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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2007.11
- 出版社: 丸善
- サイズ:21cm/196p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-621-07890-7
紙の本
科学者ってなんだ?
科学者になるには? 科学者として成功するには? ワトソン「二重らせん」に見る研究競争、ノーベル賞と科学者、インパクトファクター、論文捏造、研究者の倫理など関心の高い話題を...
科学者ってなんだ?
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商品説明
科学者になるには? 科学者として成功するには? ワトソン「二重らせん」に見る研究競争、ノーベル賞と科学者、インパクトファクター、論文捏造、研究者の倫理など関心の高い話題を通して、科学者の実像や実態に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
梶 雅範
- 略歴
- 〈梶雅範〉1956年生まれ。東京工業大学大学院修了。同大学院社会理工学研究科准教授。学術博士。専攻は科学史。ロシアと日本の科学史を研究。著書に「メンデレーエフの周期律発見」など。
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紙の本
「科学者になる」ことの難しさと面倒くささ
2008/12/02 22:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年は多くの日本人ノーベル賞受賞者も生まれ、改めて「科学者」に世間的な注目が集まったかもしれない。ところで、書籍上で科学もしくは科学者について論ずる場合、たいていは「科学史」的知識をもとにしてなされることが多いようだ。一時期、話題をまいた酒井『科学者という仕事』(中公新書)もその常道に従い、豊富な科学史的知識を基礎としていた。本書も編者は科学史家であり、科学史的な言及も少なくない。しかし、科学のおかれている「現状」をめぐって意外にも多様な論者をそろえ、それぞれのアプローチで語らしめている。実際に東工大の学生に向けて行われた講義をもとにしているという。
論文ねつ造や特許・知的財産権については、近年は盛んに報道されているので一般にも関心が高いテーマだろう。学術論文とその審査のあり方や大学院とそこでの過ごし方について、また、実際の研究の現場から研究が論文として採択されるまでのプロセスを自らの経験を開陳するなど、今現在大学院生として研究を続けている学生にとってはたいへん興味深いものとなるだろう。女性や科学ジャーナリズムなども取り上げられているが,これからの科学史・科学研究にとって重要な論点になるのではないか。一方で、時折「社会問題」としても噴出してくる、アカハラ・セクハラの問題には言及されてはいなかった。以前、『科学』でいい連載があったように記憶しているが、ここでとりあげるには重たすぎたか。
いずれも盛りだくさんの記述になっており、科学者の生態がわかるという面白さはあるものの、一般向けというより、やはり「これから科学者になる/なりたい人」向けの一書というべきだろう。ただ、研究者の卵にとってみれば、こうした話は研究室の先輩といった身近な人から聞いておくべき話だったのかもしれない。それが本になる、ということは大学科学者の世界も何かが変わってきたというべきだろう。
理工系の世界でも大学院生の供給過剰となり、研究競争とは違うレベルの競争が厳しくなっているそうだ。それだけに、科学と一般社会とだけではなく、こうした科学者同士のコミュンケーションの試みが必要になってきているのではないだろうか。しかも、それは純粋に「科学のこと」だけでは済まない。本書のように、科学以外のことも十分に伝えられなければならないのだ。