紙の本
大阪のこなもん、おそるべし。
2012/01/24 08:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チヒロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
馬子は本名・蘇我家馬子(そがのやうまこ)。
所謂デブで、とれかけのじりじりパーマでときには凶暴な大阪のオバちゃんだ。
馬子にこき使われる使用人の少女がイルカ。
どつかれようが、何されようが黙々と働く娘。
この二人が、ある時は宗右衛門町、またある時は天神橋筋商店街などに、
ある日忽然と現れる、きたなシュランにノミネートされるような汚い店。
看板には「こなもん全般 なんでもアリマ記念」とかなんとか書いてある。
お好み焼き、うどん、ピッツア、豚まん、その時々で専門は違うけど、
どれも絶品であることは間違いない。
馬子・イルカの大化の改新コンビが、ふらっとやってきた客の、様々な悩みを解決してみせる。
大阪ならではのボケ・突っ込みも盛りだくさんの、まちがいなくB級なミステリ。
そしてこのこなもん屋、ある使命を果たすと、その後忽然と姿を消すのですよ。
後日、世話になった人間が訪れると、もうそこに在った形跡すらなく、
周囲の人も誰もその存在の在ったことすら知らない。
狐狸妖怪の類でもないのだろうけど、「こなもん」の神様が式神を連れてやらかしたとしか思えないようなお店、
ちょっと行ってみたい気がする。
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悩みを抱えた人が吸い寄せられる「コナモン」料理の店 馬子屋。
お好み焼き、たこ焼き、うどん、ピザ、焼きそば、豚まん、ラーメン…、どれもおいしそうで、一度は食べてみたくなる。空腹時にはお勧めできない本である。
笑酔亭竜吉や松茸芸能など、梅寿謎解噺シリーズとも絡んだ名前も出てきて、ついニヤリ。梅寿と馬子が対決したら凄いことになりそうだ。
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大阪のちょっと不思議な「こなもん屋」を舞台にした短編集。心に病を抱えた客が引き寄せられるように入った「こなもん屋」の主人・馬子(うまこ)が出す素朴だが絶品の料理で何時しか心の病が癒えてしまうが、お礼を言おうと後日訪れると店ごと消えてしまっているというのが全編共通のプロット。
ある時はうどん、ある時はタコ焼き、ある時はお好み焼き、と出す店の料理は変わるが馬子の浪花のおかんキャラクターは変わらない。そして店前に置いてある看板の書き間違いとそれに対する客のツッコミは不変。これがこの短編集の「形式美」とでも言えるものなので、存分に楽しんで貰いたい。
馬子が店にやってきた訳有りそうな流しの歌手にギターで伴奏させ唄うは「俵星玄蕃」というのが三波春夫の長編歌謡浪曲集を最近買った自分にはたまらなくウケた。果たしてその馬子の正体は?読み終えるとなぜか少しだけ幸せになれる物語。
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内容紹介
大阪の「こなもん」料理でお悩み解決!
悩みを抱えた人々が、吸い寄せられるように入った店には、「コナモン全般」と書かれた
看板と、でぶっと太った、どの方向から見ても文句無しの「大阪のおばはん」が……。
お好み焼き、たこ焼き、うどん、ピザ、焼きそば、豚まん、ラーメン…
蘇我家馬子(そがのやうまこ)がつくるどういうわけか絶品のひと皿と、店で展開される
ドタバタ大騒動が、来る客みんなをなぜか幸せな気分にしてしまいます。
読んだら無性に食べたくなる、やみつき必至の爆笑B級グルメ・ミステリー!
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大阪の「こなもん」料理でお悩み解決!
悩みを抱えた人々が、吸い寄せられるように入った店には、「コナモン全般」と書かれた
看板と、でぶっと太った、どの方向から見ても文句無しの「大阪のおばはん」が……。
お好み焼き、たこ焼き、うどん、ピザ、焼きそば、豚まん、ラーメン…
蘇我家馬子(そがのやうまこ)がつくるどういうわけか絶品のひと皿と、店で展開される
ドタバタ大騒動が、来る客みんなをなぜか幸せな気分にしてしまいます。
読んだら無性に食べたくなる、やみつき必至の爆笑B級グルメ・ミステリー!
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「豚玉のジョー」 「たこ焼きのジュン」 「おうどんのリュウ」 『焼きそばのケン」 「マルゲリータのジンペイ」 「豚まんのコーザブロー」 「ラーメンの喝瑛」
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建物と建物の隙間から滲み出てきたようなちっぽけで汚い店構えのこなもん屋「馬子屋」が舞台である。とはいっても、この店、決まった場所にあるわけではない。それぞれのタイトルにもなっている迷える男が、酔った挙句に迷い込むようにして見つけ、その味にほれ込んでしばらく通う内に、ほかの客の持ち込んだ厄介ごとを解き明かし、それに連れて男の抱えている問題まですっきり解決してしまうと、いつのまにか跡形もなくなっているのである。店主の蘇我家馬子もただひとりの店員・イルカも果たして実在するのだろうか、と関係者全員が疑うのだが、あるときまたどこかで、酔って迷い込む男がいるのである。見るからに大阪のおばちゃん然としているが、料理の腕前といい、腕っ節といい、鋭すぎる洞察力や推理力といい、ただ者ではない。きょうも大阪のどこかでおいしそうな湯気を立てながら他人の厄介ごとを解決しているのだろうな、と思わされる一冊である。
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ある日ふらっと立ち寄ったコナモン屋に通い詰めるうちに次第に悩みが解決されて行くという基本線は全話同じ。
連載物ならそれでもいいけど、せっかく単行本なのでうまくまとめて欲しかった。
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「こなもん」とは,小麦粉を使った料理の総称を指す大阪弁で,お好み焼きやたこ焼き,うどんetcがあります。
馬子は,こなもんを営む女主人の名前。この馬子の風貌たるや,本の中の一節から引用すると「肉襦袢を着たような肥えかたをした中年女性が,煙草を吸いながらこちらを見ているのです。まず,その髪型に驚きました。ごわごわの髪質に粗いパーマをかけ,前衛彫刻のようなねじり方をしたうえ,水色に染めているのです。関西のおばはんに共通する「どういう美的センスをしているのかわからない」セットのしかたです。シャツにプリントされた巨大なジャガーの顔面が・・・」といった感じ。
お話は,こんな強烈な個性の持ち主の馬子とそのお店に訪れるお客さんとのエピソード。「豚玉のジョー」,「たこ焼きのジュン」といった食欲を誘うタイトルの短編が7つ入っています。
関西のノリの笑いがあるのは当然,一方で訪れるお客の悩みや謎を解決していくというちょっとしたミステリーの要素をあります。
とにかく,でてくる「こなもん」の旨そうなこと。行ってみたくなること間違いなしです。
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大阪が舞台の人情小説。
笑いあり、食あり、涙あり、まさに舞台劇。
お腹が空いてきた。無性にこなもんならなんでも食べたくなった。
中毒。
登場人物が全員好きになってしまう。どんな職業の人で、どんな境遇なのかわくわくしながら読んだ。
たまにはこういう人情小説も悪くはないな。
コミカルな笑いに通じる箇所があった。
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こてこての大阪風ジョークがたっぷり詰まった話。
7つの短編はいずれも食い倒れの町・大阪のソウル・フード「こなもん」を題材に、妙ちきりんな女主人・馬子と常連客のやり取りで笑わせてくれる。
田中さんらしい、くすぐりと駄洒落、いかにも大阪と言うべきボケと突っ込みのやりとりがリズミカルに繰り広げられる。
各話共に読み切りで、それぞれに登場するノンベエの語り手たちが馬子の屋台との唐突の出会いと、そこで常連になるまでのいきさつ、そして引き起こされる印象的な事件を語っていく。
ニックネームまで付けられる常連客になったと思いきや、いつの間にか消えていく馬子とのその使用人イルカに思いをはせるという構成だ。
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初めの三編はおもしろかたなぁ
あとになるほど
さすがに 無理があるかな
と 思ってしまった
ただ
田中啓文さんの
発想力と着眼点は
相変わらず 魅力的です
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長女にススメられて読んだ本。
お好み焼きと、たこ焼きと、うどんと、ピザが食べたくなる本。
でも…最初の2編くらいは良いけど、
後半は、パターンが一緒で、飽きるかな。
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7つの短編連作集。
なんでもありマッセ…ありま温泉…ありま記念…アルカポネ。
すげえ美味しい豚玉、マルゲリータが食いたくなる事必死…つーか食いたい!
馬子さんには認められてないもんじゃ焼きも好きなのよね僕は…。
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不思議な「こなもん屋」を巡る、ややミステリでとてもコミカルな連作集。こなもん屋の店主・馬子のキャラがそりゃもう強烈。大阪のおばちゃん万歳、と叫びたくなってしまいます(笑)。
そしてそこで供される料理の数々がなんともいえず美味しそう。庶民的で凝っていないはずなのに、それがB級グルメというものなのかな。
店を訪れる客たちの「正体」が明かされるのは、完全にミステリとしての楽しみです。お気に入りは「マルゲリータのジンペイ」。とても痛快で爽快でした。
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ピザや豚まん、ラーメンまで小麦粉使ってたら「こなもん」なんですね。
帯にB級グルメミステリって書いてるから一応ミステリでいいのかな?
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馬子という、
どえらい大阪のおばちゃんが営む、
こなもん全般を扱うお店。
店は、お世辞にもきれいとは言えない、ぼろぼろな佇まい。
しかし、心に何かしらの引っ掛かりを持つ者達は、引力に導かれるかのように、その店へと入ってしまう。
詳しい事は書けないけれど、
不思議で痛快で、
さりげなく奥が深いなぁと思いました。
馬子さんのこなもん料理、
凄く美味しいんだろうなぁ。
こなもん好きなので、
惹かれてしまいます。