シンデレラの罠 （創元推理文庫）

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古い有名なミステリーで、たしか中学校くらいに読んだはずの本でしたが、新訳だということと、内容については何一つ覚えていなかったので、早速買って読んでみました。
非常にトリッキーなミステリーでしたが、読み終えても、最後まで何一つ内容を覚えていなかったので、ある意味ラッキー。
内容は、ミステリーオールタイムベスト１０の常連にふさわしい凝ったもので、非常におもしろかったです。
もちろん、トリック（というか設定）は現代では全く通用しないものですが、心理描写の妙、叙述の妙、読後の余韻など、今読んでもたしかにこれは傑作だと思います。

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事件は解体されていく。
しかし、ロジックが突き詰めて行く先にはどちらにも割り切れない部分が残り本当は誰だったのか？

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世評高い古典ミステリに対して、これほど評価が下がるのは初めてかもしれません。自分自身、自分で付けた評価に少し戸惑っています。この手の叙述ミステリ、本当は好みドストライクなんだけどなあ。
メイド・イン・フランスは相性悪いのかもしれないです…（ ; ; ）アメリは三回見て三回眠ったからなー＼(^o^)／なんてこったい


内容自体は叙述ミステリの王道なのですが、正統派ミステリと言うには少し耽美なイメージが勝ち過ぎているきらいがあります。
美しいマドモワゼル達の愛憎劇と、遺産を巡っての殺人劇。
うまくいく筈だった計画が、殺人者の記憶喪失で不穏な雲行きになっていく、というシンプルな筋立てなのですが、何だか女性達の心の機微が非常に分かりにくい。腑に落ちない心情の変化を淡々と描写されて、訳との相性もあるかもしれませんが、どうも感情の上澄みだけが映画の台本のト書きのようにツラツラと書き連ねられているような不自然さを感じてしまいました。

でも、ストーリーの締め方は好き。真相の可能性を二択残して、ラスト数行で検討が付けられる余地を残した、って言うのが素敵です(^^)

あと、ドとかミとかラっていう名前表記は、フランス表記では自然なのでしょうか？？最初はドミラって、それ何て不協和音⁈そういうテーマな話なのね！て粋がって読み始めたら、初っ端で1人欠けてU・x・U てなったよ…


今回も裏表紙の惹句が秀逸だったのでそのまま抜粋(^^)

わたし、ミは、火事で大火傷を負い、顔を焼かれ皮膚移植をし一命をとりとめたが、一緒にいたドは焼死。火事の真相を知るのはわたしだけだというのに記憶を失ってしまった。わたしは本当に皆の言うように大金持ちの伯母から遺産を相続するというミなのか?死んだ娘がミで、わたしはドなのではないのか?わたしは探偵で犯人で被害者で証人なのだ。

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小泉喜美子お姉様推薦の一冊。ミステリというよりはサスペンスに近い気がします。少なくともトリックを暴いて犯人が見つかってめでたしめでたし、という明快なミステリではありません。
火事にあって火傷を負い、記憶をなくしてしまったミ。同じ火事で死んでしまったドは幼馴染み。後見人のジャンヌがミを隔離しようとするのはなぜ？生き残ったのは誰？「私は探偵で、犯人で、被害者で、証人なのだ」のコピーに偽りなし。読んでいる方も何が何やら分からなくなってきます。これは誰が話しているのか、これは本当に起こったことなのか、もしかしたらメタミステリなのか…と混乱が混乱を呼ぶような。それぞれの登場人物の心理も明らかにはされません。殺意を持ってはいるけど単なる利害の問題ではない。愛しさが憎しみになり、その愛しさも家族愛なのか友人としてなのかそれとも…。普通なら不可解なミステリとして読む気なくすんですが、はっきりしないのが逆に興味を引き余韻を残す。モヤモヤ感を味わう作品になってます。まさに「前衛芸術」。好みは分かれるだろうと思いましたが、結構評価は高いんですね。ちょっと意外でした。

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時代設定なのか、自分の頭の中の、余計な考えからなのか、どっぷり夢中になれなかった。（残念！）
エポック・メイキングな一冊らしいけど、ちょっと複雑な書き方もあって、もう一度よまなければ　わからないところもあった。

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「わたしはこの事件の探偵であり、証人であり、被害者であり、犯人なのです。」　この帯にやられました。
50年近く前の作品だというのに古さは全く感じなく、どっぷり世界に入り込み一気に読破です。
彼女は一体誰なのか。彼女達の望みは何だったのか。事件の真相はどこにあるのか。謎のままラストに放り出される感は否めないが、それも本書の魅力なんですよねー。　ああだこうだ自分なりに考えましたが、読み込むほどに解らなくなりました。　結局誰でもないのかも。
ただ一つだけ、ミドラ伯母さんの底知れぬ悪意だけは感じましたが。
映像向きだと思っていたら、映画化されてますね。納得。

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ミステリーです。有り得ない怖さです。
でも、実は現実はこうなんだな、とも、思いました。
10年以上も嫌がらせというか、パワーハラスメント受けていても、
誰も気づかないふりの現実と、そんなに変わらないのかも、です。
教養の無い人達は、当てになりません。
人？でなし達ですね。
以上です^^v

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“わたし”は本当に“ミ”なのか？
死んだ娘が“ミ”で“わたし”は“ド”なのではないのか？

“わたし”は“ミ”なのか“ド”なのか？
状況は二転三転し、最後には一応納得出来る結末が用意されているものの、それが真実なのかもわからない。

各章題もとても美しくて魅力的。

訳者あとがきも素晴らしい。読者のなんとも言えない気持ちを代弁してくれてる。

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2012年2月29日初版
目次
・わたしは殺してしまうでしょう
・わたしは殺しました
・わたしは殺したかもしれません
・わたしは殺すでしょう
・わたしは殺したのです
・わたしは殺しました
・わたしは殺してしまいました
訳者あとがき
訳者　平岡敦