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- カテゴリ:中学生 高校生 一般
- 発売日:2021/11/11
- 出版社: 東京創元社
- サイズ:20cm/505p
- 利用対象:中学生 高校生 一般
- ISBN:978-4-488-01110-9
読割 50
- 国内送料無料
紙の本
ガラスの顔
生まれつき表情をもたず、〈面〉と呼ばれる表情をまとう人々が暮らす地下世界。そこに住む少女は、どうしても外の世界を見たくて家を抜け出すが、都市全体を揺るがす陰謀のただ中に放...
ガラスの顔
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商品説明
生まれつき表情をもたず、〈面〉と呼ばれる表情をまとう人々が暮らす地下世界。そこに住む少女は、どうしても外の世界を見たくて家を抜け出すが、都市全体を揺るがす陰謀のただ中に放り込まれ…。冒険ファンタジー。【「TRC MARC」の商品解説】
カーネギー賞候補作
名著『嘘の木』の著者が描く奇妙に歪んだ不思議な世界
生まれつき表情を持たず、≪面≫と呼ばれる
つくられた表情をまとう人々が暮らす地下世界で、
健気な少女が国をゆるがす陰謀に巻きこまれる。
地下都市カヴェルナの人々は表情をもたない。彼らは《面》と呼ばれる作られた表情を教わるのだ。そんなカヴェルナに住むチーズ造りの親方に拾われた少女はネヴァフェルと名づけられ、一瞬たりともじっとしていられない好奇心のかたまりのような少女に育つ。ある日親方のトンネルを抜け出た彼女は、カヴェルナ全体を揺るがす陰謀のただ中に放り込まれ……。『嘘の木』の著者が描く健気な少女の冒険ファンタジイ。カーネギー賞候補作。【商品解説】
著者紹介
フランシス・ハーディング
- 略歴
- 〈フランシス・ハーディング〉英国生まれ。オックスフォード大学卒業。「噓の木」でコスタ賞の児童文学部門、さらに同賞の全部門を通して大賞に選ばれ、ボストングローブ・ホーンブック賞も受賞。
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紙の本
架空世界と現代社会。
2021/12/27 13:09
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去翻訳された三作とは異なり、地下都市・カヴェルナと呼ばれる架空世界を舞台とした本作。
幼少期の記憶が無い主人公・ネヴァフェルの目を通して、その世界の文化や環境などが細部にわたるまで徹底的に描写されていく。
爆発するチーズや記憶を操作するワインなどファンタジー特有の非現実的な世界観を堪能できる。
しかし本作の作者はあのフランシス・ハーディングである。
架空世界を堪能させるだけで終わるはずがない。
本作もこれまでの著作同様、少女が世界に立ち向かうというストーリーとなっている。
世界そのものから虐げられ、誰も導いてくれない絶望的な状況であろうともフランシス・ハーディングの描く主人公たちは闘うことを選択するのだ。
他者からの承認や評価ではなく、己の内側から溢れ出す声のみを頼りに勇気と知性を振り絞りながら懸命に前を向く少女たちの姿に心打たれないわけがない。
また本作では<面>と呼ばれる後天的に身に着ける表情が本作の鍵となっていく。
<面>は富裕層と貧困層とで取得できる表情の数が異なるので、必然的に貧困層の人々は持ち得る表情の数が乏しい。
この持つ者と持たざる者の構図は、そっくりそのまま現代社会に当てはまる。
架空世界を舞台とした本作だが、過去作以上に現代社会の問題を浮き彫りにしていく。
そんな現代社会の縮図とも捉えることができる地下都市において、少女はいかにして抵抗するのか。
その手段や動機はもちろんのこと、本作で特筆に値する点は張り巡らされた伏線と謎が謎を呼ぶ展開だ。
なぜネヴァフェルの記憶は失われたのか、といった自らの過去を追い求める旅が地下都市・カヴェルナそのものの謎へと繋がっていく見事な展開には驚きを隠せなかった。
年間ベスト級のミステリーといっても過言ではない。
それほどまでに緻密に練り上げられた構成とあらゆるところに張り巡らされた伏線とに翻弄されてしまったのだ。
児童文学という枠組みを軽々と超え、数々の傑作小説を生み出すフランシス・ハーディング。
ファンタジーで世界を構築し、ミステリーとサスペンスで読者のページを繰る手を止めさせず、どれほど世界が残酷であろうと決して屈さない少女を描き私たちの心を打つ。
これほどまでに見事なストーリー展開で、私たちの奮い立たせてくれる作品はそうそうないだろう。