方も検討の価値ありではないだろうか。