紙の本
序盤だけがハードル
2018/06/15 10:58
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投稿者:ちっ - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭部分は場面が細かく切られ、次から次に難しい名前の人物が登場して
「誰がどこに居た人だっけ…」となりますがそこさえ乗り越えれば怒涛の展開に引き込まれます。
このような連続殺人事件はさすがにないと思いますが、実際にヨーゼフ・メンゲレが南米で
偽名を使いしれっと天寿を全うしていることを考えると現実味のある物語に感じられました。
シリーズの中では3作目のようですが訳者の方のあとがきによると日本では本書が最初に翻訳され、
その時点で4作目の翻訳は決定しているものの1・2作目は日本国内での評価を見てから、と書かれています。
現在はシリーズ全作が翻訳されているので順を追って読むことができますが、
日本で市民権を獲得したこの「深い疵」からとりあえず試してみるのもいいと思います。
ちなみにドイツでのシリーズの刊行順です
・悪女は自殺しない
・死体は笑みを招く
・深い疵
・白雪姫には死んでもらう
・穢れた風
紙の本
酒寄氏の翻訳だと安心できる
2020/09/08 22:19
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイツ作家のミステリー小説といえば、私は酒寄進一氏が翻訳したシーラッハの「犯罪」「コリーニ事件」を読んでいる。今回も彼が翻訳しているネノ・ノイハウスの「深い疵」を読むことにした。私はドイツのミステリーものの翻訳といえば、酒寄氏と条件反射的に答えることができる(といっても、まだ3冊目なのだが)。主要な登場人物がたくさんいて、容疑者も多い場合海外ミステリーでは登場人物表が欠かせない。創元推理文庫の登場人物表は過不足なく説明を施してくれているので使いやすい。ネットで登場人物表を打ち出してみると、たまに知りたくない情報まではいっていること(つまりネタバレ)があり、気を付けないといけないから助かる。オリヴァーとピアのコンビはまだまだ活躍しているようなので、また読んでみることとする
電子書籍
ページターナー
2017/05/27 05:36
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投稿者:プロビデンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイツでも人気の作家だそうです。ストーリは大変面白かった。あとがきの著者のプロフィールも面白いですね。ソーセージ屋さんの奥さんから人気ミステリ作家になってしまうなんて!
紙の本
初めてのドイツミステリ
2015/09/13 12:48
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投稿者:ヨシアキ - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めてのドイツミステリで、まず名前が覚えにくい。登場人物をなんども確認しながら、こんなに太い本、読めるかなあと思いながらページを繰ってました。しかし、後半に入って俄然面白くなってきました。読み終わって、ドイツでヒットしたというのに納得しました。とっつきやすいとはお世辞にも言えませんが、時間をかけて一読する価値はあると思います。ただ、このシリーズの一作目ではないとのことなので、順番通りに読みたかったですね。
紙の本
ナチスは現代の亡霊だ!
2016/06/04 23:23
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投稿者:のりちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
上質なミステリーであり刑事物であった。
日本と同じように先の大戦の遺物がまだまだドイツも残っているのだなあと強く感じた。
それにしてもヴェーラの悪女ぶりはすごい。よくぞここまでという感じだ。人間の欲望とは恐ろしいとつくづく感じたと共に仲間の大切さを思い知った。
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G 2012.9.27-2012.10.12
事件はとても面白い。
オリヴァー&ピアのシリーズらしいが、残念なことにこの二人がわたしは好きでない。
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う〜ん、面白かった!
最初は、この読者に隠しているようで隠していないマルクスとエラルドの関係の書き方が不思議だったけど、途中で成る程なぁと納得。
最後はめでたしめでたし……なんだけれど、ユッタみたいな人物が結局のうのうとしているなんていう苦々しさもあったりして、きっとそれがまた小説としていいんだと思う。
しかし、ヴェーラが過去の悪事の証拠を延々残しておいたのが解せない。傲慢な人物というのはそういうものなのか。
それとも、過去の記憶が曖昧になって、嘘に綻びが出るのを防ぐ為だったとかだろうか。
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全員怪しすぎるし
疵が深すぎる!!
しかし嫌いではないです。
むしろ好きです。
こういう濃さは大好物です!
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「深い疵」
ホロコーストを生き残り、アメリカ大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人が射殺された。凶器は第2次大戦期の拳銃で、現場には「16145」の数字が残されていた。司法解剖の結果、被害者がナチスの武装親衛隊員だったという驚愕の事実が判明する。そして第2、第3の殺人が発生。被害者の過去を探り、犯罪に及んだのは何者なのか。
オリヴァー&ピアのコンビが連続殺人事件を追う独警察小説シリーズ。キーワードはドイツでは大きな意味と歴史を持っている「ナチス」「ユダヤ」と言う言葉。この「深い疵」ではまさにその意味と歴史が深く刻み込まれています。
きっかけは高名高齢なユダヤ人が殺害された事件。それは普通の殺人事件と思われたが、被害者がナチスの隊員だったこと、カルテンゼー家というこちらも高名な一族が関係していたこと、そして謎のメッセージ16145が残されていたことから次第に事件が普通の事件ではなくなっていく・・・。さらに、カルテンゼー家に恨みを持つ複数の人物も現れ、オリヴァーの天敵まで登場して、事件は更なる混迷に・・・
という展開です。登場人物が多く、カルテンゼー家には何やら悪が潜んでいそうで、更にオリバーもピアもそれぞれ色々抱えているので、読みながら様々な箇所に気を取られました。しかし、そんな中でも一番はやはり「犯人の動機と連続殺人事件に潜むもの」です。
犯人の動機には悲しい過去があり、そして真犯人(殺人事件の被害者の多く)には許しがたい過去と人間が持ち、発揮し得る最大の悪がありました。特に、悪に関しては「何故ここまで残酷なことをしていていながら、ここまで落ち着いているのか」とピアが犯人を見て思うのですが、私も同感です。また、ピアは同時に「犯人の犯行を立証して、真犯人を追い詰め、罰を与えたい」という感情を抱き、犯人側に立って事件の真相を追いますが、この点も私は同意したいと思いました。それほど、真犯人の残虐性は許しがたいです。
また、一連の殺人事件と同時に別の事件も発生していきます。実はこの別の事件には今回の犯人ではない別の人間が関わっているのですが、そこにあるのは嫉妬や執念を超えた悪です。まさしく人間の嫌な部分が潜んでいる事件ばかりでした。
それでも読むことを止めなかった理由は「ピアが私の思いを代弁してくれたこと(刑事として人間として悪を見ていた)」と「犯人を捜すという推理小説の醍醐味(と思う)が存分に込められていた」からです。特に「犯人は誰なのか」という点に関しては、登場人物が多い上、彼らの視点での物語も進行し、更に様々な箇所に「こいつが犯人ではないか」というミスリードトラップが仕掛けられているので、非常に厄介です。
しかし、オリヴァーとピアの捜査が綿密に描かれている為にそこまで置いてけぼり感も無く、個人的な推理が楽しめます。ちなみに、私は犯人が外れました。まさか、そこに繋がるなんて・・・という伏線もありで、著者の強さを感じます。
シリーズ作品ではあるけれど、この1冊でも十分楽しめる作品です。次と前作が読みたくなる。
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登場人物 A が あらわれた!
A は ミスリード を つかった!
登場人物 B が あらわれた!
B は ミスリード を つかった!
登場人物 C が あらわれた!
C は ミス(以下省略)
…
これがNくらいまであると思ってほしい。苦痛!
でもそんな苦痛を吹き飛ばすシーンが地下室で待っていてくれて、星を四つもぎ取っていく。
胸に一はけの鮮烈さを遺す作品。
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良質の警察ミステリ。物語の方向性はシンプルなのだが、中身は濃くて、色んな要素が複雑に絡み合っている。根っこの深さに驚愕するなかれ。矢継ぎ早に出てくる人名と地名に混乱しないように。
名門一家、隠された過去、ナチス──陰惨さを予想させるキーワードがベースになっているが、冒頭からの事件が派手に前進することで謎解きとのバランスが保たれおり、想像したような重苦しい雰囲気にはならない。
中盤辺りですでに満腹なのに、そこから更に方向転換をして突っ走るスタミナに翻弄させられた。そして“疵”の意味でクラッシュする。小説と割り切っていても、あの時代だったらアリだったかもと、ナチを知らないだけに想像力だけ逞しくなり、そしてしばし凹む。作中のナチに対して、もう少しこってりしたアプローチがあるのかと期待したが、人物造形のピースとして扱われてるようだった。もう一点残念だったのは、真犯人が判明するプロセス。それまでの捜査はなんだったのか?
本作品はシリーズ三作目。四作目もすでに刊行が決まり、評価次第では一作目から順に訳すとのことだが、前作で何かあっただろうなと思わせる人物間のやりとりが出てくるので、もったいぶらずに順番に読ませて欲しいところではある。今年は警察ミステリの当たり年かな?
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ノイハウス氏を知るきっかけの1冊。白雪姫も面白くよんだ。3冊めには今行き詰まっているけど。。。。
ドイツ・ミステリーの深みにはまる途で出会った作者。好きです。
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ドイツミステリの女王と呼ばれているノイハウスの日本デビュー作(シリーズ3作目)。ホロコースト、ナチス・ドイツといった過去の大戦と現在を絡めたストーリー運びが凝っていて、重厚感があり、クライマックスでの対決シーンではハラハラさせられた。登場人物もそれぞれ豊かな造形で、特に主人公の女性刑事ピアがキュートで魅力的。
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やっと読み終わりました。返却期限の20分前(移動図書館が去ってしまうまで)にギリギリ読了。
登場人物が多く、慣れないドイツ人名。人物リストを自分で作りながら読むべきだったと途中で後悔しました。「クリストフ? これ、ファーストネーム? あれ、登場人物一覧に名前がない……ってことは重要人物じゃないの?」などと惑わされつつ、500頁を読み切ったときの達成感はある意味大きかったです。シリーズ物の3番目なんですね。次の作品を読むときは最初からメモを取ることを忘れないようにしよう……。
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回送先:稲城市立第四図書館
濃厚きわまりないミステリ。小説の一気読みが昨今ほとんどばくなった評者が久しぶりに一気読みした一冊(背景として、日本語環境での小説がえてして「陳腐」の一途を極めつつあるのがその最たる要因なのかもしれない)である。
登場人物の複雑な絡み合い、「The Past Within Us(過去は死なない)」を地でいく歴史が織りなす大胆で、でも繊細な動機の形成――そのどれをとっても久しくお目にかかっていなかった「想い」の美しさに評者は惚れ惚れとしてしまうのである。
おそらく本書の「二時間ドラマ化」は不可能であろう。というよりも、小説で無ければならない理由の数々が文中の繊細な言葉ひとつから見えてくるのであるから。