紙の本
偶然が多過ぎるが、筋立てに無理がなく安心して読める小説
2011/12/04 21:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は浅見光彦シリーズの一つである。所謂旅情ミステリーのカテゴリーに含まれるものである。すなわち、旅情とは言うものの、その土地土地で殺人事件が発生し、それに浅見が噛んで事件を解決に導くという大まかなストーリーはワンパターンなのである。
この物語のポイントは、随分昔に北陸の海辺の町で起きた反戦騒動に端を発していることである。相当昔に起きた事件であるが、それが数十年後の現代に殺人事件となって再び表沙汰になる。
本書のキャッチフレーズは、「名探偵・浅見光彦の推理行。三浦半島から北陸・金沢へ」である。三浦半島でなくともどこでも物語は成り立つので、作家にとっては便利であるように、その構造を作り上げたのであろう。三浦半島の南側半分のうち、東側は追浜、横須賀などがあるが、西側は鉄道も通っておらず、静かな海岸が連なっている。
マリーナや漁港などがある。これらの地理的な描写や説明があるが、この部分に引きつけられて読者は訪れる気になるのであろう。内田は故意にぼかして書く場合が多く、位置関係などははっきりと掴めないように書かれている。
冒頭でワンパターンとご紹介したが、あまり決まっていてはいけないということか、多少いつものパターンが崩されているようである。パターンはともかく、内田の小説は、展開の予想がつかない点で意外性が感じられるが、最終的には全体の辻褄があっているので、不自然な印象は残らない。
こういうスタイルは探偵小説だけではなく、他の分野でも活かせるような気がする。もうあまり流行らないが、国際的なスパイ小説などは如何であろうか? 小説には多様なジャンルがあるが、近年、ストーリーの論理立てがしっかりしている小説は受けているのではないかと思う。
本書はいつものように偶然が多過ぎるが、同じくいつものように楽しめる小説であるとともに、安心して読める小説であった。
電子書籍
浅見光彦シリーズ
2022/09/27 16:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
大体、浅見光彦シリーズは、面白いのですが、これも例にもれず。過去の出来事から、何年ものちに、それが殺人事件へとつながっていきます。これは、タイトルがいいと、読み始めましたがトリックは……
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私が勤めているカフェで、いつも本を片手にコーヒーを飲んでいる常連さんがいる。
いつも通り、何の本を読んでいるのかで会話をしていたのですが、「たった今、読み終わったから貸してあげる」と、この本を手渡された。
内田康夫の本は初めてでした。きっと、自分では手にとることのない本だったと思うけど、こうやって私の元にやって来たことに縁を感じます。
読んでいて、「浅見光彦!!」ってなりました。著者の内田康夫の名前よりも、浅見光彦という登場人物の方が、自分の中ではよく聞いた事がある名前でした。
そういえば、よくテレビ番組欄で目にしてたな~。ドラマは見たことないけどw
ストーリーはなかなかおもしろかったです。登場人物が魅力的ですね。
そして、金沢が舞台となっていて、私が昔行ったことがある「赤玉本店」とか、「内灘」とか、知っている箇所が何度も出てきて嬉しくなりました。
内灘の海水浴場は何度も行ったことがあるけど、過去に内灘紛争があったことなど知らなかったので、大変興味深かったです。
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泉鏡花の「草迷宮」のモデルになった旧家の老人が石川県「安宅の関」で死体となって発見される。
ここ数年、自分が読んできた浅見ものは、公式には犯人がうやむやのまま終わるお話が多かっただけに、犯人に同情の余地なしの普通に逮捕されるエンディングは、少々がっかりともいえるし、ほっとしたともいえる。
あと、身分がばれて、手のひらを返すような待遇変化もなかったような。
最新の単行本は読んでいないのでわかりませんが、マンネリ打破ということでしょうかね。
「草迷宮」は、どうなったんじゃ?というか、何か関係あったのかい?と言いたくなるような読後感でしたが・・・
(2011/10/27)
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珍しく印籠が使われず、ヒロインにもフリールポライターのままの光彦で物語が終わるという作品。
葉山~横須賀あたりの作品で土地に少し馴染みが…と思っていたらメインは石川。
「かほく」は先日出張で行くかも?という候補の場所だったので(別の人がいった)、行っていればイメージしやすかったなぁなんて思った。
学生闘争は話題として身近ではないが、もし自分たちの時代がそういう雰囲気だったらば、自分はどういうスタンスだっただろうかなんていうことも思いを馳せる一冊だった。
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2月-7。3.0点。
横須賀から鳥取の砂丘へ。50年前の出来事が鍵。
相変わらずの浅見節。さらっと読める。
今回は賢兄との関係がバレず。
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三浦半島から金沢へ、素性がバレず、登場人物も多めの珍しい作品ですが、浅見光彦の真実を追うところは変わりません。
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久しぶりに浅見光彦読んだけどやっぱり面白い。作者はプロットを考えずに書いてるらしいがきちんと破たんが見えずに帰結するんだからすごい。ま、本当のミステリファンからすればあり得ないシリーズなんだろうけどね。とはいえ旅情、街の雰囲気、空気を書かせたら素晴らしいと思うのでこのシリーズは好きなのである。
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何だかあっさりした印象。
兄との関係もばれぬまま事件解決。
内灘のエピソードが、違ったものだったらどういう展開になったのか、
そんなことを考えてしまった。
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久々に浅見光彦シリーズを読んでみた。自分的にはタイムリーに泉鏡花ネタ。珍しく最後まで陽一郎さんの弟であることがバレてなかったwww
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良くも悪くも無駄がないねー。
これは大事な布石か、と飛び乗ったのに、
全然本筋に関係ないじゃん、ただの横道っていう木の板かよ、
ズブズブズブーみたいなことはまったく無い。
(あ、はまってるのは泥沼ね。)
鉄板の安心感。
内灘闘争なるものは、全く知らなかったので、
気楽に読めたのかも。
そして、
浅見光彦の正体(?)がばれない、珍しいパターン。
たまには、これもありかも。
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何故か紹介DVDがついていたので購入してしまいました。面白いなぁ。
えー、須美ちゃんまつさき泊まったの、いいなぁ。
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文豪・泉鏡花の小説『草迷宮』のモデルになった神奈川県三浦半島の旧家でルポライター浅見光彦が取材をした老人は、「金沢へ行く」と言い残して数日後、歌舞伎の「勧進帳」で知られる石川県「安宅の関」で死体となって発見された。浅見は死の真相に近づくため金沢へ向かうが、老人の足跡は意外な場所で途切れていた…。傑作旅情ミステリー、待望の初文庫化。
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浅見光彦シリーズはなんていうか、ある意味もう鉄板で、毎回浅見と一緒に、事件にまつわる土地の歴史を学ぶ気持ちになる。そこが好き。
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人生初の内田康夫本。
先月金沢に旅行にいったとき、金沢駅の書店で買った。
内田康夫=スカスカの本というイメージを持っていたので、今まで読んだことはなかったが、読んだら読んだで、意外と面白かった。旅先の風土や郷土史なんかちょいちょい挟んでくるし、名所名産もわかるし、旅情ミステリーという分野の面白さがわかった。
内容的には小松空港と自衛隊基地の建設当時の実際にあった反対運動に関わる殺人事件。
謎解きは簡単過ぎて触れる気にもなれないが、たぶんこの2時間ドラマに収まるパターン化された単純さが心地良いんじゃないだろうか。
最近、旅行に行くたびに、ここは寅さんも来たのかな?と気になるのだが、寅さんもパターン化した展開で季節の風物詩みたいな感じがある。内田康夫の作品もそんな感じなのかなと思う。寅さんのお決まりは失恋だけど、内田康夫のお決まりは殺人。ストーリー展開が読めるというのはいい部分もある。
可能性は限りなく低いけど、もしかしたら死ぬ前にもう一度くらいは内田康夫作品を読むかもしれない。