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商品説明
東京郊外の桃山町は、不思議の起こる町として知られていた。小学6年生の千葉空良と同級生の河邑ユーキ、紺野アランの3人組はワンダー3を結成。算額絵馬で知られる百山神社など、町の神秘をさぐることになった。それを機に起きる偶然の暗合—高等数学が得意な謎の転校生、担任の先生からもちかけられた算数宇宙杯への出場。空良たちはさらに、素数の性質、ゼータ関数の定義を経て、ファンタジックな世界へといざなわれていく…。【「BOOK」データベースの商品解説】
小学6年生の空良たち3人は、不思議の起こる町として知られる桃山町の神秘をさぐることに。それを機に偶然の暗合が起こり…。宇宙と神秘のミラクルワールド。『月刊ジェイ・ノベル』連載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
川端 裕人
- 略歴
- 〈川端裕人〉1964年兵庫県生まれ。東京大学教養学部卒業。日本テレビで科学技術庁、気象庁などの担当記者を経て、98年「夏のロケット」で作家デビュー。ほかの著書に「エピデミック」など。
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紙の本
解けなくても鑑賞できるんだ!
2010/07/02 22:21
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
うーむ、困った。どう評して良いかよく分からないのである。僕には一知半解であったが、これは読んだ僕が悪いのか、書いた作家が悪いのか…。
数学に材を得た、小学生を主人公としたファンタジーであり、数学世界への冒険譚である。で、出てくる数学がゼータ関数だのリーマン予想だの、ちょっとやそっとではない難しさである──と言うよりも、現代数学最高峰の難題を扱っているのである。そんな本を選んでしまった僕が悪いのか、あるいは、こんなテーマに挑んでしまった作家が悪いのか。
ともかく、少なくとも数学の部分は生半可にしか解らない。恐らくこの小説を読んで面白いのは僕より遥かに数学的なレベルの高い人だろうと思う。そういう人であれば、読みながらニッと笑えるのかもしれない。そして、そういう人にとっては、この今イチ脈略がないようなストーリーも、多分数学を介することによって、もっと繋がりの良いものになるのではないかと思う。逆に数学が全く理解できなければ、この物語は奇想天外どころではなく、単なる荒唐無稽に堕ちてしまうだろう。
上に書いたように、主な登場人物は小学生である。いくら数学の天才と言っても小学生にオイラー積だの複素平面だのはあんまりだろうと思う。ただ、主人公であり、メインのキャラの中で一番数学に弱い空良が求められるのが、問題を解くことではなく問題を鑑賞することなのである。このへんのこと、つまり、解けなくても鑑賞できるんだ、という感じは読んでいて非常に伝わってくる。そういうことができる虚心坦懐な主人公を想定しようとすれば、必然的に小学生になったのかもしれない。
そして、その鑑賞するという心構えは恐らく作者の心構えなのであって、その心構えがこれほどまでに独創的な物語を産んだのだと思う。言わば作者は高度な数学を解する脳と、邪念なくそれを鑑賞できる澄んだ心の両方を持っているのだと思う。となると、そういう人の書いた本を凡人が理解しがたいのはある意味当然ではある。解らないながらも、曲がりなりにも何がしかの面白さを感じ取った僕は、むしろラッキーな読者であったと言うべきなのかもしれない。
それ以上はちょっと言えない。結構面白いか全然面白くないかは読んだ人がそれぞれ判断してほしい。
by yama-a 賢い言葉のWeb