紙の本
ユング派心理学が身近に
2017/06/12 15:29
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投稿者:シフォン - この投稿者のレビュー一覧を見る
河合隼雄先生の亡き後、その影響を強く受けている著者がアニメーションを思春期の心の風景として語っている。平易な言葉でわかりやすい。ユング派の心理学への入り口として読んでみるのも面白い。
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・思春期は大きく変化する時期
・変化〜それまでの状態が終わる=死を迎える
・世界との一体感の幸せ→世界の切れ目に惹かれ、親の裏の顔に気がつく
・異界との触れ合いで自分自身の存在理由を探して行く物語
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本書は思春期のこころの動きを、宮崎アニメに投影して解きほぐしています。スクールカウンセラーとして活躍されてきた岩宮さんの経験として、思春期の子供たちのカウンセリングの場面で、宮崎アニメについて物語るケースが多いそうです。アニメの深い部分で子供たちの心のゆれと繋がる部分を読み解いています。
「好きなのにはわけがある」。読んでみると宮崎アニメだけではなく、なぜ私たちが子供の頃、ファンタジーの世界に浸っていけたのか分かるような気がします。宮崎アニメがここまで意図して作られているかは別として、私たちが物語りの世界に惹かれる理由が分かります。
幼い子にとっての母性との一体感、それを得られない場合のファンタジーの役割と重要性。
(となりのトトロ)
少し大人に近づいて、思春期の入り口に立つとき、それまで守られてきた母性から外へ出て行くために必要な、自己意識の芽生えと絶対的存在であった親の再認識。
(千と千尋のものがたり)
大人になるための通過儀礼を、個人の心の中でこなさなければいけない場面でそれまでの秩序を壊して、思春期の呪いを解いていく不安定さ。
(もののけ姫)
自分と外部との違いを意識し始めたころの、外見イコール内面の呪い。
(ハウルの動く城)
カウンセリングの時には、多くの子供たちから話に出てくるそうです。「ヤックルが欲しいなあ、ヤックルがいたら一人でもさびしくない」「ハク、超いい。あんなふうに言ってほしい」
不安な思春期を通過できるように、千尋の不安を理解し変化を受容できるハク、出口のない不安にもがくとき、アシタカによりそうヤックルのように、全てをを肯定できるような静かな理解者になれるか?
思春期の心の動きを扱った本として、もう少し読み込んでみたい。
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ジブリ作品(千と千尋、トトロ、ハウル中心+魔女宅、もののけ)と思春期の親和性について、臨床心理士の立場から。
ジブリ研究・分析自体は数多あれど、そして本文でも述べられているように必ずしもこの著作での分析だけが妥当な読みではないにしろ、「アニメについて、こういう『読み』ができるんだよ」という切り口の見せ方が分かりやすかったので、むしろ中高生にこそ読んで欲しい1冊。
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宮崎アニメのうち【となりのトトロ】【千と千尋の神隠し】【もののけ姫】【魔女の宅急便】【ハウルの動く城】をとりあげ、思春期や思春期周辺の特有なココロの変化と”ありよう”について分かりやすく解説されている。
著者は島根大学教育学部教授で臨床心理士の岩宮 恵子先生。
冒頭には、宮崎アニメではなく、【海のトリトン】が紹介されており、著者と物語の関りようが示され、読者も何となく岩宮先生の心情を追体験できる。
物語の捉え方は様々で、この本でもそのように紹介されている。
この本の他にも宮崎アニメでは様々な解説が加えられているだろう。
たとえば、青木汎(あおきひろし)氏の『宮崎アニメの暗号』という本も、多くの文献と照らし合わすことで宮崎アニメの”仕掛け”についてかなり深い考察をされている。
ただ、この本の特徴は、著者自身がされているように、どこにも”ぼくたち/わたしたち”が投影できるように感じることができる。
一般論のみではなく、自分のコトとし、あるいは、そこにいる実在の人間について、生々しく語られているのを感じる。
恥を忍んで、そして無礼を承知で言わせていただくなら・・・
『ところどころ自分をさらけ出す岩見や先生に、(*´∀`*)モエーとなりました。』
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【内容(「BOOK」データベースより)】
思春期相談室の現場で、どうしてこんなに宮崎アニメの話が出るのか。そんな疑問から、臨床心理士としてのこの分析は始まった。子どもから大人になるときの、言葉にできないさまざまな想いが、「どうしてそれが好きなのか?」から、スリリングにひもとかれる。
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【目次】
序章 思春期と喪失―『海のトリトン』をてがかりに
第1章 となりのトトロ―世界との一体感に包まれて
第2章 千と千尋の神隠し1―親がブタになったとき
第3章 千と千尋の神隠し2―世界と自分を取り戻す
第4章 もののけ姫と魔女の宅急便―「思春期の呪い」をとく
第5章 ハウルの動く城―私が私でいるために
終章 思春期がもたらすもの
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思春期に観て、筆者の心に強烈な印象を残した「海のトリトン」。臨床心理士になった彼女が読み解く「どうしてあのアニメに惹かれたのか」。思春期のこころと物語の関係は・・・?
ジブリアニメの持つ不思議な魅力を取り上げ、どうして繰り返し観たくなるのか。なぜ心に響くのか。そのワケに迫る。
「となりのトトロ」
母性の欠如とそれを求める子の暴走、一体感と温もりで癒されるこころ
「千と千尋の神隠し」
自己意識の芽生え、親がブタに見えるとき、ハクの温かい支えの言葉、名前という「呪」、自己の覚醒
モノをばらまいて関心を持ってもらおうとするカオナシの淋しさ、問題を抱え込んでオクサレサマ化してしまう神や、反抗期や虚しさから暴れるカオナシ・・・
湯婆婆(過保護で子供の自立を妨げる母性)と銭婆(子供の自立を支える母性)が示す人間の二面性
「もののけ姫」
アシタカの受けた死のアザの呪い(思春期のキレやすさ、暗い衝動)、旅に寄り添うヤックル(不安なとき、そばにいて変容を見守ってくれる存在)
「魔女の宅急便」
無邪気で元気いっぱいだったキキが思春期を迎え、飛べなくなり(一時的な死)、ジジとの会話もできなくなる
「ハウルの動く城」
ソフィーの呪い(コンプレックス、こころを閉ざす、自信のなさが外面に影響する、自己への否定的な暗示)
ハウルの呪い(外見を取り繕いすぎる、自意識過剰、城の汚さとの混沌、いくつもの名前やペルソナを使い分ける、こころと体の離脱)
「風立ちぬ」
思春期の夢(憧れ)、自立と自由
自身の思春期について振り返れば、なんだかイタかったなぁという思い出も幾つか。変に親に突っかかってみたり、妙にビジュアル系バンドに傾倒したり(この頃のV系は血、暴力、死を扱う歌詞多し)、黒歴史もたくさん。
思春期ってほとんどの人にとっては自己をコントロールしきれない時期なんですね。。
分析はともかく、ジブリ映画を観返したくなります。
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図書館より。
何故ジブリアニメが好きなのか、分かった気がする。
臨床心理?から深読みするのも興味深い。
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あくまで筆者の個人的なジブリ作品に対する見方にすぎないだろうと思うけれど、なるほど確かにそういう風にも思えるなーという部分はたくさんありました。
ファンタジー世界を描くことはできるけれど、結局は現実に立ち向かわなければいけないよ、という作品はやはり良いものだと思う。
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http://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB14236141
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2014/9/16
371.47||イ (5階社会科学)
トトロで癒されるのはなぜ? ハクに励まされるのは千だけじゃない。 キキはどうしてもう一度飛べたのか。
宮崎アニメ作品から、子どもから大人になるときの、言葉にできないさまざまな想いを、臨床心理士の著者が分析。
この本を読めば、必ずもう一度宮崎アニメが観たくなる
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昔読んだ本。なかなか面白い。
小学4年くらいからいわゆる思春期の子どもがいる人にオススメ。
…なるほど。宮崎アニメ…うぬぬ!そ、そうだったのか。…そんなに奥深かったとは!
カウンターを食らったのは、第二章の「千と千尋の神隠し1 親がブタになったとき」である。
この映画は、千尋の一家が引っ越しのために新しい土地へと父親の運転する車で移動しているところから始まる。そして、千尋一家は不思議な世界に迷い込んでしまうわけだが、この設定こそが「子どもが思春期に入ろうとしている不安定な移行の時期のイメージ」…なんだとか。
自分と世界との一体感に無条件に幸せを感じていた時期から、突如「自己意識」に目覚め、日常の「切れ目」にふと気づく。
千尋のお父さんが道を間違えて、どんどん怪しいところに入って行く時にも、千尋は心配になり「お父さん大丈夫?」と聞いているのにお父さんときたら「まかせとけ。この車は四駆だぞ」とかワケ分からないことを言うのです。
そして、トンネルを抜けた先の町の居酒屋で、千尋の両親が、店の人がいないのにカウンターにあった料理を勝手に食べ始めてしまうシーン。
「お店の人に怒られるよ」と千尋は両親をたしなめるのだが、「カードも財布も持ってるから大丈夫」「千尋も食べな」と取り合わない。
呆れた千尋がそばを離れ、その辺をブラブラして戻ってみると、なんと両親は卑しくガツガツとものを食べ続けるブタに変わっていたという…。
これは、親の人間としての弱さや自分勝手で裏表のある汚い面を見たとき、子どもの目には親がブタに見えるということの現れらしい。
完璧で素晴らしい人間だと信じて疑わなかった自分の親の影の面に気づいてしまった子どもは、強い不安と孤独を感じるそうです。
両親はブタになってしまうし、よく分からない妖怪みたいのがどやどや来るし、千尋はもうどうしていいか分からない状態に…。
そこに登場するのがみんなのアイドル・ハク様♡です。
ブタになった両親を元に戻すため、ハクと千尋は「油屋」へ向かうのですが、橋を渡る際、ハクは千尋に息をしてはいけない(人間だとバレるから)と言います。
けれど、急に現れたカエルにビックリして、千尋は息をしてしまうのです。
そのとたん、周りは大騒ぎ。
「気づかれたな」と、つぶやくハク…。
「ごめん。私、息しちゃった」と千尋…。
さて、その後ハクは間髪入れずにあるセリフを言うのです。
この時のハクのセリフを、著者のいる相談室に来る子の何人もが話題にしていたそうです。
「ハク、超いい!あんなふうに言ってほしい」ってね。
確かにあそこで、あの場面でそんなこと言われたら
惚れてまうがなー。(੭ ˃̣̣̥ ω˂̣̣̥)੭ु⁾⁾
私は全然覚えてなかったのだが、ムスメにこの映画について聞いたら、驚くほど細部まで覚えてました。友達からの手紙にちひろの名前が書かれてあったことや、トンネルに入る前にほこらや鳥居があって不気味だったこととか。そしてもちろん、ハクの台詞も。
私(大人)なんかが見過ごしてしまうようなシーンも、子どもの琴線にビンビンに響いていたと。面白いなと思いました。
その他にも、オクサレサマの対処を千尋に任せながら、ちゃんと見ている湯婆婆や、その反面、湯婆婆は自分の子ども(坊)に対しては「自立を妨げる母性」になってしまっていたり、千尋が油屋で働くというのは、親の借金をカタに風俗(湯屋)に身を落としたという都市伝説やら、産廃問題まで…。
なかなか盛りだくさんな内容で、何度「なるほど!」と膝を叩いたことか。
………さて、ここまできてハクの台詞はなんだったのか言わないつもりかコノヤローという人もいると思うのでw、書いときます。
「ごめん。私、息しちゃった」と謝る千尋に、ハクがかけた言葉とは………!!!
「いや、千尋はよくがんばった」
こんな台詞をさらっとクールに言ってのけて、そのあとすぐに、これから千尋がしなくてはならないことについての具体的な話に入っていくのですけど
ハク、カッコ良すぎだろーーー(ノ*'ω'*)ノ~~~~♥) ◜◡‾)
もう一度観たくなってしまった。
やっぱジブリってすごい。
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さくっと読めて面白かった。思春期に思いをはせたが、その通りと思う部分と現実は本当に大変だよなと思う部分とある。面白かったのは、トリトン以外のアニメの筋がある程度、頭に入っていて、その深読みになるほどと思えたからだろうな。
・サンタクロースをいくつまで信じることができているのかというのが、その人の幼少期の幸福度を示すバロメーターになる。
・子どもの成長には、愛情に加えて、敬意が必要。
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ふむふむ、何かよくわかるなーとおもったら、河合隼雄の本を読み漁った心理学者らしい。
私もかじったので、知識の定着に役立った。
河合隼雄先生の本よまなきゃなー
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心理カウンセラーをしている友人に勧められて読んだ一冊。宮崎アニメはほぼ観ているのでとても面白く読めた。著者の岩宮恵子さんの本は子供たちをカウンセリングする中から生み出されたものなので、重みがある。
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http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480689092/