紙の本
失われた8年間の記憶
2011/11/14 16:47
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投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
演劇部の部室で倒れて8年間の記憶を失っていた「あたし」。
高校時代の文化祭直前から記憶はなくなり
母校の英語教師となっていました。
演劇部はその時と同じ「眼鏡屋は消えた」という芝居を
文化祭に演じることになっています。
この「眼鏡屋は消えた」は、この学校で11年前に起きた、
実際にあった事件がベースとなっています。
一人の男子生徒が転落死したのですが
それを殺人事件として芝居化したもの。
その脚本を書いた竹下実綺もまた、「あたし」こと藤野千絵が
記憶を失っている間に、上演寸前に亡くなっていました。
ミステリーはとても魅力的で、
意識を取り戻しても記憶のない千絵に
知らない事実をどんどん突きつけてきます。
勢いよく、ぐいぐいと読ませます。
彼女の独白部分(地の文)はとってもおもしろい。
はじめは女子高校生のままだからかと思ったのですが
女性のうわさ好き、イケメン好き、他者への批判好きが前面に出ていて
テンション高くしゃべり続けます。
女性が読んでも嫌味なく読めてしまう。
しかし、探偵役のイケメン戸川涼介との推論を掛け合うセリフが
恐ろしく退屈。まどろっこしく、テンポも悪い。
また、竹下実綺の事件については
読者のほとんどが気づくのでは――。
ただ、ミステリーのしかけはおもしろいし
全体の文章は悪くないので、別のジャンルを読んでみたい。
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気がつくとあたしは演劇部の部室の床でのびていた。そのうえ八年間の記憶が失われ、現在あたしは母校で教師になっているらしい。しかも親友の実綺が高二の文化祭直前に亡くなっていたなんて!!!八年前と同様に学園内では、彼女の書いた脚本『眼鏡屋は消えた』の上演を巡るごたごたが起きている。実綺の死には何か裏がありそうだ。上演を実現し、自分の記憶を取り戻すため、元同級生の探偵に事の真相を探ることを頼んだ。あたしが最も苦手とする、イケメン戸川涼介に―。青春時代の切ない事件と謎を、リーダビリティ抜群の筆致で描くミステリ。第21回鮎川哲也賞受賞作(「BOOK」データベースより)
加納朋子・近藤史恵・森谷明子・七河迦南・相沢沙呼。
鮎川哲也賞受賞でデビューした作家さんに、お気に入りが多いワタクシ。
なんというか、ミステリの登竜門としてのこの賞には安心感があります。
とんでもない作品が受賞したためしがないからなー(よその賞では時々見かけます)。
今回も、この賞らしい作品が受賞。
論理的でキャラも好感が持て、読みやすい。
ただ「おお!これは!!」と興奮するような出来でもないかな。
最終選考に残った4作品の中で、消去法で選出されたようですし。
うまいなぁとは思うけど、すごく面白いわけでもない。
そんな印象。
ラストも「えええ??」という終わり方。
もうちょっとインパクトのある終わり方or余韻の残る終わり方にした方がよかったなー。
でもきっと次回作が出たら読むでしょう。
もっと面白くなっているといいな。期待します。
ちなみに今回(第21回)で笠井潔氏、島田荘司氏、山田正紀氏のお三方が選考委員を終えられます。
島田さんは第8回からだから、大分長く関わっていらっしゃったんですよね。
本当にお疲れさまでした。
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設定と、主人公の軽い感じは嫌いではなかった。イケメン探偵も。
謎解きとしては今一歩な感じやったかな。
次回作に期待!
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【気がつくとあたしは演劇部の部室の床でのびていた。そのうえ八年間の記憶が失われ、現在あたしは母校で教師になっているらしい。しかも親友の実綺が高二の文化祭直前に亡くなっていたなんて!!!八年前と同様に学園内では、彼女の書いた脚本『眼鏡屋は消えた』の上演を巡るごたごたが起きている。実綺の死には何か裏がありそうだ。上演を実現し、自分の記憶を取り戻すため、元同級生の探偵に事の真相を探ることを頼んだ。あたしが最も苦手とする、イケメン戸川涼介に―。青春時代の切ない事件と謎を、リーダビリティ抜群の筆致で描くミステリ。第21回鮎川哲也賞受賞作。】
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赤川次郎のような女性主人公の語り口、後ろから頭を殴られた事で8年間の記憶を失う主人公、ニヒルなイケメン探偵、と設定は面白そうなのに、全く活かされていない感じ。オチも想定範囲内。現在、学生時代、さらに過去と話を広げ過ぎる。謎解きの部分での探偵が垣間見せた酷薄さをもっと語れせた方が面白かった。
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最初は主人公視点での描写が読みにくかったです。
主人公に共感も持てなかったし。
自意識過剰っぷりとイケメンのくだりがうっとおしい。
読み始めから怪しいな~と思っていた人物が結局犯人でした。
8年間の失われた記憶を取り戻すというのは面白そうだったのですが、
推理の時の会話からすると違ったようです。
というより、もっとそっちのほうをきっちり書いたほうが
社会派っぽくてよかったのではないかと思われる。
最初と最後はあんまりだったけど
途中の探偵パート(と言っていいのか?)は
それなりに面白かったので☆は3つで。
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第21回鮎川哲也賞受賞作。それなりに面白かったかな、て感じ。条件的に明らかに怪しいだろお前、な主人公が8年間の記憶を無くしていて、8年前の自分も容疑者として扱う、てのは面白いとは思う。でもなんかそこに引っかかっちゃ話が進まないのは判るんだけど、みんな記憶力良すぎ!てのがもやもや。8年前の1日のことを時間もしっかり記憶してるって…。最後、探偵が全員集めて…のシーンは良い意味で胸くそ悪く、なんかこのあたりを中心にした暗い物語読みたいな、と思ったら選評で島田荘司さんが同じようなこと仰ってた。
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鮎川賞。ここ3年の中では、一番NG。
主人公は気付くと演劇部部室に倒れていた。昨日まで高校生だったのに、いつの間にか教師になっている。記憶を失くしたまま、元クラスメイト涼介の力を借り、事件を調べ始める。どうやら殴られたのは「眼鏡屋は消えた」という劇を上演しようとしたことが原因らしい。8年前に同じ計画を立てていた時には親友が亡くなっている。犯人は誰だ?
文章が下手でちょっと辛い。ネタは悪くないから、編集でもう少しなんとかなるか。ちょっと中だるみしてしまう部分もあるし…
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気がつくとあたしは演劇部の部室の床でのびていた。そのうえ八年間の記憶が失われ、現在あたしは母校で教師になっているらしい。しかも親友の実綺が高二の文化祭直前に亡くなっていたなんて!!!八年前と同様に学園内では、彼女の書いた脚本『眼鏡屋は消えた』の上演を巡るごたごたが起きている。実綺の死には何か裏がありそうだ。上演を実現し、自分の記憶を取り戻すため、元同級生の探偵に事の真相を探ることを頼んだ。あたしが最も苦手とする、イケメン戸川涼介に―。青春時代の切ない事件と謎を、リーダビリティ抜群の筆致で描くミステリ。第21回鮎川哲也賞受賞作。
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う~ん、惜しいかな?
どうだろう?さらさらと読み終わったという感じ。
犯人というか、怪しいのはこの人だろうなと思っていた人がその通りで少し物足りない感じだった。
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鮎川哲也賞受賞作。いきなり八年間の記憶が飛んでしまった主人公が、突如として巻き込まれる過去の事件。一筋縄ではいかない設定と次々沸き起こる謎は魅力的なんだけど。……ひとつの事件の犯人に関してはすぐに見当ついちゃうのよね。それはちょこっと残念だったかも。
でも大きな驚きはなくても、ちくちくと論理を詰めていく部分はしっかり本格。ライトな読み心地も魅力のひとつかなあ。
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ライトノベルのノリのミステリー。その軽さが逆に魅力で、イケメン探偵もがんばっているが、犯人があまりにもすぐに分かってしまうのが残念!
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記憶障害になった主人公が、イケメン探偵と友人の自殺の真相を解明していく小説。
注目の本、雑誌紹介で興味を持ち購入。
推理小説として大変面白かったが、パズルのピースのように、全ての場面で当てはめれば、全貌が大方見えてしまって少し残念。途中から確認しながらの読み方に代わった。
犯人がある程度目星がつき、まさにその通りにきてしまった。
それでも記憶を取り戻しながら、真相にたどり着くという発想はとてもいかしたものだ。観点が少しズレているが推理小説の王道にのっとっているため自然に物語に集中できた。
ラストはもう少し書き足してもいいんじゃないかと思えた。
それでも今後の作品が楽しみな作家の一人です。
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2011年「第21回鮎川哲也賞受賞作品」とのこと。
学園ミステリーものなのだが、劇中劇とも言える文化祭上演予定劇『眼鏡屋は消えた』を巡って引き起こされた殺人事件の謎が、主人公の記憶喪失をきっかけによみがえる、、、
わざとなんだろうが、主人公役のヒロインや探偵役イケメンの性格設定が難点。これでは読み手の共感を得るのは難しかろう。ミステリーとしても、一方的な推論に基づく解決で、上出来とは言いかねる。そのあたり、巻末の鮎川賞選考委員たちの言葉にも表れているのだけれど、、、これを強力に推挙した人(一人だけいるのだが)の気が知れない。
300ページを越える分厚いこの作品を読み進めるは、実に難儀だった。
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見事に期待外れでした。
設定は面白いけど、謎を追っていく過程が回りくどくて挫折しそうになりました。
同じような仮説の検証がああでもない、こうでもない、と続くのにはうんざりします。
主人公や探偵にも好感が持てず、オチも微妙。