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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.1
- 出版社: 実業之日本社
- サイズ:20cm/258p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-408-53543-2
紙の本
おはぐろとんぼ 江戸人情堀物語
著者 宇江佐 真理 (著)
堀の水は、微かに潮の匂いがした。静かな水面を揺らす涙とため息の日々に、ささやかな幸せが訪れるとき—下町の人情を鮮やかに映す感動の傑作短編集。【「BOOK」データベースの商...
おはぐろとんぼ 江戸人情堀物語
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商品説明
堀の水は、微かに潮の匂いがした。静かな水面を揺らす涙とため息の日々に、ささやかな幸せが訪れるとき—下町の人情を鮮やかに映す感動の傑作短編集。【「BOOK」データベースの商品解説】
静かな水面を揺らす涙とため息の日々に、ささやかな幸せが訪れるとき−。表題作をはじめ、「ため息はつかない」「裾継」「隠善資正の娘」など、下町の人情を鮮やかに映す6つの短編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
ため息はつかない | 5−44 | |
---|---|---|
裾継 | 45−86 | |
おはぐろとんぼ | 87−130 |
著者紹介
宇江佐 真理
- 略歴
- 〈宇江佐真理〉1949年函館市生まれ。函館大谷短期大学卒業。95年「幻の声」でオール讀物新人賞、2000年「深川恋物語」で吉川英治文学新人賞、01年「余寒の雪」で中山義秀文学賞を受賞。
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紙の本
ささやかな幸せを求めるあなたに恰好の一冊。
2009/03/02 17:25
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
月刊ジェイ・ノベルに連載されたものを単行本化。
副題に“江戸人情堀物語”とあるように“堀”に因んだ6編からなる短編集。
宇江佐さんらしい健気な登場人物がとっても印象的で、宇江佐作品の特徴でもある“読後、幸せな気持ちに浸れる”作品でもある。
どの作品も一生懸命前向きに生きている人たちが登場、読者の背中を押してくれる。
一気に読むのがもったいないような気がするのですね。
どれも甲乙つけがたくいいのだけど、やはり表題作「おはぐろとんぼ」が秀逸。
料理人の亡き父・長蔵に育てられた“おせん”は 女であるがゆえに料理人として一人前に見てもらえないのであるが、上方からやって来た銀助父子によって遅ればせながら人生が変わっていく話。
自分の過去と銀助の娘である“おゆみ”に前向きに照らし合わせていくところが素晴らしい。
亡き父親の愛情のしるしが“おはぐろとんぼ”なのである。
あと、展開的に驚かされ結果として兄弟愛を読者に示してくれた「日向雪」。
グッときました。
少し言わせてもらえれば、それぞれの登場人物が魅力的すぎて、読者が感情移入し過ぎてしまい、ちょっとそれぞれの話の枚数が足りないように感じるような気がするのですね。
人によったら余韻に浸れるとも言えるし逆に腹八分目、いや腹七分目ぐらいとも言えそう。
どうしても宇江佐さんの他作と比べてしまい・・・凄く贅沢な意見ですね(笑)
やはり読者の求めてるハードルが高いというのは作家にとってもプレッシャーなのでしょうか。
最後に、宇江佐作品を読めばいつも思うのであるが、作中の女性主人公って宇江佐さんの分身じゃないだろうかって思うのですね。
その“ひたむきさ”を少しでもおすそ分けしていただけたら本当に有益な読書となるであろう。
下記は“Chunichi BookWebに掲載された自署を語る”である。
作者のひととなりが十分に伝わったので一部引用掲載したいと思う。
<世の中が不景気なので、自分の新刊が出ても、誰が買うのだろうと他人事(ひとごと)のように思ってしまう。
生活費を倹約するために図書館で借りて読んでますと、張り切って言われても作者としては困惑するばかりだし、文庫になるまで我慢するというのも何だかなあと複雑な気持ちになる。本代が読者の負担にならないよう早く景気が回復してほしいものである。>(Chunichi BookWebより引用)
個人的な意見だが、現役時代小説作家でしっとりとした人情小説を書かせたら宇江佐さんの右に出る人はいないと思っている。
現在まで約40作品上梓、本作に限らず宇江佐作品、繰り返し繰り返し読んで心の糧としたい。
主人公も健気であるが、作者はもっと健気なのである。